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アーロンとカイル。
しおりを挟む殺し屋さんとうっかり出会ってしまったショックからしばらく夜のパトロールをお休みしてしまった。しかし、王宮内に殺し屋??警備はどうなってるの??これは不味いんじゃあ。
これは見逃すことが出来ずクレメンスさんを通じて夜間の不審者の目撃情報として騎士団に連絡して貰っておいた。私がうっかり忘れ物を取りに戻った時と言うシチュエーションとしてだが。。。。
ーーその夜のアーロン王子の執務室では
「この王宮内に夜間の不審者情報が入りましたよ?アーロン様。」
「それは穏やかじゃ無いね。」とアーロンはタイを外しながらクレメンスに答えた。
「何でもコーネリアさんが目撃したらしいです。」とクレメンスが話した。
「騎士団は何やってるんだ?遊んでるのか?うちのスタッフに何かあったらどうしてくれる?」とアーロンは机の端を強くトントンと叩きながら呟いていた。
「ただいま騎士団の勤務実態を私どもの方で調査しております。ですがシュナイダー様の方は夜間でもしっかりと騎士団が何名か張り付いているのはうちのスタッフが何名も目撃しています。こちらに夜間1人も騎士団が居ないのはおかしいですね。」とクレメンスも思案顔だった。
「分かった。これからカイルの奴の所へ行って来る。ちょうど腕も鈍ってたしな。」と席を立つと颯爽と部屋から出て行った。
同じ敷地内だが王宮からは少し離れている騎士団本部にアーロンは向かっていた。併設されている銃剣場にカイルは居た。相変わらずあいつは練習バカだ。一緒にやってた時から変わってないな。そうと思うとクスリと笑った。
「誰だ?」とカイルがこちらへ振り向くと「あぁ、アーロン様?今日はどうしたんですか?練習ですか?」と笑っている。
「まぁ、そう言った所だな。その後久しぶりに飲みに行かないか?」と誘った。
「あぁ良いですねぇ。ちょうど俺も飲みたかった所だ。そらよっ。」とカイルの予備の模擬剣をアーロンに放り投げた。その剣を受け取った瞬間が2人の中のスタートの合図だ。
散々打ち合った後2人とも浴室のシャワーを浴びた。アーロンはここに着替えを置いてあるのでそれを着た。
「よっしゃ、行きますか?アーロン様。」と2人並んで街へと繰り出した。歳が1つしか変わらない、お互い幼馴染の様な2人なのでこうして王宮を抜け出して以前は良く飲みに出ていた。
カイルのお勧めの店に入ると個室を頼んだ。
適当にオーダーを済ませるとカイルが話し出した。
「またこうして貴方と飲めるなんて夢のようだよ。あの時はダメかと思いました。」と俯きながら話した。
「あぁ、黒猫に助けて貰ったんだ。恥ずかしいから他所では言うなよ?」
「黒猫?そう言えば私も一度見た事有りますよ?艶々の毛皮の可愛こちゃん??」とニヤッと笑っている。
「えっ、お前も見たのか?そうだ綺麗な艶の黒猫だった。俺の食事中に飛び込んで来て毒の反応が出たスープをひっくり返すと一生懸命に引っ掻いたんだ。最初はびっくりしたがな。」
「凄いなぁ、それ。」とカイルが目を丸くしている。
「あぁ、お陰でどこで黒猫を見てもあの子に見えて仕方ないよ。命の恩人だからな。」そうカイルに話した瞬間、何故か月明かりの下大切に猫を抱っこしていたジョゼフィーヌが頭をよぎった。いやまさか。彼女?
「おいどうした?」と目の前のカイルが話しかけている。しっかりしろ自分。呆けてる場合じゃ無いぞ。
「あぁ済まない。所で少し調べて欲しい事があるんだ。」とカイルに一連の事を話して聞かせた。
「う~ん、騎士達のスケジュールは俺の担当じゃ無いからなぁ。でも確かにおかしいよな?それにその女性が見たって言う不審者も気にならなりませんか?その風体とか。」
「ーーそう言われればそうだな。不審者ってどんな奴だったかは聞いてないな。」
「一度私が聞き込みをやりましょうか?特に夜勤をやっていた奴を中心に。」とカイルが申し出た。
「頼んでもいいかカイル?お前の立場の方が自然だからな。」
「ええ良いですよ。やりますよ。なるべく早目にしましょう。」
「それじゃ頼む。それとうちの執務室の夜勤の警備が1人も居ないっておかしいよな?クレメンスも言ってるよ。その辺も頼む。」
「あぁ任せてください。貴方の快気祝いですよ。」
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