世界最強だけど我が道を行く!!

ぶちこめダノ

文字の大きさ
5 / 117
一章 ダンジョンに飛ばされた!?

4.いきなり絶体絶命の危機

しおりを挟む
目覚めた場所は暗く広い穴というか、洞窟のような場所だった。


「うーん、ここが異世界なのかな?」


(・・・ん?)


俺は辺りを見渡して、違和感を感じた。
目線がやけに低い。
身体を作り替えるとか言ってたっけ。
その身体に少し慣れなさを感じながらまた周りを見る。

確かにこんな場所、地球になさそうではあるが、それだけで異世界だと判断する証拠として少し弱い。
それが確信に変わったのは、背後から感じる猛烈もうれつな殺意を放つ怪物の存在を感じた瞬間だった。


俺は何よりも先に逃げ出した。

振り返ることもせず、細い通路のような穴に向かって全力で走った。
気配は俺を追いかけてきている。

俺が体を投げ出すように穴に転がり込むと、同時に、穴の入り口に巨大な手がぶつかった。

振り返ると鬼をより恐ろしくして、巨大化させたような怪物が穴の入り口にギラリと光る目を当ててこちらを見ていた。

幸い、怪物は穴には入って来れないようで、命拾いした。

一気に安堵あんどが広がると同時に、怒りも湧いてきた。


(あの男、やっぱり俺を殺す気じゃないのか?)


こんな危険なら、教えて欲しかった。

届かない怒りを心の奥に仕舞い、俺はどうするか考えた。

持ち物はない。

穴の外には化け物。

できることは穴の中の探索しかなかった。

幸運にも、穴の中には危険なモンスターはいなかった。
そして、奥には湧水わきみずがあり、飲み水には困らないことが判明した。

そうすると、残る問題は食料だが、これは魔法でしのぐしかない。

実は魔法は便利なもので、生命活動を限定することで、必要エネルギーを最低限に抑えてくれる。
これで3ヶ月は何も食べなくても生命を維持できる。
しかし、3ヶ月以内に外の怪物がいなくなるとは考え辛い。
となると、あの怪物を倒さないといけなくなるのだが・・・・詰んでね?
それでも、やれることはやって死んだ方がいいので、2ヶ月間で奴を倒すの準備をして1ヶ月分のエネルギーで、やつを仕留しとめる。
そして、あいつを食う。

うん、それしかない。

作戦開始だ。

よし、まず寝よう。疲れた。

こうして、異世界1日目は幕を閉じた。



ちなみに自称神曰く、この世界にも魔法があって、その魔法と地球で使っていた魔法は微妙に違うらしい。
加えて、この世界に長くいると、地球の魔法は使えなくなっていくらしい。




ーー2ヶ月後

俺はここに飛ばされてからずっとこの日のために準備を進め、やっと今日、完璧に準備を終えた。
奴はここに来た日以来、ずっと寝てくれていたので、準備も楽に進められた。

作戦はこうだ。

まず、俺は奴にダメージを与えられる武器を持っていない。
魔法ならばかすり傷くらいつけられるかもしれないが、倒すには遠く及ばない。
よって、殺すには間接的に攻撃する必要がある。

そこで俺は水で溺死できしさせることにした。
しかし、奴がすっぽりはまるほどの大穴を掘るエネルギーはないので、水路を掘って、湧水を穴の入り口周辺に2ヶ月間、流し続けた。
俺の魔法も駆使くしして奴が入るほどの大きさの泥沼を作った。

あとは奴を誘い込むだけだが、奴も馬鹿ではない、こんなあからさまな罠に嵌ってくれるほど、優しくないだろう。
だから俺は魔法で浮遊ふゆうし、上を向かせる事で足元に注意がいかないようにすることにした。

準備は完璧。

今こそ2ヶ月に及ぶ戦いのフィナーレだ!!


しかし、そこには大きな誤算があった。


(・・・あれ?あいつ起きてね?)


そう、奴が目を覚ましていた。
それだけじゃない、俺が作った沼を凝視ぎょうししていた。


(嘘だろ・・・俺が準備している2ヶ月間、一度も目を覚さなかった癖に、なんでこんな時だけ目を覚ますんだよ)


俺はもう無理だと悟った。
せっかくここまで準備したが、流石に心が折れた。

俺は力なく穴の入り口の方へヨロヨロと歩いた。
もうこいつに立ち向かう手段はない。
ここで死ぬしかないだろう。

なら苦痛が一瞬で済む死を選ぶ。

俺は入り口の外に立ち奴に向かって叫んだ。


「さぁ、とくと食え、俺の肉は格別だ!!」


奴も俺の覚悟を理解してるのか、ゆっくりと近づいてくる。

俺は奴がここにくるまでの、短いようで長い時間の中で姉さんにお礼を言った。


(ありがとう、生かしてくれて。でも、ごめん。もうダメっぽい。助けてあげられない俺を許してください)


そして俺は奴を見た。



ゆっくりと俺の方へ来て、沼に嵌った。



ーーなんでやねん!?


あんなに凝視してたのに。
お前の脳は1分以上前のことは記憶してくれないのか?



ーーギョェェェ!!


奴は断末魔だんまつまのように吠えながら、沼の中に消えていった。


しばらくして、俺のすぐ横に、大人のヒグマほどの大きさがある肉塊にくかいーー奴の肉と思われるーーといくらかの硬貨が現れた。


(この世界では、モンスターを倒すとドロップアイテムとお金に変換されるのか?)


そんなことを考えていると、いきなり抗えない睡魔すいまに襲われた。


俺はそのままその場に倒れるように眠りについた。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...