DTをこじらせたおっさん魔道士、地球からJKを召喚してしまう

椎名 富比路

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第一章 どうしようもない魔道士に、JKが舞い降りた

DTとJKとBBA

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『久しいのう、若造。童貞をこじらせて地球の少女に手を出すとは』
 まるでロバートのすべてを知っているかのように、白いリスは軽口を叩く。

「ねえロバちゃん。この子だよ。あたしにずっと説明をしてくれてたの。この子、何者なん?」

 白いリスを手に乗せて、ヒナマルが尋ねてきた。こっちが聞きたい。

「この人が、白き魔女【二分音符ミニム】。ボクに魔法を教えてくれた師匠だよ」

 紹介されたリスは、ドラゴンの骨に着いたスジ肉を前歯でこそいでいる。

『いかにもワシは、白き魔女ミニムである』
 ミニムは、二本目の骨にかじりついた。

「リスが師匠なの?」
「違うよ。本物の師匠は老婆で、出歩くこともないんだ」

 ひょっとしてと思い、ロバートはアイテムを探る。
 やはり、師匠からもらった【モフモフのおもちゃ】がなくなっていた。
 あの白いモフモフが、このリスなのだろう。

『魔力をリスの形にして、遠隔操作で会話しておる』
「おばあさん、あたしがあのドラゴンをやっつけたときに、話しかけてこなかった?」
『うむ。お主に戦闘能力を与えたぞい。若かりし頃に持て余していた近接戦闘スキルを、ありったけお主にブチ込んでやったわい。どうせ腐らせるからのう』

 美少女になんてことを。魔改造も甚だしい。

 ヒナマルがこの世界で会話できるのも、武器を扱えるのも、謎のプロテクター装着も、すべて師匠ミニムの与えた恩恵だとか。

「そうなん? あんがと!」

『ただ、あまりアテにするでない。たしかにワシは死なん。じゃが無害じゃ。あくまでも戦うのはお主ゆえ、覚悟せいよ」

「はーい。わかった」

 ヒナマルは、やけに物分りがいい。
 この世界がゲームだと思っていたからか? 

「これから、師匠のところへ相談しに行こうとしていたんですよ!」
『いんや。その必要はない。ワシがこの娘と共にある。ヒナマルとやら、安心なされよ』

 師匠のフォローがあるなら、百人力だ。

『ワシがこの娘をフォローするのはええんじゃ。ところで弟子よ、もう済んだのかえ?』

「あっ、契約はまだです!」

『バカモンが! 早うせんか!』

「すいません。今からやりますっ!」

 戦闘で、すっかり忘れていた。

「それって、やらないとヤバいの?」
 ヒナマルが聞いてきた。

『ヤバいのじゃ』

「召喚士と被召喚者の本契約をしないと、キミはこの地に留まることも、帰ることもできない」

 本契約を済ませないと、肉体がどちらにとどまっていいのか判断が狂う。
 召喚時に通過した、時空の彼方に被召喚者が放り出されてしまうのだ。

「わかんない。一言で!」
「キミは死ぬ」
「ざっくりすぎ! でも理解できた!」

 急いで、正式契約の準備をする。アイテムボックスから、白い小さな指輪を取り出す。

『白の指輪、準備ヨシ!』
「ヨシ! ああ、でもサイズが」
『そんなもん気にせんでええ。勝手に指輪がフィットするから、安心せい!』

 そういえば、モンスターの腕にもはめられる仕様になっているのだった。
 自動でサイズが調整されるならば、安心か。

「はい。それじゃあ、手を取っていい、ヒナマル?」
 ロバートは、ヒナマルの左手を取った。

「なんか、結婚式みたい」
「うん。なんか緊張するね」

 ヒナマルは左手の薬指に、白い指輪をはめた。

『よし! これで、夫婦成立じゃ!』 

「……は?」
 ロバートは、ミニムが何を言っているのかわからない。

 意味がわかっていないのか、ヒナマルがキョトンとしている。

「あのさ、状況が飲み込めないんだけど?」
 リスのミニムが、ため息をつく。

『実はのう、ゴニョゴニョ……』
 ヒナマルの肩に乗り、ミニムがヒソヒソと耳打ちした。


「えーっ!? あたしって、ロバちゃんの嫁としてココに呼ばれたの!?」

 ロバートがミニムから伝授されたのは、
【理想とする相手を呼び出せる】
 魔法だったのである。
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