クイズ「番組」研究部 ~『それでは問題! ブタの貯金箱の正式名は?』「資本主義のブタ!」『はあっ!?』~

椎名 富比路

文字の大きさ
28 / 48
第五問 ガウチョは何語? ~クイズ番組研究部の休日~

解答者になるために産まれてきた少女

しおりを挟む
 モール内の料理店は高価で、僕たち学生には手が出せない。
 ここまで来てファーストフードっていうのも味気ないし。
 何より、いつもと違うものが食べたいね、と僕たちは意見が一致した。

 結果、モールの外へ。オープンカフェやラーメン屋などが、道沿いに並ぶ。
 どれもおいしそうだ。迷わせるなぁ。
 
「あそこなんてどうでしょう?」

 嘉穂さんが、モールの端を指差す。

 駐車場と道路沿いに、キャンピングカーが停まっていた。
 そこから商品を販売しているタイプのカフェだ。
 フローリングを敷いたスペースに、ベンチやパラソルを設置している。
 各所にあるテーブル席では、数組のカップルが寛いでいた。
 お昼には少し早い時刻の為か、人もまばらである。
 
「創作カフェだって」
「お料理もちょっと異国っぽいですね」

 パラソルの掛かった席に座った。
 創作カフェという雰囲気も、魅力的な雰囲気を引き出してくれている。
 手を上げて、店員さんを呼んだ。軽めのメニューを頼む。
 
「このアヒージョって何ですか?」

 店員さんに嘉穂さんが尋ねた。

「ニンニクを使った煮込みです。バゲットを浸して食べるのもおいしいですよ」

 なるほど、と僕はメモを取る。
 
 ニンニクと聞いて、嘉穂さんは苦笑いをした。

「バゲットとオリーブオイルのみ、というメニューもございますが」

 嘉穂さんの怪訝をくみ取った店員さんが、気を利かせてくれた。
 他のオーダーを待っている間、まずはバゲットをオリーブオイルに浸して食べる。

「うん、これだけでもおいしいね」
「そうですねっ。油なのにサッパリしていて」

 食べる手を止めて、嘉穂さんに向き直る。
 
「前から聞きたかったんだけど、嘉穂さんのお母さんってすごいんだね?」

 以前から抱いていた質問を聞き出す。

「やっぱり、その話になりますよね」

 嘉穂さんの母親は、元クイズ王である。
 女子大生クイズ王として、あらゆる番組で賞を総なめにし、賞金をかっさらっていった。
 だが、大きい賞金の掛かった番組でクイズ王になった直後、忽然と姿を消す。

「一千万円だっけ、獲得した賞金って?」
「すべて、消えました。わたしのせいで」
 
 嘉穂さんは、一枚の写真を見せてくれた。


 写真には、病室のベッドで、力なく微笑む嘉穂さんが。

 
「頂点に立った母は、番組に引っ張りだこでした。ですが、わたしの身体が弱かったせいで必死だっただけで、クイズに特別強かったわけではないんです。独身時代の母は、素人に毛が生えた程度の実力でしたし、楽しくやっていました。母が豹変したのは、わたしが生まれてからなんです」
 
「え、それじゃ、嘉穂さんのおばさんが戦っていたのって……」


 まるで自分を責めるように、嘉穂さんは俯いてしまう。

「わたしの、治療費を稼ぐためでした」
 
 父親の稼ぎだけでは足りず、嘉穂さんの母親は自分の知識を武器にした。
 その戦闘スタイルは、嘉穂さんからは想像もできないほど、強烈な印象を与えたのを覚えている。
 まるで対戦相手を射殺すような眼光で、ポイントを取らせまいと。
 だが、嘉穂さんの母親がどうして賞金を欲しがっていたのかは、最後まで明かされなかった。
 
「でも、わたしの容体が落ち着いてからは、まるで憑きものが取れたように、おとなしくなりました。もう当時のような力は出せないって、自分でも言っていました」
 
 最初は楽しくてクイズをしていたはずなのに。
 嘉穂さんは、母親が言った言葉が忘れられないという。
 
「見て下さい」と、嘉穂さんが、一冊のノートを取り出す。

 小さい子が使うような自由帳だ。
 ひらがなで名前が書かれている。
 かなり使い古されていて、年期の入り具合を思わせた。

「これは?」
「私の、お守りです」

 誇らしく、嘉穂さんはノートを広げる。
 
 ノートには、過去にクイズ番組で出題された問題と解答が、隙間なくビッシリと書き込まれていた。
 鉛筆書きで、子供の字で。
 わからない漢字はひらがなで書かれていた。
 
「辛いときとか、うまく行かなかったことがあったときとかに読み返すんです。これ」

 口に手を当てて、僕は言葉を失う。
 同時に、嘉穂さんのクイズに対する強さや恐ろしさを垣間見た気がした。

 これを全部暗記しているのか、嘉穂さんは。

「入院って暇なんですよ。だから、これくらいしかする事がなくて。当時はパソコンで録画もできたので、見逃した問題はノートパソコンでDVD録画したものを見て。バカみたいでしょ」

 嘉穂さんが照れ臭そうに笑う。

「でも、この作業をしているときだけ、母と同じ戦場に立った気がしたんです」

 ノートを見つめる眼鏡の奥には、自分の母親に対する尊敬と愛情が込められていた。

「母から楽しさを奪ったクイズを、憎んだことだってありました。それを母に言うと、母は微笑んで『違うよ』って言いました。母にとって、クイズはなくてはならない物だったのです。クイズがお金を稼ぐ手段に選んだのは、自分がそうしたかったからだと。母は強いんだよ、って思ってもらいたかったって」

 それから、母に施しを受けて、嘉穂さんはクイズの知識以上に、クイズの持つ楽しさ、面白さを教わったらしい。

「このノートなんですけど、まだ、家に五〇冊以上あるんですよね。学年が上がるごとに、シャーペンと大学ノートになって、退院した今は、スマホのメモ帳機能へと切り替えてます。子供の頃の習性って抜けないんですよね」

 スマホも見せてもらう。
 出題時期やジャンルなどがより細かく分類されていて、データの量も膨大になっている。

「わたしは、母のようにクイズを楽しんでいる、番組研に出会えてよかったと思うんです」

 嘉穂さんのクイズ力には、複雑な事情があったのだ。
 
「ご飯が来ましたよ。食べましょう、晶太くん」

 僕たちが頼んだのは、和風ハンバーグとポテトサラダである。結局、無難なところに落ちついてしまった。

「ファミレスで食べた方がコスパがよかったかな?」
「でも、サッパリしておいしいです」

 興味深そうに、嘉穂さんはサボテンをパクパク口へ含んでいる。
 
「そういえば、晶太くんはどんな子供だったんですか?」

「うーん。友達はあんまりいなかったかな?」

 嘉穂さんに意外そうな顔をされた。

「もっと友達が多い人だと思ってました」
「そんなことないよ」
「だって、初対面の人とも、あんまり物怖じしないじゃないですか」
「趣味や考え方が特殊だったからね、僕は」

 僕が言うと、嘉穂さんは妙に納得したような表情を浮かべる。

 クイズ番組を見ていて、僕は常に思う。
 問題を解くよりも、司会者と解答者とのやりとりや駆け引きが好きだ、と。
 自覚している。僕の事を理解できる人は、番組研の中でも少ない。
 僕の好みは、かなり特殊な部類に入る。

「湊や昌子姉さんのように、ボケ解答好きっていうイレギュラーも存在するけどね」

 本心を吐露した恥ずかしさから、思わず軽口を叩く。
 話を人に合わせるのは苦じゃないから、会話できる友人は多い。けれど、僕と同じ思想や好みを持つ人は、一人もいないんじゃないかと悩んだ時期もあった。
 
「前に話してくれましたよね。『誰かに気づいてもらいたい問題があるから、自分はクイズを作るんだ』って」

「僕のような人間もいるんだよ、って思ってもらいたかったのかなって自分でも思うよ」

 クイズ番組が好きすぎて自分で作っちゃったよ、って、胸を張って言いたかったんだと自己分析している。

「それが、人を楽しませたいって気持ちに繋がっているのかも知れないですね」

 嘉穂さんにそう言われて、僕は救われた気がした。
 長年自分が自覚しつつも閉ざしていた、見ないようにしていた心のモヤモヤが、一気に晴れていくような。
 同時に、照れくささが僕の心をくすぐる。
 自分の一番大事な部分に触れられたからだろう。

「問題を解く側に立つ気はないからね、僕は」

「意外です。誰よりもクイズが好きそうなのに、解答者になるつもりはないんですか?」

 嘉穂さんに問いかけられ、僕は「ない」と言う。

「僕は、解答者側に立つ資格がないんだ」
「どういう、事ですか?」
 
「逃げたんだよ、僕は。解答者の側から」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界帰りのエージェント、天才教え子(美女)に「間違った恋愛知識」で攻められる ~最強ドールと古代工房の謎~

よっしぃ
ファンタジー
【「45歳のおっさん」オリコンランキング18位・書籍化作家の最新作!】 ━━━━ 22年ぶりの帰郷――その姿、パンツ一丁でラベンダーまみれ。 ━━━━ 橘譲二、42歳。異世界日本での22年間の潜入任務を終え、ようやく故郷アストリア王国への帰還を果たした元エージェント。 しかし、転移魔法の強制発動により、入浴中に召喚されてしまう。 王宮謁見の間。その姿は――パンツ一丁、肩からずり落ちるバスタオル、全身ラベンダー色、片手には洗濯カゴ。 22年の功績は一瞬で水泡に帰し、追放を宣告される。相棒ゴーレム「コロ」は瀕死。絶体絶命のヨルグ・シュタイン。 そんな彼を救ったのは、かつての教え子――今や王国屈指のゴーレム技術者となった、美しきアリア=セレスティアだった。 「先生、わたくしがお助けいたします!」 しかし、彼女の「師匠への献身」は、闇ルートで入手した5冊の『愛の聖典(バイブル)』――通称"薄い本"――で学んだ独自理論に基づいており……!? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【登場人物】 ■ ヨルグ・シュタイン(橘譲二) / 42歳 元アストリア王国エージェント。22年間、異世界日本で営業マンとして潜入任務を遂行。中間管理職としての鋼のメンタルと、ゴーレム技術の知識を持つ。情けないが、いざという時は頼りになる。 ■ アリア=セレスティア / 30代前半 王国屈指のゴーレム技術者。かつてヨルグから技術を学んだ元教え子。22年間、師匠の帰還を待ち続け、5冊の"薄い本"で恋愛を研究。天然だが技術は超一流。勝負下着へのこだわりが強い。 ■ レティシア(コロ) 高性能アンドロイド。元は犬型ゴーレム「コロ」だったが、アリアの技術で美少女型に再生。冷静沈着なAIだが、ヨルグへの忠誠心は絶対。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 毎日更新(ストック93話+書き下ろし継続中!) ■ 開始3日で第一部(第30話)まで一気読み可能! ■ 既刊:「45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる」 (アルファポリス刊/Oricon総合18位) ━━━━ 情けない中年エージェント × 天然暴走スーツ美人 × 高性能アンドロイド。 パンツ一丁から始まる、異世界ファンタジーコメディ! ━━━━ 【見どころ】 ✓ 42歳おっさんの情けなくも愛しい日常 ✓ 天然スーツ美人の暴走する献身 ✓ テンポの良い会話劇とコメディ ✓ ゴーレム技術とAIの融合 ✓ ラブコメ要素も充実 ✓ 【薄い本】で学んだ恋愛理論の実践(?)

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...