【続編】ダイヤの指輪─先生と私の歩む未来─

七転び八起き

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第33話

 この前遼君とバイト先で会った。
 遼君は田中さんと話していた。

 何を話していたか凄く気になったけど、あの時の遼君の言葉がまだ胸に響いていて、近づくのが怖かった。

 私は田中さんに試験の話をして、その間に遼君はどこかに行ってしまった。

 自分から避けていたのに、避けられると複雑な気持ちになる自分の頬を心の中で殴っていた。

 ◇ ◇ ◇

 卒論を提出して、試験も終わって、やっと勉強地獄から解放された。

 そして、二人で住む新居探しを本格的にスタート。

 先生の拘りが強いのと、私がどうしても自分の部屋が欲しいというのが原因で、なかなか条件が合う物件が見つからなくて、何件も不動産屋をハシゴしたあと、やっと一番理想に近い部屋を見つけた。

 ただ予算オーバー。
 私は四月からも学生で、家賃を払う余裕はあまりない。

 それを分かった上で先生はそこを選んだ。

 早く仕事に就きたい!
 もっと高いバイトを探そうかな……。

「余計なこと考えなくていいから」

 色々悩んでいる私を見て、先生が言った。

 私達は、来月からそこに引っ越す事になった。

 ◇ ◇ ◇

 家に帰ってから、先生は一息ついたらパソコンに向かってずっと作業をしていた。

「何してるんですか?」

 先生にコーヒーを持って行ったついでに少し覗いてみた。

「来年度に向けて色々」

 最近帰るのが遅いのは、これが原因か。

 その時気づいた。
 先生が眼鏡をしている!

「先生、目が悪くなったんですか!?」

「少し乱視がある」

 先生はそのままずっと仕事をしている。

 眼鏡をかけた先生を見るのが新鮮で、ずっと見ていた。

「何?」

「いえ、眼鏡をかけた先生も素敵だなぁと」

 言ったそばから恥ずかしくなる。

「邪魔してすみませんでした」

 外に出て買い物でもしてこよう。

 コートを羽織ろうとした時、ふと目の前が歪んでる見えた。

「え!?」

 これはもしや眼鏡?
 先生が勝手に私の目にかけていた。

「びっくりしました!脅かさないでください!」

 先生はずっと私の顔を見ている。

「お前、眼鏡かけると雰囲気がかなり変わるな」

 言われて鏡を見てみた。

 元からパッとしないのに、さらに地味に見える。

 先生はスタイリッシュな感じだったのに。

 眼鏡を外そうとした。

「外すな」
「はい!?」

 先生が距離を詰めてくる。

「見せろ」

 嫌な予感がした。
 多分また変なスイッチが入った。

「先生、仕事お忙しいのでは?」
「忙しい、遊んでいる暇はない。でもお前が悪い」

 私は何もしていない!

「先生、あなたが勝手に私に眼鏡をかけたんですよね?」

 先生が理由をつけて勝手に興奮してるだけ。
 いつもそう。

 早く外したいのに、結局またそういう流れになり、それを受け入れて満たされてしまう私。

 早く引っ越して、部屋を分けて、ちゃんとお互いの事に集中できるといいな。

 大学院の試験の合格発表は、もうすぐだ。
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