32 / 36
ランチと庭園と図書館と。
しおりを挟むフローレンスがリンダ医師に向い「今日はありがとうございました。」と礼をしながら診察室を後にすると、廊下の壁にもたれ待っていたハインツ様がフローレンスの表情を眺めながら
「フローレンス嬢、お疲れ様でした。この後昼食に行きませんか?リンダ医師のお勧めの通りここのレストランのランチは秀逸ですよ。」と誘ってくれた。
「あと、ここの庭園を眺めながらランチが頂けるんです。」と小声でフローレンスに大変良く効く言葉のボディーブローを放った。
「ーーうっ。ご一緒させて下さい。」と返事をするとハインツ様が破顔し「了解しました。」と再びエスコートされレストランへ向かった。
少し歩いたが、ハインツ様が普段の勤務の話やここの図書館の話などをして下さり、あっという間にレストランに着いた。何でも結構お値打ちでランチが頂けるらしい。
レストランに入店するとウェイターの方が出迎えて下さり「お2人様で宜しいでしょうか?」と訊ね確認すると「では窓際のお席へご案内します。こちらへどうぞ。」と案内されたのは奥まった個室の席だった。
「では後ほど注文をお伺いします。ごゆっくりどうぞ。」とメニューと水を目の前に置きながらウェイターが去っていった。
「あの、私は今日ここに来るのが初めてなのでお任せしても良いですか?特に食べられない物もありませんので。」とハインツ様にオーダーをお任せした。
「わかりましたよ、フローレンスさん。」と言いながら頷くとウェイターを呼びランチセットを2つチョイスするとオーダーを伝えた。
ハインツ様がオーダーしたのは肉がメインのランチと魚がメインのランチだった。どちらも美味しそうだ。
運ばれて来て直ぐに思ったが彩りも凝っていてとても綺麗。
「ここのレストランは王宮のスタッフだけで無く、この国に来られる来賓のスタッフを始め旅行で来られる外国の方も良く利用されるので割安になってるんですよ。」と説明した。
「私もたまにですが気分転換したい時などに利用します。」いつもは食堂ですがね。と教えて下さいました。
結局ハインツ様が肉のランチを、フローレンスが魚のランチを取った。ハインツ様がメインを少し交換して、とおっしゃったのでお互いのメインを少しずつ交換した。
食事が済みセットの飲み物が運ばれて来た。
ハインツ様はコーヒー、フローレンスはハーブティーだ。
フローレンスはハーブティーを飲み終えると「あの、ハインツ様。。少しお願いがあるのですか。」と話し出した。
「今日は本当にありがとうございました。ハインツ様が居なかったらこんなレベルの高い健康診断は受けられなかったと思います。」
「それでここからはもう馬車を拾って自分で帰る事が出来ると思いますので、後ほど図書館の場所を教えて貰えませんか?」とお願いした。
その瞬間フローレンスのテーブルの上にあった両手をハインツ様がグッと握りしめ「・・ダメだ。」と言いました。
「この前みたいになったら困るからね。」とひと言った。
「この前?」
「もう忘れたのですか?ほら手首を掴まれて絡まれたてたでしょ?」と言い出した。
「でもここは王宮ですし、それにハインツ様はお仕事ではありませんか?」と話すと
「今日はお休みを頂いています。大丈夫ですよ。」と言われてしまいました。
「それにここの庭園見たくないですか?許可を得ていますので案内出来ますよ。」とフローレンスの心をくすぐる提案までされてしまいました。
「ーーうっ、見たいです。」と降参とばかりにハインツ様を見つめました。
ハインツ様は優しい笑顔で微笑み
「了解しました。フローレンスさん。」と言いながらウェイターに声をかけてさっさと会計を済ませるとフローレンスをエスコートしてレストランを出ました。
歩きながらここの庭園は世界的に有名な建築家が設計から参加しておりガーデナー達と力を合わせて作り上げた。と説明をしてくれました。
なので植物を植える配置が独特な感性で見ていてとても面白かった。
また野菜を使ったコーナーもありそこで外国の貴族の子供さん達が思い出作りに収穫体験をされたりする事もあるとか。
あとフローレンスが1番興味深かかったのは、この辺りにはない東洋の庭園を模した庭園があり、全く見た事ない木がたくさん植えられていた事だ。
川が有り山がある。そんな言葉がぴったりだ。
我々の庭園は足し算の庭園だとすればこの東洋の庭園は引き算の美しさがあった。
潔いシンプルな美しさが心地よく感じしばらくここから目が離せなかった。
この東洋の庭園はハッキリと無駄な物は要らないよ。と言っていた。
「そろそろ次へ行きましょうか?」とハインツ様に声をかけられるまで動けなかった。
「今のところが気になりましたか?」とハインツ様が聞いて来られました。
「ええ、あの庭園は無駄な物は要らないって言っている様でした。私の考え方と正反対で衝撃的でしたね。」とポツリと話した。
そう話すとハインツ様はしばらく考え込んでました。
お互いがしばらく無言のまま図書館の前まで来ました。「ハインツ様、ちょっとここで時間を取りたいのですが良いですか?」と話すと
「あぁ構いませんよ。ごゆっくりどうぞ。私の方は気にしないで下さい。」とヒラヒラと手を振り奥の方へと入って行かれた。
0
あなたにおすすめの小説
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~
ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。
彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。
――死んだはずの彼女が、生きている?
同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。
「今さら、逃げ道があると思うなよ」
瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。
秘された皇子と、選び直した愛。
三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?
* * *
後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる