ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

文字の大きさ
40 / 83
第四章 従弟

第40話

しおりを挟む
 なんとか一次試験を通過してほっとしたのも束の間、すぐに二次試験が待っている。
 私は安心感と不安感で、ただソファでぼーっとしていた。
 昨日は先生に合格の件を言った後に、安心してそのまま家で寝てしまい、結局会えなかった。

 起きた時の着信の量が凄かった。
 先生が来ようとしたけど、真夜中だったから断った。

 今日は特に用がないから本屋にでも行こう。
 ゆっくり立ち上がって準備をする。
 そして、いつもつけている、先生からのネックレス。

 先生は仕事で今日も忙しいから、一人で駅をぶらぶらしよう。
 そういう時間も大切。

 私はバスで駅に向かった。
 通り過ぎる景色を見ながら、先生の車の中で見る景色と比べていた。
 同じ景色なのに違って見える。

 先生といる時は、景色よりも先生の存在感の方に気を取られてて、ちゃんと見れてなかった。
 先生と出会うまでは平凡な毎日だった。

 バスが駅について、降りると、真夏の暑さが凄い。
 日傘をさして、本屋まで歩いた。
 今日は、三年前に先生とばったり会った本屋まで行こう。
 きっとあの頃の私に少し戻れる気がする。

 その本屋に久々に行ったら内装がかなり変わっていた。
 モダンな感じ。
 ウロウロしていたその時、見覚えのある横顔が。

「先生……?」

 その声に振り返ったその人は、高校生くらいの男の子だった。

 やってしまった。

「すみません、人違いでした……」

 急いで本屋を出ようとした。

「ねぇ、待って」

 その子に肩を掴まれた。

 振り返ると、その子の顔は、本当に先生に似ている。
 他人の空似?
 目が離せない。

「水島白乃しのさんですよね?」
「え?」

 なんで私の名前を?

 その子はイタズラな笑顔を浮かべていた。

「ねぇ、夏雄と付き合ってるんでしょ?」
「え?」

 なんで知ってるの?
 私と先生の事を。
 この子はまるで、先生が高校生になったみたいな風貌で、底知れぬ何かを感じる。

「人違いです」

 私はそのままそこを去ろうとした。

 その時、

「俺、りょうって言うんだ。白乃さん、宜しくね」

 その笑顔は、爽やかそうだけどどこか作りものみたいな──

 全力で逃げた。

 * * *

 その後、恐ろしくて家に帰ってしまった。

 先生にあんなに似てる子、何者なの?

 そしたら先生から着信があった。

『今から会える?』
「はい……」

『……どうした?』

 ……なんか少し言いづらい。

「いえ、なんでもないです」

 私はそのまま先生を待っていた。
 先生はそのあとすぐにきた。
 先生のそばに駆け寄る。

 先生の姿を見て安心した。
 助手席に座ってほっと息をついた。

 その後ドライブに連れて行かれた。
 先生の横顔を見ると、やっぱりあの子に似ている。

「先生って、兄弟います?」
「いない」

 うーん。
 他人の空似にしては、似すぎている。
 急に車が止まった。

「なにがあった?」

 目、目が怖い!!
 私は目を逸らしてしまった。

「言え」

 余計な事を言うんじゃなかった……!

「今日、本屋で先生そっくりの男の子と会ったんです……」

 その時、先生の表情が固まった。

「遼か?」

 え?

「知ってるんですか?」

 先生は考えこんでいた。

「俺の従弟だよ……」

 衝撃的な事実だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

【続編】ダイヤの指輪─先生と私の歩む未来─

七転び八起き
恋愛
◇こちらの作品は以下の作品の続編です。 「ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─」https://www.alphapolis.co.jp/novel/306629704/557024090 ◇あらすじ 主人公の水島白乃(みずしましの)と、婚約者の夏雄先生のその後の物語です。 まだちゃんとした夫婦になってない二人はどうなるのか。 そして、先生の従弟の遼が出会った不思議な女の子、篠山あやめ。彼女は遼にどう影響を与えるのか。 それぞれの未来が動き出す。 ◇前作のあらすじ◇ 主人公の水島白乃(みずしましの)は、高校三年生の時の担任の夏雄先生に恋をした。 卒業して再会した夏雄は別人のようだった。 夏雄の歪んだ愛、執着に翻弄される中、白乃はさらに夏雄に惹かれいく。 様々な困難を乗り越え、二人は結ばれた。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

「好き」の距離

饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。 伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。 以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。

同期に恋して

美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務  高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部 同期入社の2人。 千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。 平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。 千夏は同期の関係を壊せるの? 「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

Promise Ring

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。 下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。 若くして独立し、業績も上々。 しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。 なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...