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第五章 おひとりさま難易度暫定一位、ひとりナイトプール。
第11話 刺激がほしい
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おひとりさまを楽しんで、結構経つ。
深夜のラーメンは、うまかった。
ソロ活温泉も堪能できて、満足である。
キャンプではカレー作りの他に、ギターという変わった形のリュートの弾き方も教わった。
しかし、もっと刺激がほしい。
激辛も楽しかったが、あのレベルを超える面白いことはないだろうか?
難易度の高い、おひとりさまってないかな。
そんなことを考えていると、JK冒険者三人組が現れた。白ギャルのレンジャーをリーダーとして、黒ギャルダークエルフが魔法使い、オタクっぽいドワーフが前衛を仕切る。
三人とも、同じ魔法科学校のブレザーに身を包む。だからオレは、コイツらを勝手に「JK」と脳内呼称していた。
「あーしら、ダンジョンの赤い月の洞窟に行ってきたんよね~」
そのダンジョンは、オレも知っている。
たしか、天井がぽっかり空いていて、そこで月を覗くと赤く見えるのだ。
有識者によると、「ダンジョンにある地底湖の魔力じゃね?」という。が、細かい原理は解明されていない。
魔物も弱いので、デートスポットや観光地としての側面が強いそうな。
「あの月は、ヤバいよね。定期的に、ナイトプールしたい。カレシと行ったら、ムード最高すぎて大ハッスルだよね」
「……まじやば」
残る二人のJKも、同じようなリアクションを取る。
この歳で、もうカレシ持ちなのか。お前らのほうが、まじやばだな。
オレに、天啓が降りてくる。
そうだよ。ナイトプールだ! すげえ、刺激的な響きである。楽しそうな予感。
ただオレは、詳しいやり方を知らないんだよなぁ。
うむ。コイツらに聞いたらいいか。
「その、ナイトプールとやらは、やり方はどうやるのだ?」
「おじ~、そういうの興味あるわけ~?」
白ギャルエルフなリーダーが、ニヤニヤする。
「こちとら、あまり外出する機会がなくてな。孫娘ともてんで話が合わなくなってきたところだ。ぜひとも教わりたい」
「そっか~。おじ、阻害されてそうだもんね」
おうとも。絶賛阻害され中だし~。
「ドリンク作ったり~、音楽聴いたり~、水にライト浮かべたりするんよ~」
「なるほど、なるほど」
オレは熱心にメモる。
ナイトプールいいな。なんたる耽美な響き。
これは、楽しそうだ。
「おじ、興味あんの? いっしょにやる?」
黒ギャルのエルフが、オレに声をかけてきた。
「……どすけべ。よくぼうにちゅうじつ」
オタクドワーフが、冷たい視線を向けてくる。
「いや、滅相もない。女性陣からのお誘いはありがたいが、あいにく所帯持ちでな。おいそれと出向くわけにはいかぬ。気軽に国を離れられん、面倒な身でな」
まあ、気軽に外出できる能力はあるのだがな。
「そっか~。おじも大変だね」
「また、声をかけるよ。王おじ」
エルフ二人組は、手を振った。
「……くっころの、よかん。でも、きょうみはある」
女ドワーフは、意味不明な言葉を漏らす。くっころってなんだ?
JK三人組が去った後、王妃がこちらにナイフのような視線を送ってくる。
「あなた、まさかあの方々にお熱なことはございませんわよね?」
「ございませんよ。オレがJKに熱を上げるとお思いか? 王妃よ」
ナイトプールに興味があるのであって、あの女生徒たちに入れあげるわけではなくってよ。
「殿方は例外なく、若い女性がお好きなのは把握しておりまして。ですが、節度をわきまえねば、どのようなウワサを立てられるかわかったものではございません。ご自重なされませ」
「オレだって、社交界のはしくれよお。礼節くらい、わきまえてらあ」
「そんなぶっきらぼうな口調では、説得力のかけらもございませんわね」
ほっといてくれい。
「とにかく、ソロガス王。夜遊びもほどほどになさるように。どこぞとも知れぬ女性が、赤子を抱いて、『王位を次ぐ資格ありし、御子でございます』なんて城に駆け込まれたりしたら、わたくしは生きた心地がございませんことよ」
オレのほうが、生きた心地しねえよ!
まったく。王妃は妄想がすぎるぜ。
「今度、デートにでも行くか? それこそ、ナイトプールなんてどうよ?」
「お心にもないことを、おっしゃらないでくださる? わたくしはもう、そんなことを言われてときめく歳ではございませんのよ」
気にしすぎだと思うけどねえ。
「お夕飯の時間ですわ。参りましょう、ソロガス」
「うむ」
オレは深夜のナイトプールに備えて、アルコールを控えた。
「あなた、最近ワインの量が減りまして?」
「それがなにか?」
「身体を壊されましたの?」
「美容と健康のためですぞ。オレだって、いつまでも若くはない。ムチャに飲み食いすれば、病むんですぞ」
「ええ。ご自愛なさっているのなら、結構なことで」
普通に信じたか。
こいつ、チョロいわー。
「わたくしはただ、本格的に夜遊びに出歩いているものだとばかり」
うーん。こいつ、さといわー。アンテナが鋭い。
ヘタに外出できんではないか。
「オレは体調を気にしているだけでな。特に他意はない」
「わかっております。では、おやすみなさいませ」
「おう。気を付けて」
あいつと寝室を別にして、どれくらい経ったろう?
まあ、その分オレの深夜の大冒険ははかどるわけなのだが。
さて、水着を用意して、【冒険の書】、発動だ!
深夜のラーメンは、うまかった。
ソロ活温泉も堪能できて、満足である。
キャンプではカレー作りの他に、ギターという変わった形のリュートの弾き方も教わった。
しかし、もっと刺激がほしい。
激辛も楽しかったが、あのレベルを超える面白いことはないだろうか?
難易度の高い、おひとりさまってないかな。
そんなことを考えていると、JK冒険者三人組が現れた。白ギャルのレンジャーをリーダーとして、黒ギャルダークエルフが魔法使い、オタクっぽいドワーフが前衛を仕切る。
三人とも、同じ魔法科学校のブレザーに身を包む。だからオレは、コイツらを勝手に「JK」と脳内呼称していた。
「あーしら、ダンジョンの赤い月の洞窟に行ってきたんよね~」
そのダンジョンは、オレも知っている。
たしか、天井がぽっかり空いていて、そこで月を覗くと赤く見えるのだ。
有識者によると、「ダンジョンにある地底湖の魔力じゃね?」という。が、細かい原理は解明されていない。
魔物も弱いので、デートスポットや観光地としての側面が強いそうな。
「あの月は、ヤバいよね。定期的に、ナイトプールしたい。カレシと行ったら、ムード最高すぎて大ハッスルだよね」
「……まじやば」
残る二人のJKも、同じようなリアクションを取る。
この歳で、もうカレシ持ちなのか。お前らのほうが、まじやばだな。
オレに、天啓が降りてくる。
そうだよ。ナイトプールだ! すげえ、刺激的な響きである。楽しそうな予感。
ただオレは、詳しいやり方を知らないんだよなぁ。
うむ。コイツらに聞いたらいいか。
「その、ナイトプールとやらは、やり方はどうやるのだ?」
「おじ~、そういうの興味あるわけ~?」
白ギャルエルフなリーダーが、ニヤニヤする。
「こちとら、あまり外出する機会がなくてな。孫娘ともてんで話が合わなくなってきたところだ。ぜひとも教わりたい」
「そっか~。おじ、阻害されてそうだもんね」
おうとも。絶賛阻害され中だし~。
「ドリンク作ったり~、音楽聴いたり~、水にライト浮かべたりするんよ~」
「なるほど、なるほど」
オレは熱心にメモる。
ナイトプールいいな。なんたる耽美な響き。
これは、楽しそうだ。
「おじ、興味あんの? いっしょにやる?」
黒ギャルのエルフが、オレに声をかけてきた。
「……どすけべ。よくぼうにちゅうじつ」
オタクドワーフが、冷たい視線を向けてくる。
「いや、滅相もない。女性陣からのお誘いはありがたいが、あいにく所帯持ちでな。おいそれと出向くわけにはいかぬ。気軽に国を離れられん、面倒な身でな」
まあ、気軽に外出できる能力はあるのだがな。
「そっか~。おじも大変だね」
「また、声をかけるよ。王おじ」
エルフ二人組は、手を振った。
「……くっころの、よかん。でも、きょうみはある」
女ドワーフは、意味不明な言葉を漏らす。くっころってなんだ?
JK三人組が去った後、王妃がこちらにナイフのような視線を送ってくる。
「あなた、まさかあの方々にお熱なことはございませんわよね?」
「ございませんよ。オレがJKに熱を上げるとお思いか? 王妃よ」
ナイトプールに興味があるのであって、あの女生徒たちに入れあげるわけではなくってよ。
「殿方は例外なく、若い女性がお好きなのは把握しておりまして。ですが、節度をわきまえねば、どのようなウワサを立てられるかわかったものではございません。ご自重なされませ」
「オレだって、社交界のはしくれよお。礼節くらい、わきまえてらあ」
「そんなぶっきらぼうな口調では、説得力のかけらもございませんわね」
ほっといてくれい。
「とにかく、ソロガス王。夜遊びもほどほどになさるように。どこぞとも知れぬ女性が、赤子を抱いて、『王位を次ぐ資格ありし、御子でございます』なんて城に駆け込まれたりしたら、わたくしは生きた心地がございませんことよ」
オレのほうが、生きた心地しねえよ!
まったく。王妃は妄想がすぎるぜ。
「今度、デートにでも行くか? それこそ、ナイトプールなんてどうよ?」
「お心にもないことを、おっしゃらないでくださる? わたくしはもう、そんなことを言われてときめく歳ではございませんのよ」
気にしすぎだと思うけどねえ。
「お夕飯の時間ですわ。参りましょう、ソロガス」
「うむ」
オレは深夜のナイトプールに備えて、アルコールを控えた。
「あなた、最近ワインの量が減りまして?」
「それがなにか?」
「身体を壊されましたの?」
「美容と健康のためですぞ。オレだって、いつまでも若くはない。ムチャに飲み食いすれば、病むんですぞ」
「ええ。ご自愛なさっているのなら、結構なことで」
普通に信じたか。
こいつ、チョロいわー。
「わたくしはただ、本格的に夜遊びに出歩いているものだとばかり」
うーん。こいつ、さといわー。アンテナが鋭い。
ヘタに外出できんではないか。
「オレは体調を気にしているだけでな。特に他意はない」
「わかっております。では、おやすみなさいませ」
「おう。気を付けて」
あいつと寝室を別にして、どれくらい経ったろう?
まあ、その分オレの深夜の大冒険ははかどるわけなのだが。
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