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第15話 着物
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その日、仕事が終わった後、私は河内さんの家に行った。
そして河内さんが買ってくれたドレスを着てウィスキーを注いでいた。
それをじっと河内さんは眺めていた。
「なんでしょうか?」
「前から思っていたが、酒を注ぐ所作がいい。お前は茶道に向いているかもしれない」
「え!そうですかね。ラウンジの先輩に言われた通りにやっていただけですが」
河内さんはウィスキーを飲んだ。
「客にもてなすことは相手への敬意が必要だからな」
なるほど……。
「そうだ、優美に渡したいものがある」
河内さんは立ち上がって別室に行った後、大きな箱のようなものを持ってきた。
「これは何ですか?」
河内さんがそれを開けると、その中にはとても綺麗な着物が入っていた。
淡いピンク色の着物だった。
「茶道教室に行く時にそれを着ていけ」
「わー!ありがとうございます!楽しみです!」
一気にやる気が出てきた。
河内さんは嬉しそうに微笑んだ。
「出張中、ずっとお前のことを考えていた」
急に真剣な表情になった河内さん。
「会えない時間が、こんなに長く感じるとは思わなかった」
そっと私の手を取る。
「優美……」
私の心臓が早鐘を打ち始めた。
河内さんがゆっくりと距離を詰めてくる。
「会えなかった時間を埋めたい」
私はそっとソファに導かれた。
緊張して心臓が激しく動き出した。
河内さんの顔がゆっくり近づいてきて、私たちの唇が重なった。
何度も何度も。
河内さんの唇は柔らかくて、だんだんと体が熱くなってきた。
河内さんの手が私の頬を撫で、首筋に触れた。
そして河内さんの手が私の胸に触れた。
その瞬間、驚いて思わず手を掴んでしまった。
「あ……」
河内さんは我に返ったように手を止めた。
「悪かった……いきなりだったな……」
河内さんは立ち上がった。
「送っていく」
玄関の方に向かう彼の背中は寂しげで……思わず後ろから抱きしめた。
「どうした?」
「ごめんなさい。臆病で」
暫く河内さんは沈黙していた。
「焦らなくていい」
「でも!河内さんの気持ちに応えられなくて……」
「俺は待つから」
振り返った河内さんの表情は優しかった。
河内さんはゆっくり私に手を伸ばして、私をそっと抱き寄せた。
「俺のこと、好きか?」
「はい……好きです」
「じゃあ、それでいい。俺はお前を急かしたりしない」
「ありがとうございます……」
河内さんの優しさに涙が出そうになった。
その後、河内さんはタクシーを呼んでくれた。
「優美、おやすみ」
そう言って、タクシーは進んだ。
河内さんの気持ちに応えることができなくて、胸が痛んだ。
でも同時に、この人の優しさに包まれている安心感もあった。
駅でタクシーから降りて歩いていると、ふと誰かに見られている気がした。
振り返ってみても、夜の駅前に人影は見えない。
でも確かに、視線を感じた。
──少し胸がざわついた。
そして河内さんが買ってくれたドレスを着てウィスキーを注いでいた。
それをじっと河内さんは眺めていた。
「なんでしょうか?」
「前から思っていたが、酒を注ぐ所作がいい。お前は茶道に向いているかもしれない」
「え!そうですかね。ラウンジの先輩に言われた通りにやっていただけですが」
河内さんはウィスキーを飲んだ。
「客にもてなすことは相手への敬意が必要だからな」
なるほど……。
「そうだ、優美に渡したいものがある」
河内さんは立ち上がって別室に行った後、大きな箱のようなものを持ってきた。
「これは何ですか?」
河内さんがそれを開けると、その中にはとても綺麗な着物が入っていた。
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「茶道教室に行く時にそれを着ていけ」
「わー!ありがとうございます!楽しみです!」
一気にやる気が出てきた。
河内さんは嬉しそうに微笑んだ。
「出張中、ずっとお前のことを考えていた」
急に真剣な表情になった河内さん。
「会えない時間が、こんなに長く感じるとは思わなかった」
そっと私の手を取る。
「優美……」
私の心臓が早鐘を打ち始めた。
河内さんがゆっくりと距離を詰めてくる。
「会えなかった時間を埋めたい」
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緊張して心臓が激しく動き出した。
河内さんの顔がゆっくり近づいてきて、私たちの唇が重なった。
何度も何度も。
河内さんの唇は柔らかくて、だんだんと体が熱くなってきた。
河内さんの手が私の頬を撫で、首筋に触れた。
そして河内さんの手が私の胸に触れた。
その瞬間、驚いて思わず手を掴んでしまった。
「あ……」
河内さんは我に返ったように手を止めた。
「悪かった……いきなりだったな……」
河内さんは立ち上がった。
「送っていく」
玄関の方に向かう彼の背中は寂しげで……思わず後ろから抱きしめた。
「どうした?」
「ごめんなさい。臆病で」
暫く河内さんは沈黙していた。
「焦らなくていい」
「でも!河内さんの気持ちに応えられなくて……」
「俺は待つから」
振り返った河内さんの表情は優しかった。
河内さんはゆっくり私に手を伸ばして、私をそっと抱き寄せた。
「俺のこと、好きか?」
「はい……好きです」
「じゃあ、それでいい。俺はお前を急かしたりしない」
「ありがとうございます……」
河内さんの優しさに涙が出そうになった。
その後、河内さんはタクシーを呼んでくれた。
「優美、おやすみ」
そう言って、タクシーは進んだ。
河内さんの気持ちに応えることができなくて、胸が痛んだ。
でも同時に、この人の優しさに包まれている安心感もあった。
駅でタクシーから降りて歩いていると、ふと誰かに見られている気がした。
振り返ってみても、夜の駅前に人影は見えない。
でも確かに、視線を感じた。
──少し胸がざわついた。
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