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44、カノンちゃん帰国

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「エミリアさん、お待たせしました。」とアニエスが声をかけると、「あぁ、済まないね。実はハノイでの話を聞かせて欲しかったんだ。」
と言い出した。

「そうですよね。カノンちゃんの事もあって報告が遅くなりました。すいません。」と話し始めた。

ディアッカの能力を受けたこと。その際に目が赤く光っていた事。

ノイリ、セガール、あと名前は知らないが声のギフトを持つ能力者の話をした。ノイリの時はエミリアさんのギフト避けがとても役に立ったと再度お礼を述べた。

エミリアさんはうん、うん、と話を聞いている。

「その話が本当ならすでにギフト能力の範囲を超えているねぇ。」とため息を付いた。

「本当に実在するとはね。他人の能力を高めるギフトが。まぁ、私も全てを知ってるわけじゃ無いしね。」と呟いた。

「実はね、1つ気になる事があったんだよ。」

「アニエスがアトランティスへあの子を迎えに行ってすぐぐらいか?ここへ人が尋ねて来たんだ。」

「私はこの国ではギフト能力の関しては知られて居るからね。まぁ、アニエスの様にギフト能力の話を聞きに来るやつは年に何人かいる。」

「でもそいつは違った。の能力を持った女性に心当たりが無いか?と範囲を区切って聞いてきたんだ。」

「アニエスとはもう知らない仲では無いし、ましてや、ほぼ個人情報だ。答えられない。と一蹴しておいた。私に精神感応のギフトは聞かないよ。って事も合わせて言っといた。」

「どの程度の魅了の能力者を探してるのか知らないが、アニエスにもその能力がある。念のため周囲に気を配っておいた方が良い。一応忠告したからね。」

「わかりました。ありがとうございます。気を付けるに越したことはありません、肝に銘じておきます。」と答えた。

でもなぜ魅了の女性能力者?

まあ考えてみても仕方ないので帰ってから考えよう。今はカノンちゃん親子を無事にアトランティスへ届けることが先だ。

エミリアさんの家の玄関で全員並んでお礼を言った。

ミリアン先生が「今回は授業料として代金をお支払いさせていただく予定です。こちらの住所に明細を送って頂けませんか。」とメモ用紙を渡していた。
「ああ、ありがとうさん、助かるよ。」と受け取っている。

「では、エミリアさんお世話になりました。」と皆が挨拶した。カノンちゃんが「エミリアおばちゃん、また遊びに来ても良い?」と聞いていた。


「ああ、カノンが大きくなってお母さんの力を借りずに来られるようになったら、いつでもおいで。お母さんにここの住所を伝えてあるからね。」と答えて「カノン、おばちゃんと約束だ。お母さんの言うことをよく聞くこと。お母さんを決して悲しませない事。わかるかい?」

「うん、わかった。」
「お兄ちゃんの分までお母さんを助けてあげるんだよ。」とカノンちゃんの小さな手を取り握手していた。


エミリアさんは、自宅の前から馬車が見えなくなるまで手を振ってくれた。



我々はエミリアさんの家に着いた時よりかなり早くハーゲンの港に着いた。理由の一つにカノンちゃんの体力があると思う。休憩場所を減らす事が出来たのだ。


ハーゲンの港にはアルフォンスとオスカー団長が待っててくれた。

オスカー団長は我々に「アルフォンス殿、アニエス殿、タチアナ殿、今回は世話になった。ありがとう。またこちらへ来られた際にでもお礼をさせて欲しい。」と握手をしながら話している。

「オスカー殿、今度は個人的に遊びに来てください。お待ちしています。」とアルフォンスも言っている。しばらく見ない間に随分と仲良くなった物だ。

「今回の件はアトランティスにも非常に勉強になりました。ありがとうございました。」とミリアン先生も礼を言っていた。

乗船時間になったので、オスカー団長の指示でカノンちゃんとお母さん、ミリアン先生とオスカー団長が乗船した。

船は出航しひとまずやれやれだ。

ディアッカ、これで良かったんだよね?

アルフォンスとタチアナと3人で馬車に乗り込み騎士団のある王都へと帰って行った。

ただ、魅了の能力者の件はちょっと気がかりだが。。。


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