38 / 49
第四章 魔獣少女とお嬢様! 本当の敵は!?
第38話 魔獣少女、殴り合いに決着
しおりを挟む
「わたくしが、二番手?」
あきらかに、イヴキ様が不快感を見せた。
「はい。わたしの家族を天秤にかけた段階で、あなたは策に溺れた」
おそらく、わたしの本気を出させるには、これしかないと思ったのだろう。
そこまでしなくても、いくらでも相手になるのに。
「あなたは、魔獣少女では二番目ですね」
「実際に二番手かどうかは、来栖 仁絵さん、あなたがお決めになって!」
イヴキ様が、全力で襲いかかってくる。
ここが、勝負どころだ。おそらくお互いに限界を迎えている。
やはり、魔獣少女の力を使わない戦闘は無理があった。
両者ともボロボロで、一瞬の油断もできない極限状態である。
集中力が続かない。
みぞおちにボディブローを、浴びせてくる。急所を狙う一撃だ。
わたしは、あえて食らった。かわさない。
「な……」
避けると思ったのだろう。
そんな余裕などあるものか。こちらもギリギリの戦いをしていた。
痛みが全身を駆け巡る。意識が吹っ飛びそうになった。
だが、落ちてやらない。彼女を目覚めさせるまで、負けるわけにはいかないのだ。
「でやあ!」
身体を無理やりねじって、パンチを止める。
筋肉で攻撃を止められ、イヴキ様が困惑していた。
「ぬん!」
カウンターで肘打ちを決める。心臓へ。
寸勁、いわゆるワンインチ・パンチとも呼ばれる技だ。ゼロ距離から放つ技と言ったら、これしか思いつかない。やれるかどうかわからなかったが。
ビクン、と、イヴキ様の身体がわずかに跳ねた。そのまま、白目をむいて倒れ込む。
わたしも、同じように床へ身体を沈めた。
一分も経っていないだろう。わたしたちは目覚める。
体の傷も、元通り。
「う、ん。わたくしたちは、どれくらい眠っていましたか?」
イヴキ様が、身体を起こす。
「数秒です。すぐに魔獣が、起こしてくれたようですね」
「そうですか。鮮やかに負けました。さすがですわ、ヒトエさん」
イヴキ様が、わたしを下の名で呼んだ。
「いい勝負でした、イヴキさん」
わたしも、様付けをやめる。これからは、対等に接したい。
「起きられますかしら?」
イヴキさんが、わたしに手を差し伸べてきた。
「ありがとうございます」
手を借りて、わたしは立ち上がる。
よく見ると、お互いが魔獣少女の姿になっていた。二体の魔獣が、主人の肉体に宿ったのだろう。
「ありがとうございます、先輩」
『バカ野郎。お前に死なれたら、敵討ちができないからだ』
わたしたちが話していると、『敵討ち?』と、サマエルが話に入ってきた。
「ああ、話していなかったですね。わたしは、バロール先輩のお友だちを殺した相手を探しているのです」
『ヘカトンケイルの、ですか?』
サマエルは、【九尾の狐】のことを知っているようだ。
『あの魔獣は、もう二度と魔獣少女の戦いができないように願う予定だったそうです。けれど、何者かがそれを許さなかった。その人物によって、彼女は殺されたのではないかと言われています』
「誰なんですか?」
『そこまでは。ですが、かなり上位の存在であることは確かです。並の敵ではないでしょう。ならば、相手は絞られるはず』
あきらかに、イヴキ様が不快感を見せた。
「はい。わたしの家族を天秤にかけた段階で、あなたは策に溺れた」
おそらく、わたしの本気を出させるには、これしかないと思ったのだろう。
そこまでしなくても、いくらでも相手になるのに。
「あなたは、魔獣少女では二番目ですね」
「実際に二番手かどうかは、来栖 仁絵さん、あなたがお決めになって!」
イヴキ様が、全力で襲いかかってくる。
ここが、勝負どころだ。おそらくお互いに限界を迎えている。
やはり、魔獣少女の力を使わない戦闘は無理があった。
両者ともボロボロで、一瞬の油断もできない極限状態である。
集中力が続かない。
みぞおちにボディブローを、浴びせてくる。急所を狙う一撃だ。
わたしは、あえて食らった。かわさない。
「な……」
避けると思ったのだろう。
そんな余裕などあるものか。こちらもギリギリの戦いをしていた。
痛みが全身を駆け巡る。意識が吹っ飛びそうになった。
だが、落ちてやらない。彼女を目覚めさせるまで、負けるわけにはいかないのだ。
「でやあ!」
身体を無理やりねじって、パンチを止める。
筋肉で攻撃を止められ、イヴキ様が困惑していた。
「ぬん!」
カウンターで肘打ちを決める。心臓へ。
寸勁、いわゆるワンインチ・パンチとも呼ばれる技だ。ゼロ距離から放つ技と言ったら、これしか思いつかない。やれるかどうかわからなかったが。
ビクン、と、イヴキ様の身体がわずかに跳ねた。そのまま、白目をむいて倒れ込む。
わたしも、同じように床へ身体を沈めた。
一分も経っていないだろう。わたしたちは目覚める。
体の傷も、元通り。
「う、ん。わたくしたちは、どれくらい眠っていましたか?」
イヴキ様が、身体を起こす。
「数秒です。すぐに魔獣が、起こしてくれたようですね」
「そうですか。鮮やかに負けました。さすがですわ、ヒトエさん」
イヴキ様が、わたしを下の名で呼んだ。
「いい勝負でした、イヴキさん」
わたしも、様付けをやめる。これからは、対等に接したい。
「起きられますかしら?」
イヴキさんが、わたしに手を差し伸べてきた。
「ありがとうございます」
手を借りて、わたしは立ち上がる。
よく見ると、お互いが魔獣少女の姿になっていた。二体の魔獣が、主人の肉体に宿ったのだろう。
「ありがとうございます、先輩」
『バカ野郎。お前に死なれたら、敵討ちができないからだ』
わたしたちが話していると、『敵討ち?』と、サマエルが話に入ってきた。
「ああ、話していなかったですね。わたしは、バロール先輩のお友だちを殺した相手を探しているのです」
『ヘカトンケイルの、ですか?』
サマエルは、【九尾の狐】のことを知っているようだ。
『あの魔獣は、もう二度と魔獣少女の戦いができないように願う予定だったそうです。けれど、何者かがそれを許さなかった。その人物によって、彼女は殺されたのではないかと言われています』
「誰なんですか?」
『そこまでは。ですが、かなり上位の存在であることは確かです。並の敵ではないでしょう。ならば、相手は絞られるはず』
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる