そのモフモフ、メスガキにつき ―三十路DT魔術師、懐かないフェンリルに勝つため鍛えていたら無自覚最強に。ロリダークエルフの彼女までゲット―

椎名 富比路

文字の大きさ
12 / 22
第二章 ここからが本当のモフモフだ

コンパ

しおりを挟む
「三〇過ぎても彼女すらできないなんて」
「あのねえ、中身が変わってないからモテないのよ。チート並みに魔力が付いたからって彼女がホイホイ作れるなんて、ラノベの読みすぎよ」

 ぐうの音も出ない。

 思えばジョシュアは、これといった努力はしてこなかった。
 コンパとあれば、逃げるようにアイドルライブへと走る。
 飲み会も断り、一人で研究三昧。
 楽しみは、買ってきたミニチュアゴーレムドールを組み立てることだけ。家にあるだけで二五体、職場に一八体はいる。

「おまけにコンパにも顔を出さないなんて」
「誰から聞いたんだ?」

 ジョシュアがさっき聞いたばかりの話を、リヨが知っているなんて。

「みんな知ってるわ。アタシもイーデンから聞いたもの」
「だったら、答えは同じだ。ボクは参加しない」
「呆れた……ミラも来るかもしれないのに?」

 大げさに、リヨはため息をつく。

「ミラは、ボクよりいい人が見つかるよ」

 リヨは「あのねえ」と、ジョシュアに詰め寄った。 

「これまでのアンタを見てきて、決定的に足りないものが見つかったわ」
「なんだい?」


「決断力よ。あんたにはそれがまるでない」


「即決魔王のキミに言われたくないね。ボクがどれだけキミの尻拭いをしてきたってのさ」

 女と見たらば、子どもや老婆でさえ見境なく口説く。
 禁忌魔法に触れては、悪い魔神を呼び出しかけた。

「この間なんて、迷いの森でアラクネとチチクリ合っていたじゃないか!」
「いいじゃないの! アタシのライフスタイルにケチを付けないで!」

 声を張って、リヨがテーブルを叩く。

「合意のもとだからいいものを!」
「いいの!?」

 よくないだろう。危うく言いくるめられうところだった。

「とにかく、おとなしくしておいてよ。キミが目立つと、ボクが大変なんだから!」
「わかってるわよ。アタシだってもうお縄に付きたくないもの」

 立ち小便で逮捕されてから、留置所の匂いに耐えられないらしい。

「出なさいよ、コンパ。アンタには女性に対する免疫が必要だわ」
「考えておくよ」
「またそうやって、行かないつもりでしょ? 考えるだけで逃げてるだけじゃない」
「逃げてなんかいない」

 ジョシュアも反論する。

「アンタは一度、安全領域コンフォートゾーンからである必要があるわ。居心地のいい場所から抜け出さないと、いつまでたっても成長しないのよ!」
「フラフラほっつき歩いているキミに言われたくないね」 


 
 帰宅後、ジョシュアはクローゼットからできるかぎりいい感じの服装を用意した。

 あれだけ言われて行かなかったとなれば、きっとリヨは自分を「負け犬」だとか「結局ザコ」と罵ってくるだろう。

 チャンスをフイにして現状維持をするより、負けて後悔するほうがいい。
 これまでのジョシュアの人生は、リヨに負け続けだった。
 悔しいが、リヨの言うことは正しい。
 負けるのには、慣れている。

「やってやろうじゃないか。見てろ」

 意を決して、ジョシュアは蝶ネクタイを直す。

 パーティ会場の入り口まで来た。

 心臓がバクバクしている。
 料理を食べに来たんだ、と自分に言い聞かせているのに、緊張していた。

 落ち着け。彼女なんてできるわけがない。なにを期待しているのか。

 もしかすると、ミラと鉢合わせするかもしれないと思っているのかもしれない。

 まさか。ミラがこんなところに来るわけがない。

 入り口で、小さな女の子が従業員と揉めていた。

「だから、私はちゃんと招待状をもらっている」

 黒いドレスを着た少女が、黒服と口論になっている。
 小さなダークエルフだ。
 金色の髪を、ポニーテールにまとめている。
 背中から腰までぱっくり開いたドレスなのに、幼い背丈のせいで色気を感じない。

「お酒を出すところだから、小さい子は保護者同伴でないと。さあ帰った帰った」

 黒服も、頑として道を開けようとしない。


「……ミラ!」


 そこには、ミラが立っていた。

 初めて会ったときと、ほとんど同じ姿で。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

無限在庫チートで異世界を買い占める〜窓際おじさんが廃棄予定のカップ麺で廃村エルフと腹ペコ魔王を救済したら最強商会ができました〜

黒崎隼人
ファンタジー
物流倉庫で不良在庫の管理に追われるだけの42歳、窓際サラリーマンのタケシ。 ある日突然、彼は見知らぬ森の中へと転移してしまう。 彼に与えられたのは、地球で廃棄される運命にあったあらゆる物資を無尽蔵に引き出せる規格外のスキル「無限在庫処分」だった。 賞味期限間近のカップ麺、パッケージ変更で捨てられるレトルトカレー、そして型落ちの電動工具。 地球ではゴミとされるこれらの品々が、異世界では最強のチートアイテムと化す! 森で倒れていたエルフの少女リリアをカップ麺で救ったタケシは、領主の搾取によって滅亡寸前だった彼女の村を拠点とし、現代の物資と物流ノウハウを駆使して商会を立ち上げる。 美味しいご飯と圧倒的な利便性で異世界の人々の胃袋と生活を掴み、村は急速に発展。 さらには、深刻な食糧難で破綻寸前だった美少女魔王ルビア率いる魔王軍と「業務提携」を結び、最強の武力を物流の護衛として手に入れる! 剣も魔法も使わない。武器は段ボールと現代の知識だけ。 窓際おじさんが圧倒的な物量で悪徳領主の経済基盤をすり潰し、異世界の常識を塗り替えていく、痛快・異世界経営スローライフ、開幕!

ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~

namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。 父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。 だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった! 触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。 「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ! 「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ! 借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。 圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。 己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。 さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。 「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」 プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。 最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...