ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第四章 従弟

第42話

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 今日は息抜きに愛美と映画を見に行った。
 恋愛ものですごく泣けるやつ。
 二人で泣きながらシアターを出た。

 そのあと、映画館の椅子でのんびりしていた。

「白乃凄いね~一次試験って難しいんでしょ?」
「うん。でも運が良かっただけなのかも」

 先生に試験勉強を見てもらった時、指摘された部分が的中したのだ。

「次は面接か~。それに受かったら来年から先生じゃん!」
「そうだね……。少し緊張する」

 とにかく二次になんとか通りたい。
 合格したい。

「白乃、なんで教師になりたいの?」

 びっくりして、飲んでたアイスティーが気管に入ってしまって咳き込んだ。

「大丈夫!?」
「うん、ごめん」

 本当の事は言えない。

「あのさ、噂になってるんだけどさ……もしかして白乃、夏雄先生と付き合ってる?」

 ──え?

 全身から血の気が引いた気がした。
 噂になってるの……?

「そんなわけないよ!先生は前素敵な女の人と歩いてたでしょ?」

 私なんかよりよっぽどお似合いの。

「そうかー。まあ、噂なんて本当かわからないしね。本当だとしても、私は応援するよ」

 愛美の優しさに涙が出そうななった。

「……付き合ってるんでしょ?」

 嘘をつきたくなかった、もう。

「うん……」

 言ってしまった。

「ごめん。愛美の気持ち知っていたのに」
「もう何年前の話だよ……」

 愛美が、受け入れてくれた事が嬉しかった。

「でも羨ましい!」

 う……。

「白乃、凄い綺麗なったよね。卒業してから。気づいてないと思うけど、色んな男が見てるよ。駅とか、歩いてる時とかも」

 全く気がつかなかった。
 言われないとわからないし、話しかけられても困るし。

「ありがとう。先生と釣り合うように、早くなりたいな」

 愛美は私に寄りかかった。

「先生になって、夏雄先生と結婚しなよ」
「それはちょっと……まだ受かってないし」

 愛美は笑っていた。

 結婚。
 あまり考えてなかった。
 志穂さんとのこともあったし。
 今は自分の未来をちゃんと見ないと。

 その後愛美とは別れて、家に帰る事にした。
 駅の改札を通ろうとしたら──

「白乃さん!」

 この声は……

 振り返ったら遼君だった。
 少し困ったような顔をしている。

「白乃さん……どうしよう俺」
「どうしたの?」
「財布落とした」
「え!!」

 その後、遼君が歩いた場所を一生懸命探してみた。
 でも、見つからなかった。

「交番に行こうか」

 暑いから汗だくになってしまった。

「白乃さん、もし見かけたら連絡欲しいから、連絡先教えてくれる?」

 これは嫌な予感。
 でも、本当に無くしてたら大変だし、最悪ブロックもできる。
 連絡先を教えてしまった。

「やったー!!」

 遼君は凄い嬉しそう。

「え?」
「白乃さんの番号ゲットした!」

 は?

「実はね、財布落としてない」

 遼君はニヤッとした。

 こ、こいつ……

「いい加減にして!バカにしないで!」

 自分でも信じられないくらい大きな声が出た。
 遼君がびっくりして固まっていた。

「私もうすぐ試験なの!早く帰って勉強しなきゃいけないのに……!」

 私はその場を足早に去った。
 暫く歩いていたら、運悪く男に絡まれてしまった。
 なんで立て続けに!

「可愛い、連絡先教えて」

 これはなんかのスカウト?
 そのまま無視してると、ずっとついてくる。

 あー!もー!さいあく!!

 先生は今日遠くで研修だし。
 直ぐ呼んでも来れない。

 その時その男に腕を掴まれた。

「無視すんなよブス」

 掴まれた腕が痛くて、その顔が怖くて身動きがとれなくなってしまった。

「俺の彼女に手出さないで」

 後ろに遼君がいた。
 ニコニコしてるけど、目が笑ってない。
 その禍々しいオーラに気圧されて、その男は去った。

「白乃さん大丈夫?」

 私は無視した。

「白乃さん??」

 遼君が追いかけてくる。

「もうやめて!ほっといて!」

 思いきり睨んだ。

 そしたら、遼君の目から涙が溢れた。

 な、泣く!?

「ごめん……俺、白乃さんに近づきたくてあんなことしたんだ」

 この子、表情や行動がころころ変わりすぎてよくわからない。
 混乱する。

「おい」

 周囲の温度が一気に下がるような凍てつく声が響いた。

 振り返ったら、先生がいた。
 今までにない恐ろしさで震えた。

「あ~バレちゃった」

 また遼君の声が一変した。
 まさか、泣いたふり?

「お前何してるんだよ、遼」
「駅に遊びにきただけだよ?そしたら白乃さんがいたから話してた」

 ニコニコしながら言っている。
 二人が並ぶと、まるで兄弟みたい。

「二度とこいつに近づくな」

 とてつもなく鋭い目で先生は遼君を見た。
 遼君は、全くそれに動じていない。
 余裕の笑みだった。

 私は先生に腕を掴まれたまま車に連れて行かれた。
 先生怖い……。
 車の前で動けないでいると、無理やり押し込まれた。

「何された」

 至近距離で睨まれて硬直する。
 こ、怖すぎる!
 反射的に目を逸らした。

「財布をなくしたって言っていたので、探すのを手伝っていたんです……」
「嘘に決まってんだろ」

 そんなの私には嘘か本当かわからないし!

「あいつはな、俺の物を欲しがるんだよ。昔から」

 なんでそんなにあの子は執着するんだろう。先生に。

「これから一人で出歩くな」
「え!そんなの無理ですよ!」
「命令だ」
「何様なんですか!」

 あんな子供にいいように振り回されてる私達。
 末恐ろしい。
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