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最終章 カップルYouTuber、決意の……
第69話 最初で最後かもしれない、生配信
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「よお、カイカイだ。生放送であいさつするのは、初めてだな? 今日は、以前から宣言していた、生放送での重大発表の回だ。本当は夕日の見える場所でやりたかったんだが、ちょっとまだ暑くてな。今から場所を移動するぞ。移動がてらの自己紹介になる」
「よぉ、ムゥだ。重大発表なのにTシャツなのは勘弁な」
「ハハ……今日は、『恋人たちの岬』って場所で配信をしているぞ。ここで願い事を宣言すれば、叶うって言うからな」
「で、やってきたわけだけど、暑いわ遠いわで。これは脱落者が続出するのもわかる」
「だよな。マジできつかったぞ。というわけで、今はゴール手前の小屋で、配信しているぞ。ちょっとスポドリをいただく……ああ、生き返るな。エアコンが効いているのもありがたい」
「だよね。これがなかったら、マジで干からびる」
「ああ。というわけで、重大発表だ。ムゥ、どうぞ」
「えっと、わたしは来年の春から、海外へ語学留学に行ってきます」
「おお。コメントが大量に流れてきたぞ。あっ、MØMIJIから、投げ銭が来たな。ありがとう!」
「ありがとう。餞別だって。五〇〇円でもうれしいね」
「うちはメンバーシップとかはやってねえからな。でな。オレの方は重大発表とかではないけど、一応進路に関して発表だけしておこうと思う。オレは、進学しない」
「そうなんだ」
「ムゥが海外に行っている間、金を稼ごうと思ったんだ。そしたら、いつでもお前に会いに行けるだろ? 大学生になったら、自分のことで手一杯になっちまうからな。バイトもろくにできん。だったら、最初から勤めようかと」
「そうなの?」
「ああ。考えた結果、大学の単位は通信教育で取ろうと考えてるんだ。【タコ足配線】の小春さんから聞いたらな、あの人も●✕大学の法学部を出ているらしいんだ。通信教育で。二〇万あれが受けられるってよ」
「へえ。そんな制度もあるんだね?」
「オレも法律には詳しくなっておきたい。だから学位は取るけど、大学には行かないつもりだ。なんせ学費が高いからな。それで、叔母の会社に雇ってもらうことにした」
「またMØMIJIから、投げ銭が来たよ。教育費だって」
「ありがとうな! オレなんかにまで金をくれて。ムゥと大切に使わせてもらうからな!」
「それじゃあ、メインイベントしよっか」
「おう。この小屋で買った南京錠に、願いごとを書いて。書いたか?」
「書けた。裏には、カイカイが書いて」
「よし。オレも準備できた。こいつを、フェンスに。つけたぞ」
「待って。キスしないと叶わないって」
「え、さすがに配信は切るか。これ。子どもだって見て――ん!?」
「……んふふ。首から上は見えてないけど、キスしましたっ」
「されました! あはは! 変な汗が出てきた。じゃあ、終わるか!」
「終わろう! みんな、一応ね、動画は続けるので。多分、配信するなら、勉強の風景を垂れ流す配信を考えてる。わたしたち二人と一緒に、勉強しよう!」
「だな! じゃあ、オレたちはこれから、猛勉強に入るから、更新頻度はどうなるかわからんが、一応は続けるからな! じゃあ、また」
直後、オレは配信を切った。
夢希が泣き出したからだ。
「よぉ、ムゥだ。重大発表なのにTシャツなのは勘弁な」
「ハハ……今日は、『恋人たちの岬』って場所で配信をしているぞ。ここで願い事を宣言すれば、叶うって言うからな」
「で、やってきたわけだけど、暑いわ遠いわで。これは脱落者が続出するのもわかる」
「だよな。マジできつかったぞ。というわけで、今はゴール手前の小屋で、配信しているぞ。ちょっとスポドリをいただく……ああ、生き返るな。エアコンが効いているのもありがたい」
「だよね。これがなかったら、マジで干からびる」
「ああ。というわけで、重大発表だ。ムゥ、どうぞ」
「えっと、わたしは来年の春から、海外へ語学留学に行ってきます」
「おお。コメントが大量に流れてきたぞ。あっ、MØMIJIから、投げ銭が来たな。ありがとう!」
「ありがとう。餞別だって。五〇〇円でもうれしいね」
「うちはメンバーシップとかはやってねえからな。でな。オレの方は重大発表とかではないけど、一応進路に関して発表だけしておこうと思う。オレは、進学しない」
「そうなんだ」
「ムゥが海外に行っている間、金を稼ごうと思ったんだ。そしたら、いつでもお前に会いに行けるだろ? 大学生になったら、自分のことで手一杯になっちまうからな。バイトもろくにできん。だったら、最初から勤めようかと」
「そうなの?」
「ああ。考えた結果、大学の単位は通信教育で取ろうと考えてるんだ。【タコ足配線】の小春さんから聞いたらな、あの人も●✕大学の法学部を出ているらしいんだ。通信教育で。二〇万あれが受けられるってよ」
「へえ。そんな制度もあるんだね?」
「オレも法律には詳しくなっておきたい。だから学位は取るけど、大学には行かないつもりだ。なんせ学費が高いからな。それで、叔母の会社に雇ってもらうことにした」
「またMØMIJIから、投げ銭が来たよ。教育費だって」
「ありがとうな! オレなんかにまで金をくれて。ムゥと大切に使わせてもらうからな!」
「それじゃあ、メインイベントしよっか」
「おう。この小屋で買った南京錠に、願いごとを書いて。書いたか?」
「書けた。裏には、カイカイが書いて」
「よし。オレも準備できた。こいつを、フェンスに。つけたぞ」
「待って。キスしないと叶わないって」
「え、さすがに配信は切るか。これ。子どもだって見て――ん!?」
「……んふふ。首から上は見えてないけど、キスしましたっ」
「されました! あはは! 変な汗が出てきた。じゃあ、終わるか!」
「終わろう! みんな、一応ね、動画は続けるので。多分、配信するなら、勉強の風景を垂れ流す配信を考えてる。わたしたち二人と一緒に、勉強しよう!」
「だな! じゃあ、オレたちはこれから、猛勉強に入るから、更新頻度はどうなるかわからんが、一応は続けるからな! じゃあ、また」
直後、オレは配信を切った。
夢希が泣き出したからだ。
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