美しい箱庭で愛する人と暮らしたい。義妹よ邪魔をしないで下さい。

釋圭峯

文字の大きさ
7 / 36

アトリエ

しおりを挟む

私の方から見ても分かるぐらいアンリエッタが震えている。

お母様に至っては目の周りが赤くなっていた。

「じゃあ、私はこれで失礼するよ。これから出かけなければ行けないからね。」と言うと席を立ち食堂から出て行った。

「あっ、貴方。」と言いながらお母様も後を追いかけた。もちろんアンリエッタもお母様に付いて行った。

玄関先で何か言い合っている。

フローレンスはそぉっと離れへ戻った。先にマリーがアトリエの荷造りを始めてくれていた。

「ありがとうマリー。」と声をかけフローレンスも隣で作業を始めた。新しいアトリエはここから徒歩5分ほどなので屋敷のスタッフも何名か運ぶのを手伝って貰った。

新しいアトリエは小綺麗でミニキッチンが付き、日当たりも良かった。簡易ベッドもあり仮眠も取れる。

机を入れると結構狭くなってしまったが、まぁアトリエなのでこれで良いだろう。
さぁ、これから足りない絵の具や壊された道具
を買い足しに行こう。

伯爵家の馬車をこちらへ回してもらい、街へ出た。そう言えば欲しかった本があった。
先に本屋さんへ行こう。
アンリエッタに絵の具セットを壊されて沈んでいた気持ちが少し上向いた。

本屋さんで有名なガーデナーの本を買い、自分の本も見てみた。印刷の色の出具合を見たかったのだ。まぁ、これぐらいかな?
本当ならもう少し暗めに出てると思ったんだけど。

独りごちながら絵の具を買いに店に入った。

「あぁ、新色がある。」と呟くと手に取りじっくりと眺めた。良い色だわ。次の作品に使えるかしら?

いけない、今日はたくさん絵の具を買わなければならないんだった。と思い出し手際よく買い物カゴへ入れて行った。新しいブラシも何本か入れた。ペン先、インク、定規、水入れ。

気がつくと結構な量だ。

何とか買い物を済ませてアトリエに帰った。
買って来た物を配置してようやく仕事が出来る環境になった。

喉が渇いたのでミニキッチンでコーヒーを作った。一口飲み、ふぅ、とひと呼吸すると気持ちが落ち着いて来た。あっ、おやつでも買っておけば良かった。残念。

その時ドアをノックする音が聞こえた。

鍵を外しドアを少し開けてみるとお父様だった。

「あぁ、お父様どうぞお入りください。」と案内し、椅子を出した。


「どうだ?仕事は再開出来そうか?」

「はい、先ほど買い出しに出かけたのでひとまずは再開出来ます。」 

「そうか良かった。あっ、そう言えばクリス侯爵様が3日後にお前を屋敷へ招きたいから迎えを寄越す。と連絡があった。どうだ行けそうか?無理なら私から断っておくが。」

「いえ、大丈夫ですよ。わかりました。時間は何時ごろですか?」

「あぁ、食事を共にしたいとおっしゃられてて、11時ごろに我が家へ馬車を着けて下さるらしい。」

「わかりました。お父様。手土産は何が良いでしょう?」

「その辺は私が用意しておこう。あと、帰りも送ってくださるらしい。くれぐれも粗相の無いようにな。」

「そうですね。失礼の無いようにしなくては行けませんね。気を付けておきますわ。お父様。」

「ところであれからハインツ様とはどうなんだ?」

「特には何もありませんよ?」

「そうか。わかった。」

「お父様、そろそろ夕食ですわね?私も馬車で屋敷にご一緒しますね。」

「あぁわかったよ。一緒に帰ろう。」

私はお父様が馬車で待っていて下さる間に、カーテンを閉めアトリエの戸締りをし馬車に乗り込みました。

鍵がかけられる。ってやっぱり安心するわね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~

ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。 彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。 ――死んだはずの彼女が、生きている? 同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。 「今さら、逃げ道があると思うなよ」 瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。 秘された皇子と、選び直した愛。 三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?    * * * 後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。

毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

処理中です...