【完結・番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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番外編

そんな気持ちはいらない5

 ──翌日

 熱は下がったものの咳が出てくる。
 気怠さは相変わらず。
 適当な薬を飲む。

「じゃあ行ってくる」

 妻に言うと、心配そうな表情を浮かべている。

「無理しないでくださいね」

 俺が陰で何をしているかも知らず、俺の言う事を全て信じ、献身的に支えようとしている。

「大丈夫だ」

 家庭を守る。
 それも大事な仕事の一つだ。

 ◇

 出社して、秘書課で待つ。
 会議資料を渡すために。

 扉が開くと彼女と目が合った。

「おはようございます」

 心なしか俺に対する表情が前と変わった。

 なんだ?

「今日は取引先で会議だから同行するように」

 資料を渡した。

「あの……大丈夫なんですか?」

「何が?」

 振り返ると、彼女の目は真剣だった。

「体調について、です。私も無理をして倒れたことがあるので……」

 勇凛との関係を否定した俺をなぜ気にかける。

「……そうか。私はただの風邪だ。問題ない」

 部屋から出た後、自分の行動に矛盾が生じていることに今更気がつく。

 感情を捨てられなかった。
 だからあの女の言葉や行動に動揺する。
 根本的な部分は変われていない。

 ──その時わかった。

 未熟な勇凛を必死に守ろうとする、あの女に惹かれているのかもしれないと。

 ◇

 ──週末

 父から突然連絡がきた。

 こっちに来ると。

 父とは極力顔を合わせたくない。

 別に何かを押し付けられた訳でもない。

 ただ、その危機感の無さに苛立つからだ。

 俺がどんな思いをしてここまでやってきたかわかってるのか?

 海外でのうのうとして、気まぐれに様子を見にきて、そしてすぐに帰る。

 でも個人的な感情を仕事に持ち込むべきでない。

 割り切るしかない。

 そう思って月曜日を迎えた。

 ◇

 ──月曜

 父が出社してきた。

 社長室で顔を合わせる。

「勇輝、最近どうだ?」

 緊張感のかけらもない男。

「順調です」

「そうか。勇輝は凄いな。私よりよっぽど」

 そんな賛辞など不要。

 すぐに会議のための準備をした。

 ◇ 

 会社の重役が集まる。

「では定時になりましたので始めます」

 そう告げて、淡々と今の会社の状況を伝える。

 父は頷くだけ。

 それでいい。

 自分がやった失態を俺がここまで回復させて、口を挟むなど誰も望んでいない。

 そして会議はすぐに済み、社員が散る。

 残ったのは、俺と勇哉と彼女。

 彼女が抜けようとすると

「待ちなさい」

 父が引き留めた。

「君が勇凛と結婚した七海さんかな?」

 何を言うつもりだ。

「勇凛が結婚したって聞いて驚いたが、しっかりしてそうな人だ。また今度ゆっくり話そう」

 落胆した。

 俺があの時手放さなければ、俺もここに辿り着けたかもしれない。

 ただただ悔しかった。
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