16 / 33
第16話 本当の気持ち
しおりを挟む
「先輩今日飲みに行きませんか~??」
仕事終わりに後輩に誘われた。
「今日沢山参加するみたいなんで、先輩も来た方がいいですよ絶対!」
目が輝いている。
「うーん。ちょっと用事があって……」
気晴らしに行こうかと思ったけど、仕事に小説執筆の練習で結構疲れていたから家でゆっくりしたい。
「先輩もしかして、長島商事の橘さんと付き合ってたりします?」
「え!?」
ヤバい……どうしよう、見つかってしまった??
「なんか、お二人が話してる時、距離が近く感じるんですよね~。微妙に」
感が鋭い……怖い……。
「え、普通に取引先のマネージャーさんだよ、橘さんは……」
表情に出てないか不安だ!
「そうなんですかー。私の勘って割と当たるんですよね~」
そのまま他の社員と一緒に行ってしまった。
怖すぎる……。
これからは仕事では意識して適切な距離でお互い接さないと……。
その後すぐにマンションに帰った。
マンションの前に着くと、マンションのエントランスから一人の女性がでてきた。
あ、翠川雅人の担当の人だ!
しっかり目があってしまった。
「こんにちは……」
どう接すればいいかわからない…。
「あ……この前先生と歩いてた方ですよね?先生の彼女ですか?」
彼女!?
いや……彼女ではない……。
「私は…取引先の会社の人間です……」
「そうですか……。最近先生がなかなか執筆が進まない状態で、とても困ってるんです」
「どんな様子なんですか……?」
またスランプ?
「何か別の事を考えているというか……。」
え!?
「すみません急いでるのでこれで失礼致します。突然申し訳ありませんでした。」
担当の方は足早に行ってしまった。
私は気になって、橘さんの部屋に行った。
インターホンを押して暫くしたら、橘さんが出てきた。
「どうした?」
「担当の方が悩んでましたよ」
「……入ってくれる?」
橘さんの部屋のリビングに行った。
橘さんは深刻そうな表情をしている。
「会社から、異動の話がでている」
「え?どこにですか……?」
「アメリカだ」
その瞬間、頭が真っ白になった。
「え……異動したら何年くらいそこにいるんですか?」
「それは会社次第だよ。早ければすぐ帰れるし、ずっといる人もいるし」
そんな……。
「サラリーマンか小説家か、一本にしないといけない時がきたな」
「橘さんはなぜ、二つ仕事をしてるんですか?」
「小説家は夢だったし、叶ったからよかったけど、それでずっと食べていける保証がないだろ」
とても現実的な意見だった。
小説家になったら終わりじゃないんだ。
始まりなんだ……。
橘さんの生きる道。
私は奥さんでも恋人でもない。
取引先の人で、憧れの小説家で……。
「行かないでって言ったら断るよ。その代わり、ちゃんと彼女になってね」
橘さんの怪しげな笑み。
私を試してる!?
「橘さんの将来なので……離れるのは心苦しいですが、私はどこにいても応援してます」
本当は行ってほしくないのに、言えない。
恋人になったら今の関係が崩れる。
中途半端で良くないのはわかってる。
でも、私は今の距離がいいんだ。
「寂しくないの?」
寂しくないわけがない。
「素直になれない理由。なんとなくわかってきたよ」
「え?」
「小説家になりたいから、恋愛に夢中になりたくないんだろ?」
「なんでわかるんですか!?」
「恋は盲目だからな……」
そう……恋愛と夢の境界が曖昧になっていくのが怖い。
「俺と付き合ったら、書けなくなりそう?」
橘さんが距離を縮めてきた。
「えーと、そうならないとわからない部分もあるんですけど……」
壁まで追い詰められた。
「美鈴が彼女になったら、束縛して自由を奪うな俺」
「それは困ります!」
やっぱり無理だ!
「じゃあアメリカ行こうかな……。今はネットでやり取りできるし。小説書けなくなるわけじゃないし。」
そうだ……別に海外でもできる。
どこでも書ける。
だから、家族や恋人とかしがらみがなければ、そんなに困ることではない。
「でも俺は見届けたい。この目で。美鈴の夢を」
「え?」
「だから、断るよ。降格するかもしれないけど」
「そんな!私のせいで降格するとかダメです!」
「降格しても、今は一人暮らしだし、そんなに支障はない」
「でも……」
「俺がそうしたいんだから、もう言うな」
「……はい」
橘さんの香水の香りが私を優しく包んだ。
「次も楽しみにしてる」
「はい。頑張ります」
橘さん。
好きとか愛してるとか、そういうことは言えないけど、
あなた以外の男性には興味はないです。
心はあなたしか見てないです。
心の中で私は呟いた。
仕事終わりに後輩に誘われた。
「今日沢山参加するみたいなんで、先輩も来た方がいいですよ絶対!」
目が輝いている。
「うーん。ちょっと用事があって……」
気晴らしに行こうかと思ったけど、仕事に小説執筆の練習で結構疲れていたから家でゆっくりしたい。
「先輩もしかして、長島商事の橘さんと付き合ってたりします?」
「え!?」
ヤバい……どうしよう、見つかってしまった??
「なんか、お二人が話してる時、距離が近く感じるんですよね~。微妙に」
感が鋭い……怖い……。
「え、普通に取引先のマネージャーさんだよ、橘さんは……」
表情に出てないか不安だ!
「そうなんですかー。私の勘って割と当たるんですよね~」
そのまま他の社員と一緒に行ってしまった。
怖すぎる……。
これからは仕事では意識して適切な距離でお互い接さないと……。
その後すぐにマンションに帰った。
マンションの前に着くと、マンションのエントランスから一人の女性がでてきた。
あ、翠川雅人の担当の人だ!
しっかり目があってしまった。
「こんにちは……」
どう接すればいいかわからない…。
「あ……この前先生と歩いてた方ですよね?先生の彼女ですか?」
彼女!?
いや……彼女ではない……。
「私は…取引先の会社の人間です……」
「そうですか……。最近先生がなかなか執筆が進まない状態で、とても困ってるんです」
「どんな様子なんですか……?」
またスランプ?
「何か別の事を考えているというか……。」
え!?
「すみません急いでるのでこれで失礼致します。突然申し訳ありませんでした。」
担当の方は足早に行ってしまった。
私は気になって、橘さんの部屋に行った。
インターホンを押して暫くしたら、橘さんが出てきた。
「どうした?」
「担当の方が悩んでましたよ」
「……入ってくれる?」
橘さんの部屋のリビングに行った。
橘さんは深刻そうな表情をしている。
「会社から、異動の話がでている」
「え?どこにですか……?」
「アメリカだ」
その瞬間、頭が真っ白になった。
「え……異動したら何年くらいそこにいるんですか?」
「それは会社次第だよ。早ければすぐ帰れるし、ずっといる人もいるし」
そんな……。
「サラリーマンか小説家か、一本にしないといけない時がきたな」
「橘さんはなぜ、二つ仕事をしてるんですか?」
「小説家は夢だったし、叶ったからよかったけど、それでずっと食べていける保証がないだろ」
とても現実的な意見だった。
小説家になったら終わりじゃないんだ。
始まりなんだ……。
橘さんの生きる道。
私は奥さんでも恋人でもない。
取引先の人で、憧れの小説家で……。
「行かないでって言ったら断るよ。その代わり、ちゃんと彼女になってね」
橘さんの怪しげな笑み。
私を試してる!?
「橘さんの将来なので……離れるのは心苦しいですが、私はどこにいても応援してます」
本当は行ってほしくないのに、言えない。
恋人になったら今の関係が崩れる。
中途半端で良くないのはわかってる。
でも、私は今の距離がいいんだ。
「寂しくないの?」
寂しくないわけがない。
「素直になれない理由。なんとなくわかってきたよ」
「え?」
「小説家になりたいから、恋愛に夢中になりたくないんだろ?」
「なんでわかるんですか!?」
「恋は盲目だからな……」
そう……恋愛と夢の境界が曖昧になっていくのが怖い。
「俺と付き合ったら、書けなくなりそう?」
橘さんが距離を縮めてきた。
「えーと、そうならないとわからない部分もあるんですけど……」
壁まで追い詰められた。
「美鈴が彼女になったら、束縛して自由を奪うな俺」
「それは困ります!」
やっぱり無理だ!
「じゃあアメリカ行こうかな……。今はネットでやり取りできるし。小説書けなくなるわけじゃないし。」
そうだ……別に海外でもできる。
どこでも書ける。
だから、家族や恋人とかしがらみがなければ、そんなに困ることではない。
「でも俺は見届けたい。この目で。美鈴の夢を」
「え?」
「だから、断るよ。降格するかもしれないけど」
「そんな!私のせいで降格するとかダメです!」
「降格しても、今は一人暮らしだし、そんなに支障はない」
「でも……」
「俺がそうしたいんだから、もう言うな」
「……はい」
橘さんの香水の香りが私を優しく包んだ。
「次も楽しみにしてる」
「はい。頑張ります」
橘さん。
好きとか愛してるとか、そういうことは言えないけど、
あなた以外の男性には興味はないです。
心はあなたしか見てないです。
心の中で私は呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
先輩、お久しぶりです
吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社
秘書課
×
藤井昂良 大手不動産会社
経営企画本部
『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。
もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』
大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。
誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。
もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。
――それも同じ会社で働いていた!?
音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。
打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
幸せのありか
神室さち
恋愛
兄の解雇に伴って、本社に呼び戻された氷川哉(ひかわさい)は兄の仕事の後始末とも言える関係企業の整理合理化を進めていた。
決定を下した日、彼のもとに行野樹理(ゆきのじゅり)と名乗る高校生の少女がやってくる。父親の会社との取引を継続してくれるようにと。
哉は、人生というゲームの余興に、一年以内に哉の提示する再建計画をやり遂げれば、以降も取引を続行することを決める。
担保として、樹理を差し出すのならと。止める両親を振りきり、樹理は彼のもとへ行くことを決意した。
とかなんとか書きつつ、幸せのありかを探すお話。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自サイトに掲載していた作品を、閉鎖により移行。
視点がちょいちょい変わるので、タイトルに記載。
キリのいいところで切るので各話の文字数は一定ではありません。
ものすごく短いページもあります。サクサク更新する予定。
本日何話目、とかの注意は特に入りません。しおりで対応していただけるとありがたいです。
別小説「やさしいキスの見つけ方」のスピンオフとして生まれた作品ですが、メインは単独でも読めます。
直接的な表現はないので全年齢で公開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる