8 / 47
ケーキセットとフロウと。
しおりを挟む「。。あの??」
ここは学校の中庭である。他の生徒の目線がとても気になっている。
とても見つめられて穴が有ったら入りたい。
「。。あの??」
「実はあの試合の後、騎士団お抱えのテイラーに制服を持ち込んだんだ。」とカイル様が話し出した。
「はい。あの時私もそう言いましたし。。」
「騎士団お抱えのテイラーは創業70年の老舗だ。歴代の騎士団や自警団の制服は全てそこにお願いしているし、私は子供の頃から親について出入りしていたからテイラーの店員とは世間話の1つもする。」
「そうですか?その話と私はどの様な関係が?」
「君の直したあの制服。」
「プロですか?どちらのお店の方ですか?と聞かれた。ほぼ完璧だと。」
「はい。。。。そうですか。それはどうも。」
帰りたい。私帰りたい。どうしてこうなった?
あれから放課後、カレンとさよならの挨拶をしようかと言う時だった。「カレン、フォーシーズンのランチの予約いつにする?」とそんな話しをしてたと思う。
「コーネリアさん、ちょっと良い?」と隣のクラスの男性が教室まで来たのだ。
この時に気がつけばよかった。
「こっち、こっち。」と連れて行かれた先にカイル様が居たのだ。
「あの時は助かった。ありがとう。また騙して連れてくる様な真似をしてしまった事をお詫びする。」とお辞儀をして来た。
「改めてお礼をしたいのだが良かったらどうだろう?まず貴女の名前を教えて欲しい。」と聞いて来た。
「あの、そんな事を突然言われても困りますし既に終わった話なので気にして貰わなくても結構です。」
「では失礼します。」と回れ右をしたら再び腕を掴まれた。今度はソフトだ。
「それでは私の気が済まない。どうか付き合って貰えないだろうか?」と拝む様に頼まれた。
「。。。あの。。」
「では一度だけ。一度だけお付き合いさせて頂きます。でも特に大した事はしていません。
これっきりにしたいので名前は聞かないで下さい。」と彼の目を見て答えた。
「この先の商店街に【シフォン】と言うカフェがあります。そこのケーキが秀逸なのです。そこのケーキセットをご馳走して下さい。それで結構です。」
「2人で歩くと目立ちますので、私は先に行きます。では。」と中庭を去った。
テクテクと商店街の中を歩きシフォンを目指す。実はこのシフォンと言う店は猫を飼っているのだ。その事でここのオーナーさんと意気投合したまにここでお茶をしたり、軽食を食べたりする。
もちろんさっき彼に言った様に1番のおすすめはケーキそれも店名宜しく「シフォンケーキ」だ。
ふわふわでいくらでも食べられる気がする。そしてこの店を気に入っている1番の理由はここの猫の名前もフロウなのだ。これは少し嬉しかった。
カランっとドアを開けるとオーナーのミセスマーメイドが満面の笑顔で「コーネリアちゃん、いらっしゃい。」と声をかけてくれた。
「オーナー、奥の個室空いてます?これから知人が来るんです。どうですか?」
「あぁ、今なら空いてるわ。今貸切中の看板出してあげる。」とカウンターから出て来て奥の個室に「貸切中」と看板をかけてくれた。
「ありがとうオーナー。フロウ居ますか?」
「フロウは奥の個室よ。椅子で昼下がりのお昼寝よ。」と話しながらシンクの食器を洗っている。
ガチャっとドアが開きカイルが顔を覗かせた。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」とオーナーが声をかけたが、それを手で制し「カイル様、こちらへどうぞ。」と奥の個室へ案内した。
「うにゃん。」とフロウの可愛い声がする。せっかく気持ちよく寝てるのにうるさい。って感じだ。
「ごめんね、フロウ。ちょっと座らせてね?」とフロウが横になっている隣の椅子に腰掛けた。
「カイル様もどうぞ。」と向かいの席に案内した。
「君はこの店に何度か来ているのか?」と聞いて来た。
「はい、ここのケーキは美味しいですしこの猫も可愛いので良く来ます。」そう話すと早速フロウが膝の上に乗って来た。頭を撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らすフロウ。
「・・可愛い。」と呟くと
「・・本当に可愛いね。(君が)」とカイル様も言ってる。
「こんにちは。ご注文をお聞きしますが?」とオーナーさんが来た。
「ケーキセットを2つ。」とカイル様がオーナーに話している。「こちらが本日ご用意できるケーキの一覧です。どうぞお好きなケーキをお選びください。」とケーキメニューを差し出された。
「コーネリア嬢好きなケーキを選ぶと良い。」とメニューをこちらへ寄こしてきた。メニューを指さして、
「じゃあ私はこのシフォンケーキでお願いします。と言うと「どちらもシフォンケーキで。」とオーナーに伝えていた。
何を話せばいいのか。ちょっと困ってしまう。
「コーネリア嬢は馬が好きなのか?初めて会った時馬を描いていただろう?」いえいえ違います。商品用のあなたの人形を作るためにデッサンしていました。とは口が裂けても言えません。
「そうですね。動物全般好きですね。」と言葉を濁しておく。
「良かったら馬に乗って見ないか?私の馬になるが。」と言いながらこちらを見ています。
いやいやそんな恐ろしい事。やめて下さい。
「あの。せっかくですが運動が苦手で。見ているのが良いんです。」と断っておいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる