8 / 64
第一章 お嬢様学校の旧校舎は、ダンジョンだった
第8話 ダンジョン部、本格始動
しおりを挟む
「オメーら三人は魔王の探索! もう片方は、わたくしと来い! 魔法陣をぶっ潰す! 者共、いけえええええ!」
愚地が、チームメイトに指示を出す。
Aチームは、一階ではるたんを探しに。
残ったBチームは、ダンジョンに点在する魔法陣を破壊しに向かった。
あたしは、スマホで相手の状況を確認しつつ、待機である。家庭科室に入って、みんなの分の軽食を作ることにした。
『モモ、今どこ?』
野菜を切っていると、はるたんから連絡が入る。
「調理場。今はチャーハン作ってる」
持ってきた中華鍋に具材を入れて、豪快に振った。
家庭科室では、調理中に鍋を振らないほうがいい。家庭の火レベルでは、すぐに鍋の鉄板が冷めてしまうからだ。
あたしは自前の魔法で、家庭科室の火力を上げている。さすが寂れても、元は魔法科学校だっただけはあるな。あたし程度の魔法なんて、軽くいなしている。
『音からして、おいしそうだね』
「おうよ。うまいぞ。オヤジ直伝だからな」
『あんたは料理ができていいよねえ。といっても、もうそろそろキラーの出番じゃない?』
「お前、まだ見つかりそうにないだろ?」
もうしばらく、ほうっておいてもいいかなと。
ダンジョンにおいて、ラスボスは【キラー】と呼ばれている。ダンジョンにおける戦力の要であり、同時にダンジョン脱出用のカギだ。
『ウチが配置したグリフォンくんが、負けそうなんだけど』
はるたんがそういうので、あたしも学校指定のタブレットを出す。愚地の戦いぶりを、料理をしつつチェックした。
巳柳高校の生徒が、ペンギンのきぐるみみたいな魔物と戦っている。
愚地は部下にスマホを任せ、攻略法に従って魔物をシバいていた。
控えめに言っても、ダンジョンに召喚される魔物は、ぶっちゃけ弱い。アルゴリズムが固定化されていて、どうしても対策されてしまう。攻略法まで、高値で取引されている。
『グリフォンくんって、コストの割にいい仕事するから、ダンジョン防衛にはうってつけだって思ったんだけど』
「短足の割に、足が速いしなー」
それでも、対策されては意味がない。
結局、自慢の足を活かすことなく、グリフォンくんは消滅した。
やはり対人戦には、生身の人間を配置する方がいいか。
『そろそろ、用意しておいたほうがいいんじゃない?』
キラー担当は基本、アウェー側が探索をしている間、一分以上は待機していなければならない。その間、なにをしても自由だ。対戦相手に、近づきさえしなければ。
とはいえ、制限時間の一時間もかからずパーティを全滅させられる実力が必要とされている。
あたしもダンジョンに潜っては、何度もキラーを倒してきた。
まさか、自分が守る側に立つなんて、思っていなかったけど。
『ランチェスター戦略は、使わないみたいだね』
戦力を一箇所に集めてチェックポイントを各個撃破することを、『ランチェスター戦略』という。ダンジョンにおける、基本的な戦闘方法だ。つまり全員が一丸となって、散り散りになっているホーム側の戦力を削ぐのである。
しかし愚地率いる巳柳高校は、自分たちも戦力を分散していた。
かなり腕に自身のある学校と、見える。
『こっちに来た。足音がする。二つ目の魔法陣も、突破されたっぽい』
「わかった。ちょっくら、相手してくるわー」
あたしはチャーハンの乗った皿にラップを貼り終えて、エプロンを取る。
愚地が、チームメイトに指示を出す。
Aチームは、一階ではるたんを探しに。
残ったBチームは、ダンジョンに点在する魔法陣を破壊しに向かった。
あたしは、スマホで相手の状況を確認しつつ、待機である。家庭科室に入って、みんなの分の軽食を作ることにした。
『モモ、今どこ?』
野菜を切っていると、はるたんから連絡が入る。
「調理場。今はチャーハン作ってる」
持ってきた中華鍋に具材を入れて、豪快に振った。
家庭科室では、調理中に鍋を振らないほうがいい。家庭の火レベルでは、すぐに鍋の鉄板が冷めてしまうからだ。
あたしは自前の魔法で、家庭科室の火力を上げている。さすが寂れても、元は魔法科学校だっただけはあるな。あたし程度の魔法なんて、軽くいなしている。
『音からして、おいしそうだね』
「おうよ。うまいぞ。オヤジ直伝だからな」
『あんたは料理ができていいよねえ。といっても、もうそろそろキラーの出番じゃない?』
「お前、まだ見つかりそうにないだろ?」
もうしばらく、ほうっておいてもいいかなと。
ダンジョンにおいて、ラスボスは【キラー】と呼ばれている。ダンジョンにおける戦力の要であり、同時にダンジョン脱出用のカギだ。
『ウチが配置したグリフォンくんが、負けそうなんだけど』
はるたんがそういうので、あたしも学校指定のタブレットを出す。愚地の戦いぶりを、料理をしつつチェックした。
巳柳高校の生徒が、ペンギンのきぐるみみたいな魔物と戦っている。
愚地は部下にスマホを任せ、攻略法に従って魔物をシバいていた。
控えめに言っても、ダンジョンに召喚される魔物は、ぶっちゃけ弱い。アルゴリズムが固定化されていて、どうしても対策されてしまう。攻略法まで、高値で取引されている。
『グリフォンくんって、コストの割にいい仕事するから、ダンジョン防衛にはうってつけだって思ったんだけど』
「短足の割に、足が速いしなー」
それでも、対策されては意味がない。
結局、自慢の足を活かすことなく、グリフォンくんは消滅した。
やはり対人戦には、生身の人間を配置する方がいいか。
『そろそろ、用意しておいたほうがいいんじゃない?』
キラー担当は基本、アウェー側が探索をしている間、一分以上は待機していなければならない。その間、なにをしても自由だ。対戦相手に、近づきさえしなければ。
とはいえ、制限時間の一時間もかからずパーティを全滅させられる実力が必要とされている。
あたしもダンジョンに潜っては、何度もキラーを倒してきた。
まさか、自分が守る側に立つなんて、思っていなかったけど。
『ランチェスター戦略は、使わないみたいだね』
戦力を一箇所に集めてチェックポイントを各個撃破することを、『ランチェスター戦略』という。ダンジョンにおける、基本的な戦闘方法だ。つまり全員が一丸となって、散り散りになっているホーム側の戦力を削ぐのである。
しかし愚地率いる巳柳高校は、自分たちも戦力を分散していた。
かなり腕に自身のある学校と、見える。
『こっちに来た。足音がする。二つ目の魔法陣も、突破されたっぽい』
「わかった。ちょっくら、相手してくるわー」
あたしはチャーハンの乗った皿にラップを貼り終えて、エプロンを取る。
0
あなたにおすすめの小説
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる