世界最強だけど我が道を行く!!

ぶちこめダノ

文字の大きさ
109 / 117
7章 組織の暗躍

108.画策

しおりを挟む
そもそも俺が集めるべき情報は姉さんについてだ。
すでに分かっているのは、姉さんがこの世界の神によって地球から転移もしくは転生していると言う事だけ。

なので、第一に調べるべきは過去に転移や転生してきた異世界人がいるのか、という点だろう。
過去の事例があれば、それをもとに姉さんに辿り着けるかも知れない。

ただ、そう言った情報は国の重要機密だったりするので、城や図書館の書庫などに保管されているだろう。
とすれば、自ずと警備も厳しくなる。
侵入するにしても、建物の構造くらいは知っておかねばなるまい。


という訳で、俺はガドラス王国の王都に来ていた。
この世界には4つの国があるが、ガドラス王国はその中では情報が乏しい国だろう。
人間の数だけで言えば、隣国のリートア帝国の方が多いため、情報はそちらに集まりやすいだろう。
更に、個人の身体能力や魔力量の高さで、獣人や精霊族は人間より勝っているため、より重要な情報は彼らが保管している可能性が高い。
特にフィーリア王国は魔力探知の魔導具を扱える点で、非常に警備には適性が高い。

つまりこの国にはそこまで重要な機密はないと思うのだ。それは言い換えれば警備が薄いということでもある。
組織として最初の狙いにするにはピッタリだろう。


「まずは図書館からだな」


俺は最初の目的地を図書館に決める。

図書館は一般公開している場所なので建物に入るのは簡単だ。

入り口を通って普通に中へ入った。

中はまばらに人がいて魔法の本やら歴史の本やらを読み耽っている。

上を見ると天井が高く、二階と三階まで吹き抜けになっていた。
二階と三階は本棚が隙間なく置かれている。
どうやら一階は本を持ってきて読むスペースらしい。

ただ、建物の構造的に書庫が入るような空間は一階から三階までにはなさそうだった。
書庫は別の建物か地下にあるのだろうか。

一階を見渡せる位置に司書が座っているのが見えたので、あの人に聞いてみよう。


「すいません。探してる本が見つからないんですけど、書庫はどこにありますか?あれば見せて欲しいのですが……」


直球で聞くと怪しまれるので、少し遠回しに聞く。


「書庫は地下にありますが、一般公開はしていません。よろしければ私がお探ししましょうか?」


「いえ結構です。ありがとうございました」


目当ての情報は得られたのでその場を後にする。

地下に書庫があるのは分かったが、大事なのはどうやって侵入するかだ。


「とりあえず夜を待って警備の様子を観察してみるか」


普通に本を読んだり王都を観光したりしながら時間を潰して夜になるのを待った。
そして夜になり、一般公開する時間を過ぎて図書館から人が出て行った。
外から見える範囲には人はいない。

そこで俺は魔力探知を展開する。
図書館全体を覆うほどの範囲を調べると、建物の入り口とは反対側の建物内部に2人の衛兵が立っているのが分かった。

図書館を巡回する訳でもなく、何かの前で立ち尽くしている。
おそらく地下に続く階段がそこにあり、それを見張っているのだろう。

観察を続けること3時間ほど。
その間、2人はトイレ以外ではその場を動かなかった。

しかし、ちょうど日付が変わる頃、新たな2つの反応が現れ、入り口の反対側から建物の内部に入ってきた。
見張りの交代が行われたらしく、元いた2人は入り口から建物の外に出た。

これで分かったのは裏口があること。
それから真夜中に見張りの交代が行われること。

昼に建物の周りを一周した限り、裏口は見当たらなかったので、何かしらの手段で隠してるのだろう。
それが分かれば侵入出来そうだ。

ある程度、建物の構造は分かったので観察をやめてシェルターに転移で戻る。


今回の作戦は組織としては初めての諜報活動となるので俺、スー、ヒアの3人でやろうと考えている。
万が一、何かトラブルがあっても俺がいれば対処できるのでついていくが、基本はスーとヒアの2人にやってもらうつもりだ。
万全を期すために俺が偵察をしたが、ゆくゆくは偵察も俺抜きで出来るようにしたい。


シェルターに帰って来てスーとヒアに偵察の結果を伝える。
ヒアが暗殺者としての経験をもとに的確に計画を立てていく。

俺は2人がどんな作戦を立ててくれるのか期待して見ていた。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...