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第一章 Z級スキル『サメ使い』でしてよーっ!
第1話 追放ですわ!
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「なにっ!? ルクレツィアの等級は、Z級だと!?」
お父様が、わたくしのスキルを見て恐れおののいていますわ!
わたくしは、一五歳の誕生日を迎えました。洗礼を受けて、海の神殿でスキルをいただける歳になりましたの。これでわたくしも、一人前の貴族の仲間入りですわ、と思っていましたのに。
両親ったら浮かない顔をなさって。娘の門出だというのに。
「はい。スキルのランクは最上級のS、上等級のAからFとスキルはあります。が、ルクレツィア様はどれにも属しておりません」
我々シュヴェーヌマン家は、代々Aランク等級のスキルを持っていますのよ。
このルクレツィアにも、引き継がれると思っていました。
Z級なんて、聞いたこともございませんことよ。
「低くは、ないのだろう?」
「はい。ですがZ級とは、呪われしスキル! この世界にはあってはならないものなのです! そのスキルを持つものは、S級並の災厄をもたらすと!」
神官様が、怯えていますわ。
「で、どのようなスキルをルクレツィアはどのようなスキルを手に入れたのだ!?」
「……サメ使いです!」
「なんという、禍々しいスキル名か! 不吉な!」
いいじゃありませんの。「サメ使い」って。
港町ミグに生まれたせいでしょうか、わたくしは海が大好きですわ。
サメなんて、めったに人を襲いませんのよ?
みなさん揃って、恐怖の対象として恐れていますけれど。
「ええい、なにをしておる!? こやつを流刑にせよ!」
「マジですの、お父様、婚約も控えていますのよ!?」
「そんなものは破棄だ! 破棄!」
あっという間に、わたくしは流刑となりました。どこか無人島送りにされるそうですわ。
ですが、縛られては、生きていられませんわね。
ビキニ姿なのは、これがわたくしの正装だからですの。海に捨てられるのですから、美しいままで死にたいですわね。
「かわいそうに。あんなカワイイのにな」
「水着も、魅力的でセクシーなんだよな。あのお嬢様、せめてキレイな姿で死なせてくれってさ」
船員たちが、わたくしを見てヒソヒソと話していらっしゃいます。
「あんまり見るなよ。サメみたいに噛まれるぜ」
まるで猛獣を見るような目で、わたくしを警戒なさっています。
それだけ、わたくしは厄介なスキルを継承してしまったようでうわね。
ただ、不満はありますわ。
腫れ物に触るような視線を向けられていることでは、ございません。
「たかが猛獣ごとき」とわたくしを比較なさっていることに、腹が立っていましてよ。
「海とともに死ねるだけでも、本望と思わないとやっていられませんわーっ!」
「うるさい! さっさと島へ……ん!? あれは!?」
わたくしを乗せた船の前に、とんでもない化け物が現れましたわーっ!
「【海坊主】ですわ!」
つるっぱげの巨大タコが、わたくしの船を鎮めようと襲いかかってきました。
東洋にしか現れないと言われていた海の怪物が、この西洋、ミグの近海まで現れましたのね!
「さっそく呪いが! 早くルクレツィアを叩き落としてしまえ!」
自分の身可愛さに、お父様がわたくしの背中を蹴り上げました。やはり血が繋がっていないとこうですわね?
わたくしは王家唯一の正式血統だったのです。
両親が相次いで死に、わたくしが正統継承者になりました。
わたくしを引き取った親戚筋のシュヴェーヌマン伯爵家は、ずっとわたくしから実権を奪いたくてウズウズしていましたわ。
今が、その好機というわけですわね?
ただでは死にませんわ! どうせ死ぬならシュヴェーヌマンに一太刀浴びせて。
ですが、わたくしは縛られたままで海へ投げ出されました。
「息が、できませんわ!」
ゴボゴボ……。
踏んだり蹴ったりですわね。呪われたスキルを継承して、家を追放されて、最期は大好きな海に飲み込まれるとは。
ここでサメまでいらしたら、お笑いですのに。
「ん?」
わたくしの近くに、ものすごいスピードを出して近づいてくる灰色の物体がありました。
なんですの? あれは。
「サメですわ!」
思考がまとまるより早く、サメはわたくしの縄を噛みちぎりました。
このままわたくしも餌食に、と思っていましたのに、サメはわたくしなんて目もくれず、まっすぐ海坊主の方へ。
高速で、頭突きをかましました。そのまま足をカブリと。
サメの切断力で、海坊主は足を失いました。
「ぷはあ!」
わたしは、どうにか水面から顔をあげます。
船が遠ざかっていくではありませんの!
おのれ、ただでは帰しませんわ!
「せっかく覚えたスキルですもの。目にもの見せて差し上げますわ! 『サメ使い』!」
猛然と海坊主へ向かっていたサメに、ビリビリっと電流のようなものが流れます。
「あの船の底に、穴を開けちまってくださいまし!」
わたくしは、サメに命令を下しました。
サメはわたくしの指示通り、木製の船に体当たりをします。
海坊主の攻撃とサメの一撃により、大型の船が大きく傾きました。船員の何人かが、海へ投げ出されます。その中には、お父様……いえ、シュヴェーヌマンも混じっていました。
「いい気味ですわ! おや?」
ですが、溜飲が下がったのもつかの間。サメが大ピンチになってしまいましたわ! 何本ものタコ足に絡みつかれて、苦しそうにしています! このままでは、全身の骨がくだけてしまいましてよ!
折れた船の帆にしがみつきながら、わたくしは考えを巡らせました。
「……今、助けますわ!」
せっかく、わたくしの指示を聞いてくださった一匹のサメさんです。
彼を助けないで、サメ使いは名乗れませんわーっ!
船の帆を掴んで、突撃しました。
「うおおおおお! 離れなさいまし!」
わたくしは、海坊主の目に帆を突き刺してやりましたわ!
サメさんが脱出しました。
「もうひと仕事、お願いしますわ! 『サメ使い』!」
わたくしは、サメさんの背に乗せてもらいます。
「突っ込みますわ!」
サメに乗って、わたくしは帆を掴み直しました。そのまま、海坊主の目を再度貫きます。
帆が脳に達したのか、海坊主は沈んでいきましたわ。
「はあ、はあ、やりました、わ……」
精も根も尽き果て、わたくしは意識を手放します。
結局、シュヴェーヌマンは助け出されて、船が遠ざかっていきますわ。
いつか必ず、復讐に参りますわね。
でも、いいかもですわ。過ぎたことを悔いても、仕方ありません。
これからは、自分のために人生を過ごすのも悪くありませんわ。
ですが、もう身体も冷たくなってきましたわ。
サメさんと一緒に、この大海原を旅ができたら。
「気が付いた?」
そんな夢を見ながら、わたくしは目を覚まします。
「はあ! 夢でしたのね?」
「うん。目が覚めてよかった」
わたくしは、いつの間にか陸に上がっていました。
側には、フードの付いたラッシュガード姿の少女が。少年と見間違えましたが、下がビキニパンツでしたので、女性だろうと認識できます。
「あなたは」
「ステイサメ。さっきあなたに助けられたサメだよ」
よく見ると、フードがサメの形をしていますわ!
この方が、サメですって!?
お父様が、わたくしのスキルを見て恐れおののいていますわ!
わたくしは、一五歳の誕生日を迎えました。洗礼を受けて、海の神殿でスキルをいただける歳になりましたの。これでわたくしも、一人前の貴族の仲間入りですわ、と思っていましたのに。
両親ったら浮かない顔をなさって。娘の門出だというのに。
「はい。スキルのランクは最上級のS、上等級のAからFとスキルはあります。が、ルクレツィア様はどれにも属しておりません」
我々シュヴェーヌマン家は、代々Aランク等級のスキルを持っていますのよ。
このルクレツィアにも、引き継がれると思っていました。
Z級なんて、聞いたこともございませんことよ。
「低くは、ないのだろう?」
「はい。ですがZ級とは、呪われしスキル! この世界にはあってはならないものなのです! そのスキルを持つものは、S級並の災厄をもたらすと!」
神官様が、怯えていますわ。
「で、どのようなスキルをルクレツィアはどのようなスキルを手に入れたのだ!?」
「……サメ使いです!」
「なんという、禍々しいスキル名か! 不吉な!」
いいじゃありませんの。「サメ使い」って。
港町ミグに生まれたせいでしょうか、わたくしは海が大好きですわ。
サメなんて、めったに人を襲いませんのよ?
みなさん揃って、恐怖の対象として恐れていますけれど。
「ええい、なにをしておる!? こやつを流刑にせよ!」
「マジですの、お父様、婚約も控えていますのよ!?」
「そんなものは破棄だ! 破棄!」
あっという間に、わたくしは流刑となりました。どこか無人島送りにされるそうですわ。
ですが、縛られては、生きていられませんわね。
ビキニ姿なのは、これがわたくしの正装だからですの。海に捨てられるのですから、美しいままで死にたいですわね。
「かわいそうに。あんなカワイイのにな」
「水着も、魅力的でセクシーなんだよな。あのお嬢様、せめてキレイな姿で死なせてくれってさ」
船員たちが、わたくしを見てヒソヒソと話していらっしゃいます。
「あんまり見るなよ。サメみたいに噛まれるぜ」
まるで猛獣を見るような目で、わたくしを警戒なさっています。
それだけ、わたくしは厄介なスキルを継承してしまったようでうわね。
ただ、不満はありますわ。
腫れ物に触るような視線を向けられていることでは、ございません。
「たかが猛獣ごとき」とわたくしを比較なさっていることに、腹が立っていましてよ。
「海とともに死ねるだけでも、本望と思わないとやっていられませんわーっ!」
「うるさい! さっさと島へ……ん!? あれは!?」
わたくしを乗せた船の前に、とんでもない化け物が現れましたわーっ!
「【海坊主】ですわ!」
つるっぱげの巨大タコが、わたくしの船を鎮めようと襲いかかってきました。
東洋にしか現れないと言われていた海の怪物が、この西洋、ミグの近海まで現れましたのね!
「さっそく呪いが! 早くルクレツィアを叩き落としてしまえ!」
自分の身可愛さに、お父様がわたくしの背中を蹴り上げました。やはり血が繋がっていないとこうですわね?
わたくしは王家唯一の正式血統だったのです。
両親が相次いで死に、わたくしが正統継承者になりました。
わたくしを引き取った親戚筋のシュヴェーヌマン伯爵家は、ずっとわたくしから実権を奪いたくてウズウズしていましたわ。
今が、その好機というわけですわね?
ただでは死にませんわ! どうせ死ぬならシュヴェーヌマンに一太刀浴びせて。
ですが、わたくしは縛られたままで海へ投げ出されました。
「息が、できませんわ!」
ゴボゴボ……。
踏んだり蹴ったりですわね。呪われたスキルを継承して、家を追放されて、最期は大好きな海に飲み込まれるとは。
ここでサメまでいらしたら、お笑いですのに。
「ん?」
わたくしの近くに、ものすごいスピードを出して近づいてくる灰色の物体がありました。
なんですの? あれは。
「サメですわ!」
思考がまとまるより早く、サメはわたくしの縄を噛みちぎりました。
このままわたくしも餌食に、と思っていましたのに、サメはわたくしなんて目もくれず、まっすぐ海坊主の方へ。
高速で、頭突きをかましました。そのまま足をカブリと。
サメの切断力で、海坊主は足を失いました。
「ぷはあ!」
わたしは、どうにか水面から顔をあげます。
船が遠ざかっていくではありませんの!
おのれ、ただでは帰しませんわ!
「せっかく覚えたスキルですもの。目にもの見せて差し上げますわ! 『サメ使い』!」
猛然と海坊主へ向かっていたサメに、ビリビリっと電流のようなものが流れます。
「あの船の底に、穴を開けちまってくださいまし!」
わたくしは、サメに命令を下しました。
サメはわたくしの指示通り、木製の船に体当たりをします。
海坊主の攻撃とサメの一撃により、大型の船が大きく傾きました。船員の何人かが、海へ投げ出されます。その中には、お父様……いえ、シュヴェーヌマンも混じっていました。
「いい気味ですわ! おや?」
ですが、溜飲が下がったのもつかの間。サメが大ピンチになってしまいましたわ! 何本ものタコ足に絡みつかれて、苦しそうにしています! このままでは、全身の骨がくだけてしまいましてよ!
折れた船の帆にしがみつきながら、わたくしは考えを巡らせました。
「……今、助けますわ!」
せっかく、わたくしの指示を聞いてくださった一匹のサメさんです。
彼を助けないで、サメ使いは名乗れませんわーっ!
船の帆を掴んで、突撃しました。
「うおおおおお! 離れなさいまし!」
わたくしは、海坊主の目に帆を突き刺してやりましたわ!
サメさんが脱出しました。
「もうひと仕事、お願いしますわ! 『サメ使い』!」
わたくしは、サメさんの背に乗せてもらいます。
「突っ込みますわ!」
サメに乗って、わたくしは帆を掴み直しました。そのまま、海坊主の目を再度貫きます。
帆が脳に達したのか、海坊主は沈んでいきましたわ。
「はあ、はあ、やりました、わ……」
精も根も尽き果て、わたくしは意識を手放します。
結局、シュヴェーヌマンは助け出されて、船が遠ざかっていきますわ。
いつか必ず、復讐に参りますわね。
でも、いいかもですわ。過ぎたことを悔いても、仕方ありません。
これからは、自分のために人生を過ごすのも悪くありませんわ。
ですが、もう身体も冷たくなってきましたわ。
サメさんと一緒に、この大海原を旅ができたら。
「気が付いた?」
そんな夢を見ながら、わたくしは目を覚まします。
「はあ! 夢でしたのね?」
「うん。目が覚めてよかった」
わたくしは、いつの間にか陸に上がっていました。
側には、フードの付いたラッシュガード姿の少女が。少年と見間違えましたが、下がビキニパンツでしたので、女性だろうと認識できます。
「あなたは」
「ステイサメ。さっきあなたに助けられたサメだよ」
よく見ると、フードがサメの形をしていますわ!
この方が、サメですって!?
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