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第六章 天空露天風呂を目指して 後編 リゾート天空城

スパリゾート 天空城

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『えー、こちら天空城、【雪の城塞】にいます。温水プールですねー』

 五〇Mプールで平泳ぎしながら、シズクちゃんがプラカードを掲げる。

『回復施設と言いましても、ここは特に怖いモンスターもいませんし、いたとしても殺意などは感じません。完全にホビー目的ですねー』

 天空城自体が、巨大なリゾート施設と化していた。トラップも健康器具で、敵対する存在もいない。大ナマズも、湖に近づかない限りは脅威ではないだろう。リロケンの塔の方がよっぽど怖い。

『おまけにここは訓練施設なので、回復の泉にはしづらいですねー』

 プールの紹介だけして、次の場所へ。

『ご覧ください。大空を眺めながらの露天風呂です! いやあ、絶景ですね! 太陽がすぐ目の前に!』

 ザブンと身体を沈めて、シズクちゃんが「はあ~」とため息をつく。

『雲が真下にあります。幻想的な光景ですねぇ。高所恐怖症の方からすると、地獄かもしれませんねー』

 オルタやシャンパさんも、シズクちゃんに続く。

「ユーゲンさんもどうです? 気持ちいいですよ?」
「いや、ワシは遠慮しておこう。あと、回復の泉はあっちだけに設置してもらいたい」

 回復場所を指定されるのは、初の体験だ。

「広間の近くじゃなくてもよいので?」
「ワシは利用できん理由があるんじゃ」

 ユーゲンさんの言葉の意味がわからず、ボクは首をかしげた。

「なるほど、そういうわけか」

 オケアノスさんが、何かを察したらしい。
 事情を聞くと、ボクも納得できた。

「そうですか、わかりました」

 城からもっとも遠い場所にある温泉施設を、拠点とする。
 これで、ボクたちのやることは終わってしまった。

「さっさと、ブルーゲイザーの回収するッス。そんでもって、ユーゲンのじいちゃんが無実を証明すれば丸く収まるッス!」 
「ダメです。そんなことをすれば、このダンジョンごとなくなります。ボクたちが帰れません」
「そんなあ! じゃあ、おじいちゃんはこのまま放っておけと?」
「はい。それが、ユーゲンさんの『遺言』です」

 ユーゲンさんが、ボクの言葉に悲しそうな顔をする。

「遺言って、どういう意味なんスか? おじいちゃんは、そこにいるッスよ?」
「ブルーゲイザーの効果は、『時間操作』って言っていたろ? つまりそういうこった。だよな?」

 オケアノスさんの言葉を、ユーゲンさんはうなずきで返す。

「それが、なんの関係があるんス?」
「考えてみな。欲望を失ったとはいえ、王派不老不死の力を手に入れたはず。なのに、王の死因は『衰弱死』だ」

 ユーゲンさんは言っていた。時間操作魔法といえど、完璧じゃない。ご飯を食べないと死ぬし、殺されても死ぬと。

「……ってことは!」
「このジイサンはな、もうアンデッドなんだよ」
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