オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

七転び八起き

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第26話 招かれざる客

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 年末年始の休暇が終わり、また仕事は通常営業に戻った。
 私も羽山さんも仕事モードになる。

 数日経ったある日──

 羽山さんが外出している間、営業部にとても美人で自信に満ち溢れた女の人が現れた。
 営業の人達と仲良さそうに話している。

 誰だろう……。

「あの人、本社で働いている元営業の社員だよ。今は経営企画部にいるみたい」

 先輩社員が教えてくれた。

「すごい社交的な感じな方ですね。仕事できそう」

 美人だし、明るいし、人望もありそうだし、素敵だな。

 その時、羽山さんがオフィスに戻ってきた。

「あ!羽山さん!久しぶり!」

 その女の人が羽山さんに話しかけた途端、羽山さんの表情が一変した。

 今まで見たことのないような…暗い目をしていた。

「久しぶり」

 それだけ言って、その人の前を通り過ぎて、デスクに戻った。

 それからずっと羽山さんは険しい表情のままだった。

 なんだろう。

 その女の人は暫く他の社員と話した後、羽山さんに声をかけてオフィスから出て行った。

 どういう関係なのか知りたくて仕方がなかった。

 ◇ ◇ ◇

 仕事が終わって、羽山さんに挨拶してから帰ろうとしたら、打ち合わせがまだ終わってないらしく、羽山さんはデスクにいなかった。

 最後に顔だけでも見たかったけど、諦めて帰ろうとして、エレベーターの近くに行くと──

 あの女の人が立っていた。

 彼女が私に気がついて目があった。

「あ、営業の羽山さん知らない?どこにいるか」

 この人を見て羽山さんは嫌な顔をしていたけれど、何かあったのだろうか。

「打ち合わせ中です」

 そう言うと、その人は残念そうにしていた。

「ありがとう!まだ待ってみる」

 そう言って、どこかに行ってしまった。

 胸がザワザワした。
 でも、私はここにいてもどうしようもないと思って帰った。

 ◆ ◆ ◆

 最悪な気分だった。

 あの女の顔なんて二度と見たくなかった。
 俺の心をズタズタにした奴。
 どの面下げて来たんだよ。

 顔を見た瞬間虫唾が走った。
 あの時の思い出したくない記憶が全て蘇った。

 打ち合わせが終わって戻ったら、瑠美はもういなかった。

 瑠美と話したかった。
 こんな事なんか考えたくもない。

 帰ろうとしたら──

 あいつがまだいた。

「こんな遅くまで仕事だと思わなかった」

 笑顔で立っている。
 嫌な感情が湧き上がる。
 無視して通り過ぎようとした。

「ねぇ、話したいの。哲治」

 俺の腕に触れてきた。

「俺は何も話すことはない」
「謝りたかったの」
「今更謝ってどうするだよ」
「また昔みたいに仲良く話せるようになりたいんだ」

 ──は?

「なれる訳ないだろ。お前自分が何したか覚えてないのか?」

 あいつは少し目を伏せて暫く考えた後、「とりあえず今日は帰る」と言ってエレベーターに先に乗って去った。

 余計な記憶を引き摺り出したまま。
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