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番外編 念願の仔猫☆♪
しおりを挟む「アーロン様、もう分かってますよね?私は何を求めて居るのか?」
「ーーあぁ、分かっているつもりだ。済まない。悪気は無いんだ。」
「分かってるんなら早く!!」
今日はお忍びで城下町に来ている。しかしどんな服装でも美形なアーロン様は忍びきれていない。非常に残念だ。
まぁ、歩くたびに逆ナンされる事しきり。
ちっーとも用事が進まない。チッキショー。
「あっちの世界の猫の方が良かったよ。自由だった。俺あんなに遊んだの生まれて初めてだった。」とたまにボヤいている。まぁその気持ちは分からんでも無い。しかし私この人猫だったとは言え抱っこしたりほっぺにチューしたりしてたんだよね?今更ながら恥ずかしいわ。
「なぁ、みのり。」そう誰も居ない2人きりの時はたまにこう呼ぶのだ。
今は建物の陰に連れ込まれている。
「あの時見たいにチューしてよ☆」とたまに強請られる。
私がまだ癌を発症して間が無い頃は良くフロウを抱っこして実家の縁側に座っていた。
なでなでしたり、お腹を触ったり、可愛かったなぁ~。フロウ。
そうなのだ!今日は第2のフロウ探しだ。既に「シフォン」にお願いしてありフロウによく似たサバトラの子が居たら教えて欲しいと頼んでおいた。先日「シフォン」のオーナーさんから連絡が来て近所の八百屋の猫が子供を産んだから見に来ないか?っとお誘いがあったのだ。
丁度、私の体も回復して来た所だったし、さぁ行こうか!と張り切っていたらアーロン様に捕まった。「俺を置いて行くのか?」と。
猫と言うより仔犬の様な表情をされた。ふんっフロウはもっと可愛かったもん!
「ーーーー仕方なし。」と呟いてアーロン様のほっぺにチューしてやった。奴は妙にご機嫌だ。
「さぁ、本当に行きますよ?」と再び声をかけ歩いて行く。キョロキョロと周りを見渡し街の様子が珍しいのかなかなか前に進めない。お前は幼稚園児か?仕方なく手を繋いだ。
やっと「シフォン」に着いた。既に気持ちは天国の入り口だ?
「あっ、コーネリアちゃんお久しぶり~。」とシフォンのオーナーがカウンターからひょこっと顔を出した。「今日は1人?」と聞かれた。
「えっ?」と後ろを見てもアーロン王子は居なかった。まったくもう、どこへ行ったのだ?
「シフォン」を飛び出し辺りを見渡すと遥か遠方でキョロキョロしているアーロン様を見つけた。
「いでてててぇーーー!」とアーロン王子の近くに寄ると耳を引っ張って「シフォン」へ連れ込んだ。往来で名前を呼ぶわけには行かないしね。
「あっ、こちらがお連れさん?」とオーナーが言うとアーロン王子は「こんにちは。コーネリアがいつもお邪魔しています。」と言いやがった。付き合い始めた事まだ誰にも言ってないのに!!
「いや、あっあの~。そんなんでは無くてですねっ。。。。」としどろもどろしていると「まぁまぁ、2人とも雰囲気が似ているわ。お似合いね。」とオーナーが笑った。
「あっ、実は母猫が飼育放棄してしまってね。今はここで飼い主さんを探しながら過ごしているのよ?」と微笑むと「ちょっと待っててね。」と私たちに断ると奥へ入って行った。
暫くしてみかん箱ぐらいの箱を持ってきた。
「にー、にー。」と可愛らしい鳴き声する。
覗き込んで見てみると3匹の仔猫がいっせいにこちらを見ていた。生後2ヶ月って所かしら?まだキトンブルーだわ。(仔猫は生まれて間も無い頃は青い瞳なんですよ。作者体験談)
内訳は三毛とキジトラとサバトラ。見事に別れたのね。1匹鍵しっぽの子が居るわ。(尻尾が曲がったり小さかったりして居る事)
くんくん、仔猫の匂いがする。
「あーーーーっ可愛い。。。。」目が離せないわ。
全部飼いたい。しかしそんな訳にも行かない。
「おいコーネリア、全て貰え。こちらでどうにかしよう。場所ならあるから。」と何故かアーロン王子はここで漢気を出した。さすがに自分が仔猫の気持ちが分かるから同情したのか?まぁ良い。これはチャンスだ。
「ありがとうございます。私とっても嬉しいです。」とアーロン様の顔を見上げにっこりと笑ってお礼を言った。
かくして私は念願の猫を飼った。この時の仔猫達は何と王宮暮らしだ。外国から来る観光客から大変可愛がられグッズもよく売れて居る。最近はスティーブンのぬいぐるみの首位も陥落しそうな勢いだ。もちろん、たまにいやしょっちゅう遊びに来るアンナも大喜びだ。
だがしかし何故だ?
毎朝アーロン王子に給湯室へ連れ込まれ、ほっぺにチューをさせられている。仔猫を飼った感謝の気持ちを態度で示せ。と言われこの様になった。ただ、何となく面白くないので今日は唇にチューしてやった。奴は固まってたわ。
「ちょっ、ちょっと!!」と引き止められたが無視して自分の持ち場へ戻った。
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