おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

文字の大きさ
55 / 70
第九章 おひとりさまYouTuber ふたりきり

第55話 ドキドキ ふたりぼっち

しおりを挟む
 部屋に戻って、休むことにした。洗濯物は、部屋に戻す。

 少し眠って起きると、夢希ムギが汚れ物を取り込んでくれていた。

 キッチンに向かうと、エプロン姿の夢希が食事を取っている。炊飯器に残っていた米で作ったらしき茶粥と、出来合いの惣菜だ。

「気を使わせちまったか?」

「そうじゃないよ。一応キッチンに立ってみたんだけど、なんか作る気が起きなくって」

 夢希は、苦笑いをする。

「ありがとうな。夢希」

「いい。快斗カイトこそ、ムリしないで」

「もう大丈夫だ。少しふらつくが、お前の看病のおかげで多少は動ける」

 腹が減ったので、おかゆをもらうことにした。

「おいしい?」

「うまい。身体に染み込んできやがる」

「レンチンで温めたからだろうね。ホントは『あーん』してあげたいんだけど」

「平気だ。自分で食ってもうまいよ」

 多分、『あーん』するくらい身動きが取れない状態では、メシを食ってはダメだ。まだ、消化に体力を使えないわけだからな。自分で動けて、腹が鳴って、ようやく食ってもいいのだろう。 

「空腹になるくらは、回復したみたいだね。おくすりが効いたっぽい?」

「ああ。おそらく」

 どうしよう。無言が続く。
 お互いが気を使いすぎて、会話が成り立たない。
 しかし、しゃべって気を紛らわせないと、変な空気になりそうなのだ。

「うまかった。ありがとうな」

「ただの卵かゆだよ?」

「それでもうれしい。お前も、しんどかったら言ってくれ」

「いいから。じゃあ、洗い物するね」

 夢希が台所に立って、土鍋を洗う。

「すまねえ。家事も分担作業なのに、色々させちゃって」

「いいって。むしろ洗濯は自分でしたいかな」

「あああああ」

 そうだった。オレさっき、夢希の下着姿を見てしまったのである。今でも目に焼き付いて、離れてくれない。

「そうだ。配信どうしようか?」

 気をまぎらわせるために、動画の話を始めた。

「そんな身体じゃムリだよ。わたしも休みを取るよ」

「いや。こういうのって、クセになる」

 ちょっとしたことがあっただけで、すぐに休んでしまうだろう。変に間を空けて、動画配信をしづらくなるのは避けたい。

「ショートだけアップして、近況だけ」

「快斗がそれでいいなら」

「夢希はどうするんだ?」

「快斗が元気になった看病レシピ」

 うれしいことを、言ってくれる。

「ありがとうな。オレ、ちょっとだけ出ていいか?」

「いいよ。なんか、元気になってくれてうれしい」

「そうか。オレも感謝してる」

 こうして、台風の一日目が過ぎていった。
 


 しかし、今度は夢希が寝込んでしまう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

処理中です...