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24、緊急事態発生!
しおりを挟む「ブルックリンさん、今のは私が教えた魔法陣ね。そして魔法陣に触れている生命のエネルギーを少しづつ貰うってよく考えたわね。」とニコニコしながらアメリア先生がブルックリンの傍まで来た。
「ええ、国の法律では人の生命を奪ってしまうのは禁呪とされていますが、約3割を奪って魔法陣に取り込む事までは禁止されていませんから。」とぬけぬけと言い放った。
「――――3割ね。でもそれだけじゃないでしょ?」と今度は笑いながらブルックリンに聞いている。さすが魔法陣をブルックリンに教えているだけはある。全てお見通しのようだ。
「――――ええ、どうしても土魔法は攻撃の魔法が乏しいので・・・・」と言いながらエネル先生に治療を施されているエドワードを見ながら、
「――――エドワード君の攻撃魔法を利用して、そのまま返す魔法を魔法陣の中に組み入れました。なのでエドワード君は自分自身の攻撃を3割増しで受けた事になりますね。」と煤で汚れた頬を手で掻いて苦笑いした。
「まあ、ふふふっ!!」とアメリア先生は愉快そうだ。楽しくて楽しくて堪らないと言った表情だ。
それもそのはず、後で聞いた話によると、前日の職員室で、火属性の授業を受け持っているスチュワート先生から、職員全員の前で、
「所詮、土属性は攻撃のパターンに欠けますからなあ。ましてやこちらのエドワード君は、近年稀に見る成績優秀者だ。ブルックリンさんも頑張っているのは話には聞いてるが、まあ、火属性のエドワード君の敵にはならないでしょうね。」とのたまっていたのだそうだ。
その時、アメリア先生は大変腹が立ったが、ブルックリン自身が大変研究熱心に魔法陣を学んでいる事を分かっていたので、(ふん、勝負はやって見ないとわからないわ。)と思いつつその場をやり過ごしていた。らしい。
「ブルックリンさん。」とエドワードがブルックリンに近寄って来た。
「――――君の勝ちだ。あの魔法陣を見た時に僕は気が付けなかった。」と俯いた。
「エドワード君、貴方も強かったです。あの魔法陣は私の最後の賭けでした。もしあれを見破られたり、感づかれていたら負けていたのは私の方です。」と言いながら右手を差し出し握手を求めた。
「・・・・ああ。」とエドワードも手を差し出すと、お互い固い握手を交わした。
その場にいた観客席や貴賓席の皆が拍手をして見事な戦いを繰り広げた両者を讃えた。
その時だった。学園長の元へ一羽のハトが舞い降りたのは。
ハトは民間の情報屋が使っている使い魔で、有料で伝言を届けてくれる。今この国でこれ以上早い情報を伝える手段はない。
ハトから伝言を聞いた学園長はフィールドにいるブルックリン達の傍へ駆け寄り、
「ブルックリン君、今すぐ実家へ帰りなさい。仕事中の大けがにより、お父さんが危篤なんだそうだ。学園からホバーを出す。それに乗って行くと良い。」と言いながら校長先生は今度はローガン先生にも指示を出し始めた。
ローガン先生は校長先生の指示に従い、まずエネル先生に回復の魔法をブルックリンに掛けさせた。これでブルックリンの体力が回復した事が確認されると、横からアメリア先生が、
「ブルックリンさん、保健室に制服の着替えがあります。着替えてから帰りなさい。さあ急いで。」とブルックリンの手を引いた。
アメリア先生に連れられて保健室に向かい、バタバタと着替えを済ませると、既に保健室の外でローガン先生が待っていて、「ブルックリンさんこっちよ。」とホバー乗り場へ付き添ってくれた。
「もう、情報は登録して置いたわ。乗って。」とブルックリンをホバーへ押し込むと「この子の家へ行ってちょうだい。」と言ってホバーに声を掛けた。フワリと浮かぶホバー。
「――――ブルックリンさん、気を確かに持つのよ。後で先生も行ってあげるから。」と話す声を聞いたのが最後、上空に大きくホバーが浮きあがった。
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