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ヒラメキちゃんと推理くん
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「ねえねえ、理くんさぁ。新学年になってもまた推理小説読んでるのぉ?」
また、平 メキラちゃんさんがボクの席にお尻を置く。
ミニスカートから太ももが覗いて際どい。
「それにしてもさ、見てよ。学年が変わって、随分クラス内が様変わりしたよね」
「ミホとイチローくんさ、あたし言ってたじゃん。絶対別れるって。イチローくんはナギサにつくってさ。実際、そのとおりになったよねー」
メキラちゃんさんは、勘が鋭い。
直感力の高さから、誰が呼んだか「ヒラメキちゃん」。
「そんなの簡単だよ。イチローくんのワイシャツ、いっつもほつれていたでしょ? ナギサさんと交際を始めてから、イチローくんは小綺麗になったんだ。面倒見のいいナギサさんに鞍替えしたんだろうね」
「よくわかるねー」
ボクの推理に納得したのか、メキラちゃんさんがボクの手に指を絡ませてきた。
「ナギサ、イチローくんと付き合いだしてからカワイさ爆マシじゃね?」
ああ、どうしてボクは「あなたの方がカワイイです」って言えないんだ!
どうしてボクは「メキラちゃんさんの、前髪の三つ編みカワイイですね」って言えないんだよ!
「あと、テルとユーナちん、女の子同士だけど付き合ってるって思ったら、明らかに意識してるよね」
「わかりやすいよね。アウトドア派のテルさんが、急にユーナさんと同じタイプの本を読み始めて、ユーナさんも、テルさんとおそろいの運動靴にしたでしょ? どっちも寄り添った結果だよ」
「よく見てるよねぇ」
「だって、メキラちゃんさんが観察しているから」
ああ、どうして「あなたの横顔に見とれていました」って言えないんだ!
わかっている。気持ち悪がられるから!
ボクのようなミステリヲタとギャルなんて、釣り合わないんだ!
わかってるんだ。ボクの胸の高鳴りも、ムダな運動に過ぎない。
メキラちゃんさんは、ボクの気持ちになんか気づいていないよね。
「気づいてるよ」
「え?」
何を言っているんだ、メキラちゃんさんは?
ボクは、声に出していったっけ?
「最初から知ってるし。あんたがあたしを意識してること」
「ご、ごめんなさい。気持ち悪いボクが、キミを好きになって」
「悪いと思ってるんだ」
ボクは観念して、うなずく。
「じゃあさ、放課後モールに寄ろうよ。一緒に」
「え、ボクにどうしろと?」
「デートだよ!」
「あ、あう、デート?」
「はあ? ウチら付き合ってるんじゃないの?」
メキラちゃんさんが、呆れている。
「だってさ、あんたあたしが席に座ることをちゃんと想定してハンカチでホコリを拭いてくれるし、ミステリ小説読んでるふりして、机が冷えないように温めてくれてんじゃん。ずっと前髪チラチラしては、ウットリしてさ。口でパクパクしてるから唇読んだら、『かわいいなぁ』って言ってっし! そんなこともわからないと思ったん?」
え、カンが鈍かったのは、ボクの方だった?
また、平 メキラちゃんさんがボクの席にお尻を置く。
ミニスカートから太ももが覗いて際どい。
「それにしてもさ、見てよ。学年が変わって、随分クラス内が様変わりしたよね」
「ミホとイチローくんさ、あたし言ってたじゃん。絶対別れるって。イチローくんはナギサにつくってさ。実際、そのとおりになったよねー」
メキラちゃんさんは、勘が鋭い。
直感力の高さから、誰が呼んだか「ヒラメキちゃん」。
「そんなの簡単だよ。イチローくんのワイシャツ、いっつもほつれていたでしょ? ナギサさんと交際を始めてから、イチローくんは小綺麗になったんだ。面倒見のいいナギサさんに鞍替えしたんだろうね」
「よくわかるねー」
ボクの推理に納得したのか、メキラちゃんさんがボクの手に指を絡ませてきた。
「ナギサ、イチローくんと付き合いだしてからカワイさ爆マシじゃね?」
ああ、どうしてボクは「あなたの方がカワイイです」って言えないんだ!
どうしてボクは「メキラちゃんさんの、前髪の三つ編みカワイイですね」って言えないんだよ!
「あと、テルとユーナちん、女の子同士だけど付き合ってるって思ったら、明らかに意識してるよね」
「わかりやすいよね。アウトドア派のテルさんが、急にユーナさんと同じタイプの本を読み始めて、ユーナさんも、テルさんとおそろいの運動靴にしたでしょ? どっちも寄り添った結果だよ」
「よく見てるよねぇ」
「だって、メキラちゃんさんが観察しているから」
ああ、どうして「あなたの横顔に見とれていました」って言えないんだ!
わかっている。気持ち悪がられるから!
ボクのようなミステリヲタとギャルなんて、釣り合わないんだ!
わかってるんだ。ボクの胸の高鳴りも、ムダな運動に過ぎない。
メキラちゃんさんは、ボクの気持ちになんか気づいていないよね。
「気づいてるよ」
「え?」
何を言っているんだ、メキラちゃんさんは?
ボクは、声に出していったっけ?
「最初から知ってるし。あんたがあたしを意識してること」
「ご、ごめんなさい。気持ち悪いボクが、キミを好きになって」
「悪いと思ってるんだ」
ボクは観念して、うなずく。
「じゃあさ、放課後モールに寄ろうよ。一緒に」
「え、ボクにどうしろと?」
「デートだよ!」
「あ、あう、デート?」
「はあ? ウチら付き合ってるんじゃないの?」
メキラちゃんさんが、呆れている。
「だってさ、あんたあたしが席に座ることをちゃんと想定してハンカチでホコリを拭いてくれるし、ミステリ小説読んでるふりして、机が冷えないように温めてくれてんじゃん。ずっと前髪チラチラしては、ウットリしてさ。口でパクパクしてるから唇読んだら、『かわいいなぁ』って言ってっし! そんなこともわからないと思ったん?」
え、カンが鈍かったのは、ボクの方だった?
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