12 / 48
第12話 恋
しおりを挟む
私は仕事が終わった後、すぐに実家に電話をかけた。そして借金の債権者が変わったことを伝えた。
副社長と言うのは流石に両親を動揺させると思って『上司』と濁した。
「その人は信頼できる人なのか?直接お話しできるか?」
父の不安そうな声。
なんて言えばいいんだろう……。
そばには河内さんがいる。
私は河内さんにドライブに一緒に行くように言われて、今は夜景が見える駐車場にいた。
「河内さん……父が話したいと言ってるんですが」
河内さんは電話をかわった。
「初めまして、藤田さんの上司の河内と申します。藤田さんが借金の返済に困っていると相談を受けたので、私がこの様な形にさせて頂きました。期限などは設けておりませんのでご安心ください」
別人のように穏やかで誠実な男性を演じている河内さん。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
父の言葉に胸が苦しくなった。
「いえ、藤田さんには仕事でサポートして頂いてとても助かってるので気にしないで下さい」
そのあとまた電話をかわった。
「お父さん、そういう事だから、安心して」
「優美、大丈夫か?その人は信頼できるのか?」
信頼……
でも私は河内さんに助けられている。
「うん……大丈夫だよ。私河内さんのために仕事頑張るから。お父さんもお母さんも心配しないで」
そして電話を切った。
「河内さんありがとうございます。丁寧に説明して頂き……」
河内さんは何故か不満そうだった。
「どうしたんですか?」
「俺と付き合ってると言えばいい」
「え!?何でですか?」
私の顔をじっと見ている河内さん。
「あの時の返事をまだもらってない」
……そうだ、付き合ってほしいと言われて、返事はいつでもいいと言われたから、そのまま放置してしまっていた。
「あの……そのお返事の前にお伺いしたいのですが、河内さんは一目惚れというだけで私にここまでしてくれるのはなぜなんですか……?」
「……初めて会った時、無理をしてるのがわかった」
「……わかっちゃったんですね」
男の人と付き合った事がない、お酒も飲めない……
かなり無理はしていた。
でもそんな事、誰かに言われた事はなかった。
「俺も結構無理して今の仕事やってるから」
「え……?」
河内さんの事について私はあまり知らなかった。
私は………
この人の事を知りたいと思った。
「私、河内さんとお付き合いします。」
「……本当か?」
河内さんは驚いた表情をしている。
「ただ……」
「ただ?」
「私は男の人と付き合うのが初めてなので、正直怖いです」
河内さんは仕事では信頼できる人だ。
だけど、男女の関係となると話は別だ。
「わかった。お前が嫌な事はしない」
河内さんは真剣な表情だった。
「俺たちは今から恋人同士。あの約束は、なくしていいか?」
あの約束……接待以外の事はしないと約束した。
でも、恋人になったらもう接待ではない。
「安心しろ。俺はお前の事を大切にする」
その時、河内さんは私をそっと抱き寄せた。
怖い……だけど、安心する。
「これからは恋人としても、俺といろ」
胸が高鳴る。
目があった瞬間、唇が触れそうになった。
あの時はびっくりして逃げてしまったけど、私は逃げなかった。
私は恋に落ちたのかもしれない……
副社長と言うのは流石に両親を動揺させると思って『上司』と濁した。
「その人は信頼できる人なのか?直接お話しできるか?」
父の不安そうな声。
なんて言えばいいんだろう……。
そばには河内さんがいる。
私は河内さんにドライブに一緒に行くように言われて、今は夜景が見える駐車場にいた。
「河内さん……父が話したいと言ってるんですが」
河内さんは電話をかわった。
「初めまして、藤田さんの上司の河内と申します。藤田さんが借金の返済に困っていると相談を受けたので、私がこの様な形にさせて頂きました。期限などは設けておりませんのでご安心ください」
別人のように穏やかで誠実な男性を演じている河内さん。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
父の言葉に胸が苦しくなった。
「いえ、藤田さんには仕事でサポートして頂いてとても助かってるので気にしないで下さい」
そのあとまた電話をかわった。
「お父さん、そういう事だから、安心して」
「優美、大丈夫か?その人は信頼できるのか?」
信頼……
でも私は河内さんに助けられている。
「うん……大丈夫だよ。私河内さんのために仕事頑張るから。お父さんもお母さんも心配しないで」
そして電話を切った。
「河内さんありがとうございます。丁寧に説明して頂き……」
河内さんは何故か不満そうだった。
「どうしたんですか?」
「俺と付き合ってると言えばいい」
「え!?何でですか?」
私の顔をじっと見ている河内さん。
「あの時の返事をまだもらってない」
……そうだ、付き合ってほしいと言われて、返事はいつでもいいと言われたから、そのまま放置してしまっていた。
「あの……そのお返事の前にお伺いしたいのですが、河内さんは一目惚れというだけで私にここまでしてくれるのはなぜなんですか……?」
「……初めて会った時、無理をしてるのがわかった」
「……わかっちゃったんですね」
男の人と付き合った事がない、お酒も飲めない……
かなり無理はしていた。
でもそんな事、誰かに言われた事はなかった。
「俺も結構無理して今の仕事やってるから」
「え……?」
河内さんの事について私はあまり知らなかった。
私は………
この人の事を知りたいと思った。
「私、河内さんとお付き合いします。」
「……本当か?」
河内さんは驚いた表情をしている。
「ただ……」
「ただ?」
「私は男の人と付き合うのが初めてなので、正直怖いです」
河内さんは仕事では信頼できる人だ。
だけど、男女の関係となると話は別だ。
「わかった。お前が嫌な事はしない」
河内さんは真剣な表情だった。
「俺たちは今から恋人同士。あの約束は、なくしていいか?」
あの約束……接待以外の事はしないと約束した。
でも、恋人になったらもう接待ではない。
「安心しろ。俺はお前の事を大切にする」
その時、河内さんは私をそっと抱き寄せた。
怖い……だけど、安心する。
「これからは恋人としても、俺といろ」
胸が高鳴る。
目があった瞬間、唇が触れそうになった。
あの時はびっくりして逃げてしまったけど、私は逃げなかった。
私は恋に落ちたのかもしれない……
22
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~
葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。
「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。
小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。
若くしてプロジェクトチームを任される彼は、
かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、
遠く、眩しい存在になっていた。
優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。
もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。
それでも——
8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。
これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。
さくしゃ
恋愛
32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。
「甘酒って甘くないんだ!」
ピュアで、
「さ、さお…ふしゅうう」
私の名前を呼ぼうとして呼べなくて。
だけど、
「し、しゅ…ふしゅうう」
それは私も同じで。
不器用な2人による優しい恋愛物語。
果たして私たちは
「さ…ふしゅぅぅ」
下の名前で呼び合えるのでしょうか?
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる