【完結・番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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番外編

ただの後輩を好きになってしまった件3

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「川崎さん、このままじゃ辞めるかもしれないですよ」

 そう彼女の上司に警告すると、手のひらを返したように彼女への対応が変わった。

 彼女のためなのか、自分のためなのか──

 これで止まってくれればいいが。
 もしかしたらそれでも辞めるかもしれない。
 モタモタしてる場合じゃない。
 俺は彼女に近づく決心をした。

 ──が

 その日、定時に仕事が終わって、ビルから出ると──
 川崎さんがいた。

「川崎さん」

 声をかけた。
 しかし彼女は誰かと一緒だった。

『男』だった。

 ただ、かなり若い。
 どういう関係だ?

「その子は?」

 彼女が気まずそうにしている。

「えーと……」

 なぜ躊躇う?
 二人を見てると違和感しかない。

 もしかして……

「弟?」

 似てはいないが。
 その時、その男が前に出た。

「夫です」
「夫……?」

 夫──

 頭が真っ白になった。
 なんだその冗談。

「はい。俺と七海さんは夫婦です。結婚しています」

 彼女が慌てている。

「あの、これには深い事情が……」

 なんだ、事情って。
 夫婦……結婚?
 なんだよそれ。
 やっと、やっと、動き出そうとしたのに。
 見た目社会人じゃないだろ。
 何なんだよ、どこで何があってそうなったんだよ。
 でも、そんな事を言える状態じゃない。

「そうか。おめでとう」

 そう言うのが精一杯。
 何とか笑顔を取り繕った。

「ありがとうございます」

 彼女は頭を下げた。

 マジかよ。
 きつ。
 もう問答無用で諦めるしかないし、これ。

 そんな空虚な心を必死に立て直して、彼女に言った。

「あ、俺言っておいたよ。川崎さんにこれ以上無理させるなって」
「え?」

 彼女は驚いた後、また頭を下げた。

「ありがとうございます……」

 何だその他人行儀な態度。

 彼女にとって俺はただの会社の人間で、それ以上でもそれ以下でもなかった。
 それを突きつけられた。

「じゃあ、また明日」

 やってられねぇ……。

 帰り道、悶々と考えていた。

 川崎さんがフリーだったとして、だから俺とどうにかなるって可能性はないかもしれない。
 当たって砕けてしまうかもしれない。
 でもやれる事はやりたかった。
 ただただ後悔。

 そのまま帰る気にもなれず、よく行く居酒屋に直行した。


 ──翌日

 彼女と廊下でばったり会ってしまった。
 目も合ってしまい、逃げられず。

「あ、川崎──今はなんだっけ?」

 なんとか平静を装う。

「旧姓のままでいいですよ」

 いやでものしかかる現実。

「いやーびっくりした」
「え?」
「いつの間にか結婚してて」

 ついでてしまった本音。

「私もびっくりしてます」

 ──は?

「なんで?」
「初めて会った次の日に結婚──」

 初めて会った次の日?

「え?どういうこと?」
「あ、なんでもないです!」

 その時、ふとあの男の顔が頭をよぎった。
 既視感がある。

「あの子見た事あるんだよね」
「え!」
「前飲み会の時にいたような気がするんだよ」

 いた。そうだ。
 女子社員が絡んでいた。
 気の毒だと思っていた。

「勘違いですよ。全然違いますよ」
「今日あの居酒屋行ってみようかな」

 彼女が焦りだした。

「あ、あの、今日一緒に別の所に食べに行きませんか!?」

 ──は?

「いいけど。なんで?」
「森川さんと話してみたかったんです~」

 話してみたい?
 なんで今更……。
 なんだその作り笑顔。

「わかった。じゃあ、川崎さんのおごりね」
「わかりました!ありがとうございます!」

 なんなんだよいったい……。
 これ以上追い討ちをかけられたくない。

 でも、二人で飯を食べに行ける事が、不覚にも嬉しかった。

 もう人妻なのに。
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