底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路

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第五章 底辺配信者 対 魔族三人衆!

第36話 お化け屋敷

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 モンスターハウスの三階は、お化け屋敷になっている。

「ここが、終点みたいだな」

「さむいい」

 ヒヨリさんのそばで、ピオンが震えだした。

「そうですね。階段が見当たりません」

 建物の構造からすると、ここが最上階で間違いない。

 3Dゲームの廃墟みたいな本格的オカルトものではなく、もっとファンシーな感じだけど。

 半透明の白い物体が、何体も現れる。ボクたちに、電撃を浴びせてきた。

「ゴーストだ!」

 センディさんが、刀で雷撃を受け止める。

「お返しだぜ!」

 十文字に、センディさんが刀を振った。

 しかし、刃はゴーストの身体をすり抜ける。

「ちい。やっぱダメか!」

「武器に魔法を乗せないと、ダメージが通らないわ」

 コルタナさんが、ゴーストを杖で叩き潰す。

 センディさんの刀も業物なのだが、ゴーストまでは斬れないらしい。

「ボクがやってみます」

「ツヨシ、頼む!」

 ボクは、ミスリルソードでゴーストを斬ってみた。

「ミイイイイ!」

 ゴーストが、不愉快な悲鳴を上げる。

 ミスリルに流れる魔力のおかげか、ゴーストに傷をつけることができた。

 とはいえ、やはり対してダメージは与えられない。

「ワラビ、エンチャントだ!」

「受け取ってください、マスターツヨシ」

 ボクはワラビに、魔力付与を頼む。

 全身の強化、敏捷性アップ、剣には炎属性を施した。

 ゴーストの雷撃を、脚力ですり抜ける。懐に飛び込んで、お腹に一閃を浴びせた。

 湯気みたいに、ゴーストの身体が消えていった。

「まだいるわね」

 倒しても倒しても、ゴーストが続々と現れる。

「こうなったら。ワラビ、体当たり!」

 ボクはワラビ自身に、エンチャントを指示した。

「とにかく弾んでゴーストを潰しつつ、発生源を探そう」

「承知しました、マスターツヨシ」

 ポヨンポヨンと、ワラビが壁をバウンドする。

 足跡のように壁を這う赤い手に、ワラビが捕まった。

「ワラビ!?」

 助けようとしたが、ボクも反対から伸びた手に武器を取られる。

「問題ありません」

 広範囲に、ワラビが壁伝いに炎属性の魔法を放つ。爆裂魔法というべきか。

 一瞬だけ、周囲が明るくなった。

 その拍子に、ゴーストも姿を消す。

「発生源は、あれですね」

 ボクらは、ワラビについていく。

 行き止まり地点に、額縁が飾られている。豪華な額縁に、男性の肖像画がかけられていた。

「どうやらここから、ゴーストが出ていたみたいだな」

 センディさんが、刀を突き刺す。

「おっと!?」

 肖像画を突き抜け、センディさんがつんのめって向こう側へ。

 対して、肖像画には傷ひとつついていない。

「大丈夫ですか、センディさん!?」

「おうっ! お前たちも早く来い!」

 センディさんが、こちらに呼びかけてくる。

「どうやら、まだ先があるようね」

 メイヴィス姫が、気を引き締めた。

「行きましょう」

 ボクたちは、絵の中に入る。

「裏ステージみたいですね」

 ヒヨリさんが、あたりを見回す。

 絨毯が赤く、玉座にはオールバックの紳士が座っていた。顔は白く、鋭い牙を生やしている。肖像画の人物と同じ顔だが、明らかに人間ではない。

「ヴァンパイアかよ。親玉のお出ましだぜ」

 センディさんが、突撃した。

 しかし、ヴァンパイアは刀を素手で弾き飛ばす。

「なんてパワーだよ!?」

「じゃあ、こちらはどうですか? ピオン!」

 ピオンがヴァンパイアの頭上まで飛び上がり、放水した。

「わたしとコルタナさん特製の、聖水です!」

 戻ってきたピオンを、ヒヨリさんが抱きしめる。

 水を浴びせられて、ヴァンパイアの身体がきしんだ。しかし、一瞬で乾いてしまう。

「そんな!?」

「あのヴァンパイアは、魔族タイプだ。アンデッドタイプではない!」

 メイヴィス姫が、コンラッドと融合を完了した。姫は普段、二人に別れてパワーをセーブしている。有事の際は、元の姿に戻って【プリンセス】モードとなるのだ。

 姫の戦闘スタイルは、攻撃も防御力も段違いに。これが、本当のメイヴィス姫である。

 それでも、このヴァンパイアには苦しいか。

 この間倒した『ピグ★まり ON AIR』とは、違った強さなのだろう。

「ボクたちもお手伝いするよ! ワラビ!」

 ワラビが「承知しました」と、ヴァンパイアの脇腹に体当たりをかます。

 ミスリル状に硬質化したワラビのボディアタックで、ヴァンパイアの背骨が砕ける。すぐに再生したが、メイヴィス姫が攻撃をするスキは作れた。

「今です。姫!」

「よし!」

 ヴァンパイアの腹に、姫が剣を突き刺す。こちらの剣も、ミスリル製だ。

「まだ生きてる。ツヨシ!」

「はい! 喰らえ!」

 ボクはワラビの身体に、オシリからダイブした。弾んでもらい、速度を上げる。

 ヴァンパイアの背中に、ミスリルソードを突き刺した。

 これでようやく、ヴァンパイアが黒い粒となって消滅する。

「ピオンが、なにか見つけました!」

 玉座の脇に、宝箱が。

「お手柄だよ、ピオン!」

「たべものじゃないなら、いらなーい」

 ボクはピオンを褒めたのだが、本人はおやつが欲しかったみたい。

 宝箱から、ウォード錠が手に入った。ペンギンの形をしている。

「素晴らしい! 見事だよ」

 天井から、声がした。クビポロリだ。

「下級魔族を倒す力が、あるとはね。地球人も、強い個体がいるじゃないか。お相手するのが、実に楽しみだ」

 あの強さで、下級なのか。

「では、姫がお待ちかねだよ。彼女の課題をクリアできたら、また会おう」

 声が消えていく。

 また、建物自体も消滅した。ボクたちは、外に出される。
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