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第三章 デート? 違う! 遠出だっ!
第15話 デートへたくそ勢
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オレは引き留めようとしたが、星梨おばさんは強引に帰ろうとする。
「いい、快斗。ゲーセンは行っていいけど、自分が夢中になったらダメよ。あと念のため、一七時には出なさい。補導されるようなことはないと思うけど」
「わかったぜ」
「お昼は、好きになさい。夢希ちゃんに意見を聞くのよ。ただ、変にリードしようと会話をしたら、死ぬからね」
「おう」
「あと、水着。大事なことだからもう一回言うわ。水着を買うのを忘れちゃダメ」
なんか、こだわるなあ。
「星梨さんは水着を見ないんですか?」
「おばさんは、ラッシュガードでも着ておくわ。焼きたくないし。じゃあ楽しんでらっしゃい」
夢希からの質問をあっさりかわし、星梨おばさんは駅へ向かった。帰宅のタイミングで、トラックも来てくれるらしい。
「じ、じゃあ、先にメシでも食おう」
今なら、どこも混んでいないだろう。先に食事を済ませ、自由時間を謳歌することにした。
「なにか食べたいものはあるか?」
「食べたいものと言うより、カフェに行きたい」
夢希は男子とカフェなんて、初めて行くという。
「おお、初めてがオレでよければ、ついていくぞ」
カフェで軽食を取ることにした。
「男子に声をかけられたりは、しないのか?」
思えば、学校でどんな生活をしているか、お互い聞いたことがなかったな。
こんなかわいいなら、夢希はナンパされた経験もありそうだが。
「言っていなかったけど、ウチ女子校……」
夢希が、苦笑いを浮かべる。
話題を変えるか。
「一言でカフェっていっても、どこに行けばいいんだ?」
家電量販店の一階に、ちょうどチェーン店がある。ちょっと商店街の方へ歩いたら、純喫茶が目の前に。
「純喫茶は、行ったことがないな」
「オススメじゃないかな。前に冒険してみたけど、常連客がタバコを吸ってて」
読書したかったらしいが、アイスコーヒー飲んですぐに出たそうだ。
「それは、災難だったな」
「行くなら、清潔な場所がいい」
「わかった。だとしたら、やっぱチェーン店にするか」
オレには、このあたりの美味しい店なんて知らなかった。一人だとラーメン屋なんて手もあるが、晩飯も麺類だから今はありえない。
カフェの中でも、軽食に力を入れている店を選んだ。和洋中、すべてが揃っている。
モールのフードコートやハンバーガーショップという手もあった。が、もうこの時間帯で激混みしている。子ども連ればかりで。
「夕飯はナポリタン確定だから、昼は和食にするか」
「いいね」
オレはカツ丼とアイスカフェオレを。夢希はカレー丼とアイスコーヒーを選ぶ。
黙々と、二人でお椀物をかっ食らった。
「あ……」
不意に、夢希が箸を止める。なにか、重大なことに気がついたかのように。
「どうした、夢希?」
オレも、丼を置く。
「ここで、致命的なことに気がついた」
「え? なにかマズイことがあったか?」
「お互い、シェアし合えるものを頼んでいない」
そうだった。オレたちは、仮にも婚約者同士ではないか。カップルらしい行動を取るべきだった。油断していたな。思わずガッツリしたものを腹に溜め込む行動を取ってしまうなんて。
これでは、両者ただ単に腹を満たしに来ただけだ。
「なにか追加するか?」
「今はいい。お腹いっぱいだし」
夢希は首を振る。どうしようか、考えあぐねている様子だ。
「あ、たこ焼き」
「やっぱり、追加か?」
「じゃなくて。おやつタイムに、たこ焼きを買おう」
カフェの窓の向こうに、たこ焼き屋の屋台を見つけた。ビルの一角に、店を構えている。
「あそこでたこ焼きを買って、モールのベンチで食べよう。それってカップルぽくない?」
「そうだな」
残った中身を食べ終えて、オレたちはカフェを出る。
「しかし、つくづくオレってデートヘタだな」
自分でもイヤになるくらい、女の子をリードできていない。
「それは、お互い様。だから、水着選びで巻き返してよ」
「……スウウウ」
やはり夢希は、重大ミッションをお忘れではなかった。
「いい、快斗。ゲーセンは行っていいけど、自分が夢中になったらダメよ。あと念のため、一七時には出なさい。補導されるようなことはないと思うけど」
「わかったぜ」
「お昼は、好きになさい。夢希ちゃんに意見を聞くのよ。ただ、変にリードしようと会話をしたら、死ぬからね」
「おう」
「あと、水着。大事なことだからもう一回言うわ。水着を買うのを忘れちゃダメ」
なんか、こだわるなあ。
「星梨さんは水着を見ないんですか?」
「おばさんは、ラッシュガードでも着ておくわ。焼きたくないし。じゃあ楽しんでらっしゃい」
夢希からの質問をあっさりかわし、星梨おばさんは駅へ向かった。帰宅のタイミングで、トラックも来てくれるらしい。
「じ、じゃあ、先にメシでも食おう」
今なら、どこも混んでいないだろう。先に食事を済ませ、自由時間を謳歌することにした。
「なにか食べたいものはあるか?」
「食べたいものと言うより、カフェに行きたい」
夢希は男子とカフェなんて、初めて行くという。
「おお、初めてがオレでよければ、ついていくぞ」
カフェで軽食を取ることにした。
「男子に声をかけられたりは、しないのか?」
思えば、学校でどんな生活をしているか、お互い聞いたことがなかったな。
こんなかわいいなら、夢希はナンパされた経験もありそうだが。
「言っていなかったけど、ウチ女子校……」
夢希が、苦笑いを浮かべる。
話題を変えるか。
「一言でカフェっていっても、どこに行けばいいんだ?」
家電量販店の一階に、ちょうどチェーン店がある。ちょっと商店街の方へ歩いたら、純喫茶が目の前に。
「純喫茶は、行ったことがないな」
「オススメじゃないかな。前に冒険してみたけど、常連客がタバコを吸ってて」
読書したかったらしいが、アイスコーヒー飲んですぐに出たそうだ。
「それは、災難だったな」
「行くなら、清潔な場所がいい」
「わかった。だとしたら、やっぱチェーン店にするか」
オレには、このあたりの美味しい店なんて知らなかった。一人だとラーメン屋なんて手もあるが、晩飯も麺類だから今はありえない。
カフェの中でも、軽食に力を入れている店を選んだ。和洋中、すべてが揃っている。
モールのフードコートやハンバーガーショップという手もあった。が、もうこの時間帯で激混みしている。子ども連ればかりで。
「夕飯はナポリタン確定だから、昼は和食にするか」
「いいね」
オレはカツ丼とアイスカフェオレを。夢希はカレー丼とアイスコーヒーを選ぶ。
黙々と、二人でお椀物をかっ食らった。
「あ……」
不意に、夢希が箸を止める。なにか、重大なことに気がついたかのように。
「どうした、夢希?」
オレも、丼を置く。
「ここで、致命的なことに気がついた」
「え? なにかマズイことがあったか?」
「お互い、シェアし合えるものを頼んでいない」
そうだった。オレたちは、仮にも婚約者同士ではないか。カップルらしい行動を取るべきだった。油断していたな。思わずガッツリしたものを腹に溜め込む行動を取ってしまうなんて。
これでは、両者ただ単に腹を満たしに来ただけだ。
「なにか追加するか?」
「今はいい。お腹いっぱいだし」
夢希は首を振る。どうしようか、考えあぐねている様子だ。
「あ、たこ焼き」
「やっぱり、追加か?」
「じゃなくて。おやつタイムに、たこ焼きを買おう」
カフェの窓の向こうに、たこ焼き屋の屋台を見つけた。ビルの一角に、店を構えている。
「あそこでたこ焼きを買って、モールのベンチで食べよう。それってカップルぽくない?」
「そうだな」
残った中身を食べ終えて、オレたちはカフェを出る。
「しかし、つくづくオレってデートヘタだな」
自分でもイヤになるくらい、女の子をリードできていない。
「それは、お互い様。だから、水着選びで巻き返してよ」
「……スウウウ」
やはり夢希は、重大ミッションをお忘れではなかった。
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