美しい箱庭で愛する人と暮らしたい。義妹よ邪魔をしないで下さい。

釋圭峯

文字の大きさ
10 / 36

フローレンスのスケッチ

しおりを挟む



クリス侯爵は玄関まで出迎えてくれた。
「やぁ、よく来てくれたね。フローレンス嬢。」
「お招きに預かり光栄です。本日はお迎えも寄越して下さりありがとうございます。こちら、父から預かって来ました。ワインだそうです。」と手土産のワインを手渡した。

「私は家内のポリアンナよ。宜しくね。」と
手を差し出されました。私はその手を握り
「フローレンス・サフィノワと申します。宜しくお願いします。」と握手を交わした。

「フローレンス嬢、本来なら昼食をここで食べて貰おうと思ってたんだが。。。
コイツが貴女と外で食べてくるから。と聞かなくてな。」と隣にいたハインツ様を肘で突いていた。

「とりあえずお茶でもいかが?フローレンスさん。家のパティシエは中々センスが良いのよ?」とにこやかに奥様がおっしゃられた。

「そうなんですね。楽しみです。甘い物には目が無いので。」と話すと

「そうよね。人生には甘いお菓子は重要よ!」と奥様がパチンっとウインクされた。

侯爵家夫婦とハインツ様と私でティールームでの時間は和やかに進んだ。

侯爵家のパティシエは確かに腕が良く、今はクリスマスを模したお菓子をたくさん並べてくれていた。これは目にも楽しいわ。

出されたお茶の品質も良く香りがとても豊かで、幸せな気持ちにさせられた。良い香りを嗅いだ時ってどうして時間の流れがゆっくりに感じるのでしょうね。


あと箱庭の話になり、作ったのが祖母だと話すと奥様はとても驚かれていた。


「フローレンスさん、そろそろ庭園へ行こうか?」と侯爵様がそわそわと待ち切れない様子。「はい、楽しみです。」と返事をするとハインツ様が「俺が案内するよ。」と言い出した。

「はは、これには参ったね。」と侯爵様が苦笑いしていた。

ハインツ様が手を差し出したのでその手を取り、庭園へと案内されました。私たちの後ろを侯爵家夫妻が着いて来ます。

「ここだよ。この部分が空いててどうしようかって悩んでたんだ。」と庭園の隅の一角を示されました。

周りとのバランスも見たかったので、他に植わっている植物もじっくりと見た。当たり前かもだけどここの庭園は男性の目線なのね。デザインがシンプルで大胆。でも私なら。。。。もう少し柔らかさが欲しいかなぁ。アイビーやヘデラなどを増やし曲線を増やすかな?

ここにチューリップが植わってるみたいだけど、春には桜草も咲くとより一層綺麗ね。咲く時期を少しずらして小手毬も入れておくと良いかも。

せっかくここまでエスコートしてもらったが、来た道を戻り、手荷物を取りに行った。ハインツ様や侯爵家夫妻は唖然として見ているが気にならない。

カバンからスケッチ帳と色鉛筆を出して元に戻った。そして庭を観ながら立ったままスケッチを始めた。

頭の中で考えるのと、実際に紙に落とし込み俯瞰で眺めるのは全然違う。

細かい所も描き続けて、この庭園の全体図から空いた部分の補充をどう入れるかを描いていった。

はっ、と気がつくと皆さんが不思議な表情で私を見ていた。

「すっ、すいません。私ったら描き出すと周りが見えなくなってしまって。」とひたすら謝った。

「凄いね、フローレンスさん。」とクリス侯爵様が目を輝かせていた。

「お粗末ですが。何かの参考になれれば幸いです。」とスケッチ帳から庭園を描いた部分を破り取り侯爵様に渡した。じっくりとご覧になられ、奥様もそのあと手に取って眺めていた。

「凄い!何て上手なの?」と奥様も感動していました。2人でしばらく紙を見ながらあーでもない、こーでもない。と言い続けてました。

「もう陽が落ちて居ますので、すいません。
そろそろお暇させて頂きたいのですが宜しいですか?」と聞いてみた。

「あぁ、そうだね。そろそろお送りするとしよう。気がつかなかった。すまない。」とお詫びを受けました。

「いえいえ、お気になさらず。大丈夫です。」と返事をすると、横から「俺が送っていくよ。」とハインツ様がおっしゃったので「宜しくお願いします。」と頼みました。

「フローレンスさん、今日はハインツに振り回されただろう?今度からはもう少しゆっくり時間をとろう。」と笑いながらクリス侯爵様がおっしゃいました。

えっ、今度があるの?と思ったが
「はい、わかりました。」とだけ答えておいた。

「行きましょうか?フローレンス嬢。」と手を取られ馬車までエスコートされた。

見送って下さった侯爵夫婦に改めてお礼を述べて馬車に乗り込んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~

ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。 彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。 ――死んだはずの彼女が、生きている? 同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。 「今さら、逃げ道があると思うなよ」 瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。 秘された皇子と、選び直した愛。 三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?    * * * 後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。

毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

処理中です...