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第六章 コラボ相手は関西人
第32話 長続きの秘訣
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You Tubeが誕生したのは二〇〇五年。日本語対応になったのは、二〇〇七年あたりだ。
それとほぼ同時期に、夫婦YouTuberの『タコ足配線』は動画公開を始めている。
当時は笑っていた周辺は、動画配信が金になると知ると、一斉に動画を始めたという。しかし、どれも鳴かず飛ばずのままに終わった。
一方、常に一万再生前後だったタコ足配線は、今でも配信を続けている。それも毎日だ。
「お金のためにやるから、続かへんねん。動画が好きやないと、しんどいだけやで」
小春さんが、肩を落とす。
「わかります」
日本で最も有名な動画配信者は、確認されている辺りで二〇〇六年のヒューマンビートボックス動画から始まった。二〇一〇年にバズるまで、ずっと毎日投稿していたらしい。
タコ足配線も同様に、どれだけ再生数が少なくても配信を続けていた。
「夫婦かて一緒や。ウチが大ちゃんと一緒になったんも、味も人柄も好きやったからやで」
「そうなんですか?」
「営業の接待で食べて、もう夢中になってた。あんな大胆な料理、割烹では食べたことなかったわ。せやけど、大ちゃんの味はお得意さんには受けへんかった。ほんでな。『ウチは好きです』って伝えてん。大ちゃんの料理食べて、ウチなんて性格変わったもん。この人が、かたくなやったウチを変えてくれてんよ」
そんな小春さんを、大二郎さんが意識し始め、交際の後に結婚したという。その頃には小春さんのトゲトゲしさも、すっかり失せていたとか。
「メンバー限定で、今でもうちの出産シーンは見られるよ」
特別に、出産場面を見せてもらった。
もう、言葉が出ない。
こちらが涙するほど、いろんな感情が湧いてくる。
夢希と手をつなぎながら、食い入るように動画を見ていた。
しかし一番泣いていたのは、大二郎さんだ。付き添っている場面でも、それを見ながらでも変わらず号泣している。
「せやけど娘はシャイでやあ。一〇歳になった辺りから撮らせてもらえんようになったわ。息子二人は、『野球してるとこ撮ってーや』ってうるさいのに」
あっははーと、小春さんは愉快そうに笑う。
「動画を続ける秘訣ってなんですか?」
大二郎さんが落ち着いたところで、オレは聞いてみる。
「あんたら、動画が続けられるんやったらそれでええ、ってワケやないやろ?」
「その気持ちやで。それがあったら、一生でもいけるさかい」
さて、こちらからの質問動画も、お開きとなった。
いよいよオレたちの方が質疑応答を受けて……というときだ。
「お母ちゃんただいまー。おなかすいたー」
ラケットを抱えた制服の少女が、玄関で靴を脱いでいる。それに続いて、少年二人が泥だらけのユニフォーム姿で帰ってきた。
「え、癒乃ちゃん!?」
夢希が、少女の姿を見て立ち上がる。
「あれ、ムギやん! なんでここにいてんの?」
どうも、この二人は知り合いのようだ。
「二人は、なんの関係者だ?」
「テニス部の全国大会で、ライバルだったコ。一回戦で当たってから、三年間ずっと競ってた」
それとほぼ同時期に、夫婦YouTuberの『タコ足配線』は動画公開を始めている。
当時は笑っていた周辺は、動画配信が金になると知ると、一斉に動画を始めたという。しかし、どれも鳴かず飛ばずのままに終わった。
一方、常に一万再生前後だったタコ足配線は、今でも配信を続けている。それも毎日だ。
「お金のためにやるから、続かへんねん。動画が好きやないと、しんどいだけやで」
小春さんが、肩を落とす。
「わかります」
日本で最も有名な動画配信者は、確認されている辺りで二〇〇六年のヒューマンビートボックス動画から始まった。二〇一〇年にバズるまで、ずっと毎日投稿していたらしい。
タコ足配線も同様に、どれだけ再生数が少なくても配信を続けていた。
「夫婦かて一緒や。ウチが大ちゃんと一緒になったんも、味も人柄も好きやったからやで」
「そうなんですか?」
「営業の接待で食べて、もう夢中になってた。あんな大胆な料理、割烹では食べたことなかったわ。せやけど、大ちゃんの味はお得意さんには受けへんかった。ほんでな。『ウチは好きです』って伝えてん。大ちゃんの料理食べて、ウチなんて性格変わったもん。この人が、かたくなやったウチを変えてくれてんよ」
そんな小春さんを、大二郎さんが意識し始め、交際の後に結婚したという。その頃には小春さんのトゲトゲしさも、すっかり失せていたとか。
「メンバー限定で、今でもうちの出産シーンは見られるよ」
特別に、出産場面を見せてもらった。
もう、言葉が出ない。
こちらが涙するほど、いろんな感情が湧いてくる。
夢希と手をつなぎながら、食い入るように動画を見ていた。
しかし一番泣いていたのは、大二郎さんだ。付き添っている場面でも、それを見ながらでも変わらず号泣している。
「せやけど娘はシャイでやあ。一〇歳になった辺りから撮らせてもらえんようになったわ。息子二人は、『野球してるとこ撮ってーや』ってうるさいのに」
あっははーと、小春さんは愉快そうに笑う。
「動画を続ける秘訣ってなんですか?」
大二郎さんが落ち着いたところで、オレは聞いてみる。
「あんたら、動画が続けられるんやったらそれでええ、ってワケやないやろ?」
「その気持ちやで。それがあったら、一生でもいけるさかい」
さて、こちらからの質問動画も、お開きとなった。
いよいよオレたちの方が質疑応答を受けて……というときだ。
「お母ちゃんただいまー。おなかすいたー」
ラケットを抱えた制服の少女が、玄関で靴を脱いでいる。それに続いて、少年二人が泥だらけのユニフォーム姿で帰ってきた。
「え、癒乃ちゃん!?」
夢希が、少女の姿を見て立ち上がる。
「あれ、ムギやん! なんでここにいてんの?」
どうも、この二人は知り合いのようだ。
「二人は、なんの関係者だ?」
「テニス部の全国大会で、ライバルだったコ。一回戦で当たってから、三年間ずっと競ってた」
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