2 / 5
液体金属 対 武闘派
しおりを挟む
「おらああ!」
女戦士アマゾネスが、オレに向けて大きな斧を振り下ろす。
「ちっ」
ぴょんと、オレは飛び跳ねて避けた。
「スキあり! 会心の一撃!」
スリットが大胆な貫頭衣を来た女拳法家が、オレにケリを入れてくる。
粘り気を利用して、オレはミドルキックの威力を相殺した。水のようにしなやかに動き、敵の攻撃を受け流すのだ。
「やろう! チョコマカと!」
斧を担いで、女戦士が構え直す。背が高く、身体の凹凸が激しい。これぞビキニアーマーといった豪華な出で立ちだ。
「なんという動きでしょう? 武術の心得でもあるのでしょうか?」
逆に武闘家の方は、ストンとした体型である。ピッグテールの髪型から、幼いといってもいい。かといって、未熟ではなかった。体内の気の流れを戦闘力に変換し、会心の一撃を放つのだ。
武器の重さや筋力に任せているアマゾネスと、余計な筋肉を削ぎ落とした武術家コンビである。
いつぞやの女勇者は、出る幕がない。
「いじめないで。あの子は悪い子じゃないよぉ」
勇者はなぜか、スライムであるオレを気遣っている。
「手を出すなよ勇者。パワーレベリングなら任せな」
「そうですよ。魔物は等しく排除せねば。コイツを街に入れたら危険です」
街になんて入るかっての。並み居る冒険者が、オレを経験値にしようとしてるんだから。
まったく、勇者が仲間と合流できてしまった。
女勇者は迷子だったらしく、一人であの危険な森に入っていったらしい。街まで誘導したら、仲間が待っていやがるとは。これも勇者の巧妙な作戦……なわけないか。
「あたしの【破滅の斧】をすり抜けるとはね」
破滅の斧は、持ち主の生命力を攻撃力に変換できる、危険な武器だ。魔物に寄って鍛えられた武器である。そのためニンゲンが装備すると、相手の生命すら吸い取ってしまう。その代わり恩恵はとてつもない。オレのような魔法さえ通さない強固な装甲を、いともたやすく粉々にする。
一方、武道家の装備もやばい。菌の装飾が施された、あの白いニーソックスが。
「さすが素早さトップクラスと言われるミスリルスライム亜種。【流星のタイツ】で敏捷性を上げた私に、この魔物はついてこられるのですね」
ただでさえ素早いモンククラスが、レアアイテムで速度強化をしてやがる。ただ、あっちも呪われているのだ。ヘタをすると、装備対象の筋組織を破壊してしまう。
「たとえこの身が砕けようと、魔王退治はやめねえ」
戦士が斧を振りかぶる。
「そうです。まずは刺客である彼を倒さねば」
流星の腕輪に【気】を流し込み、武道家はさらに速度を上げてきた。
何連続攻撃を仕掛けてくるんだ? さすがのオレでも、動きについていけなくなってきている。
アマゾネスも。台風のような猛攻を繰り返す。
「もらった!」
しまった。宙に浮いているところを狙われるとは。オレもヤキが回ったか?
「とどめ!」
女武道家も、ナイフのような鋭いケリを放つ。
逃げられない。同時に襲いかかってくる。
これは死んだか、オレ?
だが、魔物の力を凌駕したニンゲンの行き着く先は……。
「ぎっ!?」
やはり、限界を迎えたか。
アマゾネスと武道家の二人が、金縛りにあったかのように硬直した。
呪いが発動したのか。
二人の装備が、魔物の作った呪いのアイテムだからだろう。
同じ魔物であるオレを、守ってくれたのかも。
そうとわかれば、オレにも考えがある。
オレは、アマゾネスの筋骨隆々の腹から胸へとよじ登っていく。
「な、なにをするひゃあん!?」
おっと、デリケートなところに触ってしまったか。意外と胸も柔らかい。
「あはああっん!」
触られ慣れていないのだろう。
女戦士は嬌声を上げた。
「さてと、コイツは返してもらうぜ」
オレはアマゾネスから、斧をぶんどる。体内へと収納した。
魔物のオレなら、同質の呪い装備なんてワケない。呪いなんて受けずに回収できる。
アマゾネスはオレが移動すると、腰からへたり込む。ウットリした顔になっていた。
次は、武道家だ。
「や、やめなさいんん……」
金縛り状態の武道家の足から、ニーソを剥ぎ取る。こんなのがあったら、魔王軍は全滅してしまう。今のうちに、戦力を削いでおかないと。
「そ、そこはダメです」
身体が動かなくても、武道家つま先は動くらしい。ヒクヒクと、足の指を丸めていた。
さて、呪いの装備は回収した。
武道家も腰が抜けたのか、すっかりおとなしくなる。目がうつろになって、唇を舌でなめていた。
「おいお前、呪いが」
「はい。解呪されています」
戦士と武道家は、自分の身に起きたことを実感したようだ。
今のうちにずらかるか。早くしないと、呪いが解けた二人がまた動き出すからな。
「スライムくん、ひょっとして呪いを解いてくれたの?」
「結果的に解けただけだ」
あのまま放置しても、また二人は動き出せてしまう。その前に、戦力を奪ったに過ぎない。
「やっぱりキミは、悪いスライムくんじゃないよ!」
「うるっせえ! オレは悪いスライムだ! 言葉が通じねえのか!?」
さて、強い武器を奪還しましたよって、魔王様に報告だ。
二人は、女勇者が回復魔法を持っているから、大丈夫だろう。
オレは、そそくさと立ち去る。
「まってー。まだお礼をしてないよ」
「うるせえ。お前らなんて知るかっ!」
絶対にオレは、お前らの養分になんてならねえんだからな!
女戦士アマゾネスが、オレに向けて大きな斧を振り下ろす。
「ちっ」
ぴょんと、オレは飛び跳ねて避けた。
「スキあり! 会心の一撃!」
スリットが大胆な貫頭衣を来た女拳法家が、オレにケリを入れてくる。
粘り気を利用して、オレはミドルキックの威力を相殺した。水のようにしなやかに動き、敵の攻撃を受け流すのだ。
「やろう! チョコマカと!」
斧を担いで、女戦士が構え直す。背が高く、身体の凹凸が激しい。これぞビキニアーマーといった豪華な出で立ちだ。
「なんという動きでしょう? 武術の心得でもあるのでしょうか?」
逆に武闘家の方は、ストンとした体型である。ピッグテールの髪型から、幼いといってもいい。かといって、未熟ではなかった。体内の気の流れを戦闘力に変換し、会心の一撃を放つのだ。
武器の重さや筋力に任せているアマゾネスと、余計な筋肉を削ぎ落とした武術家コンビである。
いつぞやの女勇者は、出る幕がない。
「いじめないで。あの子は悪い子じゃないよぉ」
勇者はなぜか、スライムであるオレを気遣っている。
「手を出すなよ勇者。パワーレベリングなら任せな」
「そうですよ。魔物は等しく排除せねば。コイツを街に入れたら危険です」
街になんて入るかっての。並み居る冒険者が、オレを経験値にしようとしてるんだから。
まったく、勇者が仲間と合流できてしまった。
女勇者は迷子だったらしく、一人であの危険な森に入っていったらしい。街まで誘導したら、仲間が待っていやがるとは。これも勇者の巧妙な作戦……なわけないか。
「あたしの【破滅の斧】をすり抜けるとはね」
破滅の斧は、持ち主の生命力を攻撃力に変換できる、危険な武器だ。魔物に寄って鍛えられた武器である。そのためニンゲンが装備すると、相手の生命すら吸い取ってしまう。その代わり恩恵はとてつもない。オレのような魔法さえ通さない強固な装甲を、いともたやすく粉々にする。
一方、武道家の装備もやばい。菌の装飾が施された、あの白いニーソックスが。
「さすが素早さトップクラスと言われるミスリルスライム亜種。【流星のタイツ】で敏捷性を上げた私に、この魔物はついてこられるのですね」
ただでさえ素早いモンククラスが、レアアイテムで速度強化をしてやがる。ただ、あっちも呪われているのだ。ヘタをすると、装備対象の筋組織を破壊してしまう。
「たとえこの身が砕けようと、魔王退治はやめねえ」
戦士が斧を振りかぶる。
「そうです。まずは刺客である彼を倒さねば」
流星の腕輪に【気】を流し込み、武道家はさらに速度を上げてきた。
何連続攻撃を仕掛けてくるんだ? さすがのオレでも、動きについていけなくなってきている。
アマゾネスも。台風のような猛攻を繰り返す。
「もらった!」
しまった。宙に浮いているところを狙われるとは。オレもヤキが回ったか?
「とどめ!」
女武道家も、ナイフのような鋭いケリを放つ。
逃げられない。同時に襲いかかってくる。
これは死んだか、オレ?
だが、魔物の力を凌駕したニンゲンの行き着く先は……。
「ぎっ!?」
やはり、限界を迎えたか。
アマゾネスと武道家の二人が、金縛りにあったかのように硬直した。
呪いが発動したのか。
二人の装備が、魔物の作った呪いのアイテムだからだろう。
同じ魔物であるオレを、守ってくれたのかも。
そうとわかれば、オレにも考えがある。
オレは、アマゾネスの筋骨隆々の腹から胸へとよじ登っていく。
「な、なにをするひゃあん!?」
おっと、デリケートなところに触ってしまったか。意外と胸も柔らかい。
「あはああっん!」
触られ慣れていないのだろう。
女戦士は嬌声を上げた。
「さてと、コイツは返してもらうぜ」
オレはアマゾネスから、斧をぶんどる。体内へと収納した。
魔物のオレなら、同質の呪い装備なんてワケない。呪いなんて受けずに回収できる。
アマゾネスはオレが移動すると、腰からへたり込む。ウットリした顔になっていた。
次は、武道家だ。
「や、やめなさいんん……」
金縛り状態の武道家の足から、ニーソを剥ぎ取る。こんなのがあったら、魔王軍は全滅してしまう。今のうちに、戦力を削いでおかないと。
「そ、そこはダメです」
身体が動かなくても、武道家つま先は動くらしい。ヒクヒクと、足の指を丸めていた。
さて、呪いの装備は回収した。
武道家も腰が抜けたのか、すっかりおとなしくなる。目がうつろになって、唇を舌でなめていた。
「おいお前、呪いが」
「はい。解呪されています」
戦士と武道家は、自分の身に起きたことを実感したようだ。
今のうちにずらかるか。早くしないと、呪いが解けた二人がまた動き出すからな。
「スライムくん、ひょっとして呪いを解いてくれたの?」
「結果的に解けただけだ」
あのまま放置しても、また二人は動き出せてしまう。その前に、戦力を奪ったに過ぎない。
「やっぱりキミは、悪いスライムくんじゃないよ!」
「うるっせえ! オレは悪いスライムだ! 言葉が通じねえのか!?」
さて、強い武器を奪還しましたよって、魔王様に報告だ。
二人は、女勇者が回復魔法を持っているから、大丈夫だろう。
オレは、そそくさと立ち去る。
「まってー。まだお礼をしてないよ」
「うるせえ。お前らなんて知るかっ!」
絶対にオレは、お前らの養分になんてならねえんだからな!
0
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる