Z級スキル『サメ使い』の令嬢! ~呪われしスキルを手にして追放された令嬢は、サメの勇者に拾われて義賊三昧ですわっ!~

椎名 富比路

文字の大きさ
9 / 48
第一章 Z級スキル『サメ使い』でしてよーっ!

第9話 オイスターでしてよーっ!

しおりを挟む
「はむはむ。うーん、さすがオイスターですわ!」

 わたくしは牡蠣オイスターの味を堪能いたしました。

 といっても、チャーハンですけど!

 いただいているチャーハンは、クラーケンの切り身が入っていますわ。まあまあ、こんなに美味な姿になりまして。

「まさかこちらで出してらっしゃるチャーハンの隠し味が、オイスターソースでしたなんてーっ!」

 お昼のチャーハンも格別でしたが、オイスターソースが入ったことでより深みが増していましてよーっ!

「オイスターソースが安定供給されるようになったから、民間にも払い下げられたのです」

 まだ、牡蠣の身自体は供給できないそうですが。

「すべて、あなたのおかげです。ルカンさん、ステイサメさん、母の店を助けてくださってありがとうございます」
「お母さまの? ここってもしかして」

 実はわたくし、ごちそうしていただいておりますの。ギルドの受付嬢さんに。

「申し遅れました。私は、受付のフーパーと申します。お察しの通り、このお店は私の実家でして」

 それは偶然でしたわ。

「お家は、お継ぎになりませんでしたのね?」
「料理の腕が、からっきしで。家庭料理なら作れるんですけど、お店に出すレベルに達しなくて。うちは母が全部を切り盛りしていて、私はどちらかというと邪魔者扱いでした。外で遊ぶほうが好きで、いつのまにか冒険者に」

 で、受付嬢として働いていらっしゃるそうです。

 平和的な自立でしたわね。家を追放されたわたくしとは大違いです。どうかお幸せになっていただきたいですわ。

「あなたは邪魔者ではありませんわ。ご家族をお大事に」
「ええ。母に恩返しができました。ありがとうございます」

 どうぞ、仲良くなさってくださいまし。

「ところで、例のクラーケンなのですが、アサイラムという海賊団が、関与していると判明しました。グループの一団を捕らえ、現在ボスの行方を追っています」

 捕らえたアサイラム構成員を尋問して、アジトの場所を突き止めたそうですわ。

「それと、構成員から妙なことを聞きまして。クラーケンは、妙な集団から買い取ったというのです」

 フーパーさんが、メモ用紙に変な紋章を描きました。

「クラーケンの額に、こんな紋章が。なにかご存知ですか?」

 ずいぶんと、きったない魔方陣ですわね。ガキの落書きタギングのほうが、もっと上手に書きましてよ。

「……深きもの!」

 突然、チャーハンを食べていたステイサメさんが立ち上がりました。

「これは、【深きもの】のサインだよ!」
「深きものと申しますと、例の絶滅した海のモンスターの郡れですか?」
「うん。まだ生き残りがいたなんて。でも、これは人の手が入っている」

 メモ用紙をグッと顔に近づけながら、ステイサメさんは目を凝らします。

「その深きものが関与しているかわかりませんが、この海域を支配してもっとも利益を得る人物に、お心当たりは?」
「シュヴェーヌマンですわ」

 わたくしは、即答いたしました。

 実はわたくし、シュヴェーヌマン家の会計表を書かされていましたから、内部事情に詳しいですの。

 どうもシュヴェーヌマンは、使途不明金が多すぎます。わたくしの目はごまかせませんでしたわ。

 メモ用紙をお借りして、サササッとシュヴェーヌマンと繋がりのある一団を書き記します。

「こんなに。どれも裏で悪事を働いている者たちばかりじゃないですか。しかも、証拠不十分で起訴できないのに」

「ええ。実はわたくし、とある漁港で両親がトラブルに巻き込まれまして。大事な情報を受け継いでいましたの。復讐のために独自で調査して、シュヴェーヌマンにたどり着いたのですわ」

 怪しまれないように、虚実を交えてお伝えしました。

「なるほど。どおりでお強いわけですね? 自衛のために、召喚術まで覚えなさって」
「ですの」

 もちろん、わたくしがシュヴェーヌマン家の者だとは伏せました。

 信じていただけるかは、わかりません。

 たとえ疑われても、またこの街から逃げればいいだけですわ。

「ありがとうございます。これで、この付近を荒らしている悪党を一網打尽にできますよ! あなたには本当になんとお礼を言っていいやら!」

 フーパーさんは、わたくしの両手をギュッと握ってきました。

「他にも、その【深きもの】とやらに関しても情報が必要ですね。悪党が彼らを操っているのか。それとも深きものが彼らのバックにいるのか」
「おそらく、後者だろうね。彼らは地上で悪事を働くための拠点が必要のはずだから」
「古のモンスター集団の復活とあっては、我々もウカウカしていられませんね」

 突然、フーパーさんは立ち上がります。

「仕事ができました。お二人は、お休みになってください。我々はギルドを総動員して、盗賊団及び彼らに加担する一団を一網打尽にしてきます」
「はい。お気をつけて」

 わたくしはフーパー気圧され、食べるしかなくなりましたわ。

 なんとフーパーさん、宿代まで出してくださるそうです。

 ありがたく、ご厚意を受け取りました。

「ごちそうさまでした……とは、いきませんわ!」

 チャーハンを一粒も残さず平らげたあと、わたくしはステイサメさんと向き合います。

「まだ、デザートが残っているんだね?」

 こちらの意図を汲んでくださったステイサメさんが、うなずきました。

 たとえ関係者を捕まえたとしても、シラを切られる可能性がございます。ならば、直接現場を押さえねば。

「そうこなくっちゃ、ですわ!」

 わたくしたちも、ギルドへ参りますわ。
 アサイラムを退治しに!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

処理中です...