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液体金属 対 武闘派
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「おらああ!」
女戦士アマゾネスが、オレに向けて大きな斧を振り下ろす。
「ちっ」
ぴょんと、オレは飛び跳ねて避けた。
「スキあり! 会心の一撃!」
スリットが大胆な貫頭衣を来た女拳法家が、オレにケリを入れてくる。
粘り気を利用して、オレはミドルキックの威力を相殺した。水のようにしなやかに動き、敵の攻撃を受け流すのだ。
「やろう! チョコマカと!」
斧を担いで、女戦士が構え直す。背が高く、身体の凹凸が激しい。これぞビキニアーマーといった豪華な出で立ちだ。
「なんという動きでしょう? 武術の心得でもあるのでしょうか?」
逆に武闘家の方は、ストンとした体型である。ピッグテールの髪型から、幼いといってもいい。かといって、未熟ではなかった。体内の気の流れを戦闘力に変換し、会心の一撃を放つのだ。
武器の重さや筋力に任せているアマゾネスと、余計な筋肉を削ぎ落とした武術家コンビである。
いつぞやの女勇者は、出る幕がない。
「いじめないで。あの子は悪い子じゃないよぉ」
勇者はなぜか、スライムであるオレを気遣っている。
「手を出すなよ勇者。パワーレベリングなら任せな」
「そうですよ。魔物は等しく排除せねば。コイツを街に入れたら危険です」
街になんて入るかっての。並み居る冒険者が、オレを経験値にしようとしてるんだから。
まったく、勇者が仲間と合流できてしまった。
女勇者は迷子だったらしく、一人であの危険な森に入っていったらしい。街まで誘導したら、仲間が待っていやがるとは。これも勇者の巧妙な作戦……なわけないか。
「あたしの【破滅の斧】をすり抜けるとはね」
破滅の斧は、持ち主の生命力を攻撃力に変換できる、危険な武器だ。魔物に寄って鍛えられた武器である。そのためニンゲンが装備すると、相手の生命すら吸い取ってしまう。その代わり恩恵はとてつもない。オレのような魔法さえ通さない強固な装甲を、いともたやすく粉々にする。
一方、武道家の装備もやばい。菌の装飾が施された、あの白いニーソックスが。
「さすが素早さトップクラスと言われるミスリルスライム亜種。【流星のタイツ】で敏捷性を上げた私に、この魔物はついてこられるのですね」
ただでさえ素早いモンククラスが、レアアイテムで速度強化をしてやがる。ただ、あっちも呪われているのだ。ヘタをすると、装備対象の筋組織を破壊してしまう。
「たとえこの身が砕けようと、魔王退治はやめねえ」
戦士が斧を振りかぶる。
「そうです。まずは刺客である彼を倒さねば」
流星の腕輪に【気】を流し込み、武道家はさらに速度を上げてきた。
何連続攻撃を仕掛けてくるんだ? さすがのオレでも、動きについていけなくなってきている。
アマゾネスも。台風のような猛攻を繰り返す。
「もらった!」
しまった。宙に浮いているところを狙われるとは。オレもヤキが回ったか?
「とどめ!」
女武道家も、ナイフのような鋭いケリを放つ。
逃げられない。同時に襲いかかってくる。
これは死んだか、オレ?
だが、魔物の力を凌駕したニンゲンの行き着く先は……。
「ぎっ!?」
やはり、限界を迎えたか。
アマゾネスと武道家の二人が、金縛りにあったかのように硬直した。
呪いが発動したのか。
二人の装備が、魔物の作った呪いのアイテムだからだろう。
同じ魔物であるオレを、守ってくれたのかも。
そうとわかれば、オレにも考えがある。
オレは、アマゾネスの筋骨隆々の腹から胸へとよじ登っていく。
「な、なにをするひゃあん!?」
おっと、デリケートなところに触ってしまったか。意外と胸も柔らかい。
「あはああっん!」
触られ慣れていないのだろう。
女戦士は嬌声を上げた。
「さてと、コイツは返してもらうぜ」
オレはアマゾネスから、斧をぶんどる。体内へと収納した。
魔物のオレなら、同質の呪い装備なんてワケない。呪いなんて受けずに回収できる。
アマゾネスはオレが移動すると、腰からへたり込む。ウットリした顔になっていた。
次は、武道家だ。
「や、やめなさいんん……」
金縛り状態の武道家の足から、ニーソを剥ぎ取る。こんなのがあったら、魔王軍は全滅してしまう。今のうちに、戦力を削いでおかないと。
「そ、そこはダメです」
身体が動かなくても、武道家つま先は動くらしい。ヒクヒクと、足の指を丸めていた。
さて、呪いの装備は回収した。
武道家も腰が抜けたのか、すっかりおとなしくなる。目がうつろになって、唇を舌でなめていた。
「おいお前、呪いが」
「はい。解呪されています」
戦士と武道家は、自分の身に起きたことを実感したようだ。
今のうちにずらかるか。早くしないと、呪いが解けた二人がまた動き出すからな。
「スライムくん、ひょっとして呪いを解いてくれたの?」
「結果的に解けただけだ」
あのまま放置しても、また二人は動き出せてしまう。その前に、戦力を奪ったに過ぎない。
「やっぱりキミは、悪いスライムくんじゃないよ!」
「うるっせえ! オレは悪いスライムだ! 言葉が通じねえのか!?」
さて、強い武器を奪還しましたよって、魔王様に報告だ。
二人は、女勇者が回復魔法を持っているから、大丈夫だろう。
オレは、そそくさと立ち去る。
「まってー。まだお礼をしてないよ」
「うるせえ。お前らなんて知るかっ!」
絶対にオレは、お前らの養分になんてならねえんだからな!
女戦士アマゾネスが、オレに向けて大きな斧を振り下ろす。
「ちっ」
ぴょんと、オレは飛び跳ねて避けた。
「スキあり! 会心の一撃!」
スリットが大胆な貫頭衣を来た女拳法家が、オレにケリを入れてくる。
粘り気を利用して、オレはミドルキックの威力を相殺した。水のようにしなやかに動き、敵の攻撃を受け流すのだ。
「やろう! チョコマカと!」
斧を担いで、女戦士が構え直す。背が高く、身体の凹凸が激しい。これぞビキニアーマーといった豪華な出で立ちだ。
「なんという動きでしょう? 武術の心得でもあるのでしょうか?」
逆に武闘家の方は、ストンとした体型である。ピッグテールの髪型から、幼いといってもいい。かといって、未熟ではなかった。体内の気の流れを戦闘力に変換し、会心の一撃を放つのだ。
武器の重さや筋力に任せているアマゾネスと、余計な筋肉を削ぎ落とした武術家コンビである。
いつぞやの女勇者は、出る幕がない。
「いじめないで。あの子は悪い子じゃないよぉ」
勇者はなぜか、スライムであるオレを気遣っている。
「手を出すなよ勇者。パワーレベリングなら任せな」
「そうですよ。魔物は等しく排除せねば。コイツを街に入れたら危険です」
街になんて入るかっての。並み居る冒険者が、オレを経験値にしようとしてるんだから。
まったく、勇者が仲間と合流できてしまった。
女勇者は迷子だったらしく、一人であの危険な森に入っていったらしい。街まで誘導したら、仲間が待っていやがるとは。これも勇者の巧妙な作戦……なわけないか。
「あたしの【破滅の斧】をすり抜けるとはね」
破滅の斧は、持ち主の生命力を攻撃力に変換できる、危険な武器だ。魔物に寄って鍛えられた武器である。そのためニンゲンが装備すると、相手の生命すら吸い取ってしまう。その代わり恩恵はとてつもない。オレのような魔法さえ通さない強固な装甲を、いともたやすく粉々にする。
一方、武道家の装備もやばい。菌の装飾が施された、あの白いニーソックスが。
「さすが素早さトップクラスと言われるミスリルスライム亜種。【流星のタイツ】で敏捷性を上げた私に、この魔物はついてこられるのですね」
ただでさえ素早いモンククラスが、レアアイテムで速度強化をしてやがる。ただ、あっちも呪われているのだ。ヘタをすると、装備対象の筋組織を破壊してしまう。
「たとえこの身が砕けようと、魔王退治はやめねえ」
戦士が斧を振りかぶる。
「そうです。まずは刺客である彼を倒さねば」
流星の腕輪に【気】を流し込み、武道家はさらに速度を上げてきた。
何連続攻撃を仕掛けてくるんだ? さすがのオレでも、動きについていけなくなってきている。
アマゾネスも。台風のような猛攻を繰り返す。
「もらった!」
しまった。宙に浮いているところを狙われるとは。オレもヤキが回ったか?
「とどめ!」
女武道家も、ナイフのような鋭いケリを放つ。
逃げられない。同時に襲いかかってくる。
これは死んだか、オレ?
だが、魔物の力を凌駕したニンゲンの行き着く先は……。
「ぎっ!?」
やはり、限界を迎えたか。
アマゾネスと武道家の二人が、金縛りにあったかのように硬直した。
呪いが発動したのか。
二人の装備が、魔物の作った呪いのアイテムだからだろう。
同じ魔物であるオレを、守ってくれたのかも。
そうとわかれば、オレにも考えがある。
オレは、アマゾネスの筋骨隆々の腹から胸へとよじ登っていく。
「な、なにをするひゃあん!?」
おっと、デリケートなところに触ってしまったか。意外と胸も柔らかい。
「あはああっん!」
触られ慣れていないのだろう。
女戦士は嬌声を上げた。
「さてと、コイツは返してもらうぜ」
オレはアマゾネスから、斧をぶんどる。体内へと収納した。
魔物のオレなら、同質の呪い装備なんてワケない。呪いなんて受けずに回収できる。
アマゾネスはオレが移動すると、腰からへたり込む。ウットリした顔になっていた。
次は、武道家だ。
「や、やめなさいんん……」
金縛り状態の武道家の足から、ニーソを剥ぎ取る。こんなのがあったら、魔王軍は全滅してしまう。今のうちに、戦力を削いでおかないと。
「そ、そこはダメです」
身体が動かなくても、武道家つま先は動くらしい。ヒクヒクと、足の指を丸めていた。
さて、呪いの装備は回収した。
武道家も腰が抜けたのか、すっかりおとなしくなる。目がうつろになって、唇を舌でなめていた。
「おいお前、呪いが」
「はい。解呪されています」
戦士と武道家は、自分の身に起きたことを実感したようだ。
今のうちにずらかるか。早くしないと、呪いが解けた二人がまた動き出すからな。
「スライムくん、ひょっとして呪いを解いてくれたの?」
「結果的に解けただけだ」
あのまま放置しても、また二人は動き出せてしまう。その前に、戦力を奪ったに過ぎない。
「やっぱりキミは、悪いスライムくんじゃないよ!」
「うるっせえ! オレは悪いスライムだ! 言葉が通じねえのか!?」
さて、強い武器を奪還しましたよって、魔王様に報告だ。
二人は、女勇者が回復魔法を持っているから、大丈夫だろう。
オレは、そそくさと立ち去る。
「まってー。まだお礼をしてないよ」
「うるせえ。お前らなんて知るかっ!」
絶対にオレは、お前らの養分になんてならねえんだからな!
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