世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双

椎名 富比路

文字の大きさ
3 / 71
第一章 FIRE失敗民による、逆襲のダンジョン攻略

第1話 FIRE達成者、ダンジョンができて無事死亡…… (その3)

しおりを挟む
 さて、受付行くぞー。

 カウンターに、受付のお姉さんがいた。

 オレはカウンターから、記入用の書類を取る。記入用の机まで移動して、必要事項を書き終えた。

 ほとんど、役所と変わらない。
 たまに獣人の職員を、見かける以外には。

「あの。お願いします」
 
 受付のお姉さんに、必要な書類を渡す。

比嘉ヒガ ミツルさんですね。登録しました」

 オレは、手の甲にQRコードを印刷してもらった。

 このタトゥーは、ステータスを視認できる装置だ。

 コードを読み取らせると、バイタルやステータスをスマホで確認できる。
 スマートウォッチを持っている場合、連結してAR表示も可能だ。
 そのほうがかっこいいので、オレもそれに設定する。

 このコードには、魔法を人間の体内に浸透させて、
「異世界の言語を話せる機能」が備わる。

 また、異世界で手に入れた力を現実で使わせないように、リミッターの意味もあるのだ。
 
 異世界からの使者が、友好的な人でよかったぜ。
 
 さらに迷子時のアラーム機能と、死亡した際のシグナルにも使う。

「ありがとうございます」

「ソロでよろしいのですね?」

「はい。今のところは」
 
 オレのような低所得者に、声を掛けてくるヤツはいない。

 当分はソロでやれるだけやってみて、稼ぐか。

「武器を見ても?」

「結構ですよ。こちらです」

 オレは、装備品売り場へ。

「ここは、武器と防具の店だ」

 定型句のようなセリフを、店番の男性が口にする。
 
 本物のドワーフが、店番をしていた。
 
「ドワーフの鍛冶屋さんって、実在したんですね?」

「といっても、オイラは見習いだよ。国に帰ったら、もっと腕のいいやつがいる。ささ、何を買うんだ?」

 手頃なサイズのショートソードを、手に取る。

「これをください」

「あいよ。ありがとうな」

 お金の管理も、手の甲でもスマート端末系でも、できるのだ。

「物々交換も可能だぜ、どうするよ?」

「じゃあ、これを」

 魔物解体用のナイフを、差し出す。

「いいのかい? よさげなアイテムのようだが」

「構いません。ナイフの背で、火も起こせますよ」

 オレはドワーフさんの近くにあった金床で、実践してみた。

「いいなそれ。割り引いてやる」

「大丈夫ですよ」

「そうかー。じゃあ、その分オマケしてやろう」

 ドワーフさんは、ネックレスをくれる。禍々しいデザインのペンダントが、先についていた。蛇の目のようなデザインだ。

「【蛇毒の瞳】という、毒耐性が上がる首飾りだ。持っていきな。装備品はモンスターもドロップするから、すぐに更新しやすい。その点、こういうのは転売しにくい」

「ありがとうございます」

 ドワーフさんと別れて、オレはフィールドに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした

あに
ファンタジー
人との関係に疲れ果てた主人公(31歳)が死んでしまうと輪廻の輪から外れると言われ、別の世界の別の人物に乗り替わると言う。 乗り替わった相手は公爵の息子、ルシェール(18歳)。外れスキルと言うことで弟に殺されたばかりの身体に乗り移った。まぁ、死んだことにして俺は自由に生きてみようと思う。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥風 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

処理中です...