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家族
しおりを挟む食堂に入るとお母様が「フローレンス、離れの方はもう大丈夫なの?」と聞いて来た。
「えぇ、はい、とりあえずは仕事に必要な物は買い揃えましたので。明日から仕事を再開させようと思っています。」と答えた。
「そう、良かったわ。あと週末のクリス侯爵家の話も聞いたわ。母親として手伝える事があったら言って頂戴ね。」と言って来た。
「はい、ありがとうございます。また宜しくお願いしますね。」と微笑んで返して置いた。
アンリエッタは俯きこちらを見ようともしない。まぁ、随分ご機嫌斜めね。
そんな事を思いながら自分の席に着いた。
「みんな揃っている様だな。では戴くか。」
と言うお父様の合図に食事を始めた。
お母様が話を振ってくるが、特に広げようとは思わない。ええ、はい。と答えるのみだ。
正直息が詰まりそう。
そんな雰囲気を打ち破るかの様にお父様が話し出した。
「喜べアンリエッタ、お前に縁談が来ているぞ。」
「えっ、そうなんですか?どちらの方なんでしょうか?」とアンリエッタが聞いている。
「ジョーンズ伯爵家のマックス様と、シシリー辺境伯のアルバート様だ。」
「どうするんだ?私はどちらの方々も魅力的だと思う。」
「・・・どちらも長男の方ですわね。お父様、私はこの家を出るつもりはありません。」
「だが、実際には我が家へ入ってくれる殿方なんて今のところは聞いてない。もっと現実を直視しなさい。」
「そっ、そんな!ではお姉様は?」
「どうして私が関係するのです?」と聞いてみた。
一瞬ギョッとした顔をして、「いえ、何でも有りませんわ。」と口を閉じた。
「アンリエッタ、近いうちに返事をしなさい。間をおく事は許さない。わかったね?」とお父様が念を押してアンリエッタに返事をする様にと伝えていた。
食事が済むと離れに向かう最中にマリーに会った。マリーは私を見つけると微笑みながらやって来た。
「フローレンスお嬢様、今年も庭のリンゴの実が熟して来ました。そろそろ収穫しようと思いますが今年も甘煮とジャムで良いですか?」
「ええ、そうして貰える?両方とも料理長にお任せして。そして、出来上がったジャムは今年のクリスマスの肉料理の付け合わせに使って欲しいと伝えて。」
あっそうそう、忘れないうちに。
「あと、明後日のクリス侯爵家の話は聞いてる?」「はい、伺っています。」
「その時のお出かけ着をマリーにお任せしたいの。頼めるかしら?なるべく動き易い物が良いわ。」
「ええ、わかりました。可愛らしい雰囲気を目指しますね。」と笑って引き受けてくれた。
フローレンスが侯爵家へ行く日になり、マリーが選んだお出かけの服装に着替えていた。
町娘風の動きやすそうな服装だ。可愛い水玉のエプロンは必要なら侯爵家でお付けくださいね。と渡された。
さすがマリー、侯爵家で庭園を手伝う可能性も考えてくれている。チラリと見ると作業用の手袋まで用意してあった。
ふふっ、マリーったら。しっかりしてるわね。
そうそうお父様から渡された手土産は年代もののワインだった。
「お嬢様そろそろかと。」とマリーから声がかかり玄関ホールへと出た。
暫くすると、来客が告げられ馬車が着いた。
迎えに来たのは何とハインツ様だった。
「こんにちはフローレンス嬢、今日は私がご案内しますよ。」と馬車へとエスコートされました。
「今日は以前お話ししていた展示会へ先に行きませんか?もちろん父には許可をとって来ました。昼食は評判の多国籍料理のお店を考えています。」
「えっ、でも、、、本当に宜しいのでしょうか?」
「大丈夫です。私が責任取りますよ。」と笑ってました。
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