79 / 112
第79話
「勇凛くん……」
「七海さんお疲れ様です」
勇凛くんの表情は思ったより穏やかだった。
「すまんね呼び出して」
社長は私たちの方へ来た。
「二人はどういう馴れ初めかな?」
いきなり!?
これはなんで答えれば……
「俺が一目惚れして、プロポーズしました」
勇凛くんが直球で言った。
「そうか。七海さんは勇凛のことをどう思う?」
「え……と、真面目で誠実な方だと思っています。私のことをいつも気にかけて下さって、心優しい人です」
「そうか……。安心した」
社長は窓際に言って、都会の夜景を見ている。
「勇凛もうちの会社に入ると聞いたから大事なことを話す」
「はい」
「私はね、経営のセンスがある方でないんだよ。だから、昔勇輝にかなり迷惑をかけてしまった」
「勇輝は責任感が強い子だから、私が失敗して経営が傾いた時、あの子が一生懸命この会社を立て直してくれたんだよ」
それが勇哉さんが言っていた、『尻拭い』なのかな……。
「大事にしていた恋人がいたのに別れて、休む間もなく仕事をして、そして大手取引先の令嬢さんと結婚したんだよ」
勇凛くんの瞳は揺れていた。
「そんなことがあったんですね……何も知りませんでした」
「勇哉もそんな勇輝を見てるからか、ちゃんとした恋人も作らず、勇輝のように会社に都合がいい人と結婚しようとしているね……」
勇凛さんのお父さんの顔には後悔が滲んでいた。
「私は社長をしているが、もう身を引こうと思う」
「え……?」
勇凛くんが目を見開いた。
「この会社の社長に相応しいのは勇輝だ。……ただそれは勇輝を縛りたい訳ではない。私なりの勇輝への謝罪だ」
社長はそのあと、勇凛くんの肩を叩いた。
「あまり今まで一緒にいられなかったな。でも立派に育って、結婚して安心した」
その表情は、親として子に向けられた、愛情のように感じた。
そして私と勇凛くんは部屋を出た。
エレベーターに乗って、二人で帰ろうと思った時──
「七海さん、すみません、もう一度父と話したいです。今日は送れないです」
勇凛くん……。
「いいよ。沢山話してきて」
「ありがとうございます!」
勇凛くんは途中の階で降りて、また社長室に向かった。
私はそのまま帰ろうと思い、ビルから出ようとしたら──
「おい」
この声は……。
勇輝さんがエントランスに立っていた。
「お疲れ様です」
ちょうど帰ろうとしていた様子だった。
「父と会ったのか?」
「……はい」
「そうか」
き、気まずい……。
「今から時間をもらっていいか?」
「え?」
「そんなに時間は取らせない、ついて来い」
──な、なに??
「七海さんお疲れ様です」
勇凛くんの表情は思ったより穏やかだった。
「すまんね呼び出して」
社長は私たちの方へ来た。
「二人はどういう馴れ初めかな?」
いきなり!?
これはなんで答えれば……
「俺が一目惚れして、プロポーズしました」
勇凛くんが直球で言った。
「そうか。七海さんは勇凛のことをどう思う?」
「え……と、真面目で誠実な方だと思っています。私のことをいつも気にかけて下さって、心優しい人です」
「そうか……。安心した」
社長は窓際に言って、都会の夜景を見ている。
「勇凛もうちの会社に入ると聞いたから大事なことを話す」
「はい」
「私はね、経営のセンスがある方でないんだよ。だから、昔勇輝にかなり迷惑をかけてしまった」
「勇輝は責任感が強い子だから、私が失敗して経営が傾いた時、あの子が一生懸命この会社を立て直してくれたんだよ」
それが勇哉さんが言っていた、『尻拭い』なのかな……。
「大事にしていた恋人がいたのに別れて、休む間もなく仕事をして、そして大手取引先の令嬢さんと結婚したんだよ」
勇凛くんの瞳は揺れていた。
「そんなことがあったんですね……何も知りませんでした」
「勇哉もそんな勇輝を見てるからか、ちゃんとした恋人も作らず、勇輝のように会社に都合がいい人と結婚しようとしているね……」
勇凛さんのお父さんの顔には後悔が滲んでいた。
「私は社長をしているが、もう身を引こうと思う」
「え……?」
勇凛くんが目を見開いた。
「この会社の社長に相応しいのは勇輝だ。……ただそれは勇輝を縛りたい訳ではない。私なりの勇輝への謝罪だ」
社長はそのあと、勇凛くんの肩を叩いた。
「あまり今まで一緒にいられなかったな。でも立派に育って、結婚して安心した」
その表情は、親として子に向けられた、愛情のように感じた。
そして私と勇凛くんは部屋を出た。
エレベーターに乗って、二人で帰ろうと思った時──
「七海さん、すみません、もう一度父と話したいです。今日は送れないです」
勇凛くん……。
「いいよ。沢山話してきて」
「ありがとうございます!」
勇凛くんは途中の階で降りて、また社長室に向かった。
私はそのまま帰ろうと思い、ビルから出ようとしたら──
「おい」
この声は……。
勇輝さんがエントランスに立っていた。
「お疲れ様です」
ちょうど帰ろうとしていた様子だった。
「父と会ったのか?」
「……はい」
「そうか」
き、気まずい……。
「今から時間をもらっていいか?」
「え?」
「そんなに時間は取らせない、ついて来い」
──な、なに??
あなたにおすすめの小説
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
(第一章完結)ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
幼馴染に10年片想いしてたら、冷酷御曹司にプロポーズされました
ほーみ
恋愛
春の匂いが、駅前の並木道をくすぐる。満開の桜の下、私はひとり歩いていた。駅までの道は、高校時代、彼とよく歩いた道だ。
制服姿の学生が笑いながらすれ違っていくのを横目に、私はスマホを見下ろした。
「今日、伝えるって決めたんじゃなかったの?」
送信したきり返信のないメッセージ。画面には「既読」の文字があるだけだった。
――渡瀬 湊。私が10年間片想いをしている、幼馴染。
君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~
松本ユミ
恋愛
デザイン事務所で働く伊藤香澄は、ひょんなことから副社長の身の回りの世話をするように頼まれて……。
「君に好意を寄せているから付き合いたいってこと」
副社長の低く甘い声が私の鼓膜を震わせ、封じ込めたはずのあなたへの想いがあふれ出す。
真面目OLの恋の行方は?
Good day ! 2
葉月 まい
恋愛
『Good day ! 』シリーズVol.2
人一倍真面目で努力家のコーパイ 恵真と イケメンのエリートキャプテン 大和 結ばれた二人のその後は?
伊沢、ごずえ、野中キャプテン… 二人を取り巻く人達の新たな恋の行方は?
꙳⋆ ˖𓂃܀✈* 登場人物 *☆܀𓂃˖ ⋆꙳
日本ウイング航空(Japan Wing Airline)
副操縦士 藤崎 恵真(28歳) Fujisaki Ema
機長 佐倉 大和(36歳) Sakura Yamato