ダンジョンを出禁にされたJK二人組は、母校の旧校舎型ダンジョンを守護するバイトを始めました。

椎名 富比路

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第四章 島全体がダンジョン! ダンジョン部たちのなつやすみ

第43話 決死の追跡! ビーストテイマー、ピオニ! 

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 どうもピオニは【ビーストテイマー】、いわゆる【魔物使い】のようだ。
 
「そういうこと。普段はコイツも、愛用のバイクに擬態してるんだ」

「だからお前、銃で戦っていたのか」
 
 ビーストテイマーは相棒が増える代わりに、モンスターの召喚に魔力のリソースを取られてしまう。そのため、戦闘タイプにはあまり人気がない。
 また魔物の強さも、術者の魔力に依存する。
 結局は自分が強くなる必要があり、サポート職にも不人気だ。

 重火器を扱うなら、魔物に乗ったままでも戦える。

 ピオニはどちらかというと、魔物を召喚するために銃器を選んでいるように思えた。
 
「よりによって、なんで職業を、ビーストテイマーにしたん?」

 コイツなら、どんな冒険者にでもなれそうだが。
 
「乗るとき、メットがいらないから!」

 ピオニが、ゲラゲラと笑う。

 ろくでもない理由だが、ピオニなら選びそうと思えてしまった。

「ほいじゃあ洲桃すもも、不届き者をぶちのめしに行きますか」

 狼の背中をポンポンと叩き、ピオニが乗るように催促する。

「おう、頼むぜピオニ!」

 狼に乗せてもらう。

 あたしを乗せた狼が、全速力でトラックを追跡した。

 まったく力を入れなくても、身体にフィットした。ブレも全然ない。
 
「しっかり捕まってなくても、勝手にウチの【モンジャ】はコントロールできっから」
 
 コントロールを担当するそうで、ピオニはあたしにロケランを託した。

「待って! ロケランでいいのかよ!?」

 相手トラックは、美術品やマジックアイテムを積んでいる。もしアイテムに傷でもつけたら。

「大丈夫。ちゃんと保護してあるから、多少ぶっ放しても問題ない」
 
「わかった! はるたん、聞こえるか!?」

 はるたんに事情を説明して、空からも追跡してもらう。

『モモ、敵は本州をつなぐ鉄橋に向かって、北上中。どこかで本隊と合流するみたい』

「身代金とか、なにかの引き渡しとか、取引材料としては使わないと?」

『今のところ、ないわね。アイテムを売りさばくのが、目的みたい』

 美術館には、鬼族を弱体化させる絵画などもあった。
 てっきり、そっちが本命だと思っていたが。

『もうすぐ、ターゲットが見えてくるわよ』

 眼の前に、トラックが見えてきた。崖沿いを走っている。

「見えた! くらえ!」

 あたしは、ロケランを撃つ。

 慣れていないため、ロケットは道路をえぐっただけだった。

「ハズレ! 次!」

 もう一発、ぶち込んだ。

 今度は、タイヤにクリーンヒットする。

 タイヤにも魔力保護がなされているのか、かすり傷ひとつついていない。
 
「ダメか。だったらむしろ、道路をえぐって」

「おっしゃ! それより効果的な方法があるぜ!」
 
 あたしは、崖に向かってロケランを撃った。

 トラックの前に、落石が降ってくる。

 異常な動きで、トラックは落石を避けていった。

「避けた!?」

「こっちも行くぜ!」

 赤い狼モンジャは、落石をゲームの足場のようにピョンピョンと飛び移っていく。
 
「ピオニ、狼を横につけてくれ! トラックに取り付く!」

「わかった。無茶すんなよ!」

「そっちこそ」

 ピオニが、トラックの横に並走した。

 あたしはトラックの荷台に飛び移る。

 これで、積み荷とトラックを分離させれば。

「おっと!」
 
「てめえ! 邪魔するんじゃねえ!」

 トラックの荷台に、鬼族のリーダー格らしき男が立つ。
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