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1章 幼女な神様との出会いと過去
閑話.自称神様の『おっさん』がいたんだが
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※本編とは関係ありません。もしも森で倒れていたのが『おっさん』だったら、というお話です。
☆
オレは森の中に住む、ただの人間だ。
人々はオレが住むこの森を『深淵の森』やら『帰らずの森』なんて呼ぶ。
非常に強い魔物が跋扈し、濃い魔力の瘴気で方向感覚が狂うだけの普通の森なのだが。
「ん?塩がもうないのか……」
森で仕留めてきた動物の肉に味付けをしようとして塩がない事に気づく。
「久しぶりに街に行かないとダメだな」
オレは近くの木に立て掛けておいた黒く透き通ったショートソードを手に、おもむろに街のある方向へ歩き出す。
最寄りの街までは10キロくらい離れている。
歩いて行けば半日くらいかかるが、森のお散歩だ。
時々、魔物が襲ってくるだけのな。
いくらか歩いてもうすぐ森を抜けようとしていたある時、オレは目を疑うものを見た。
「……人……か?」
遠くて確証はないが、地面に人らしき物体が転がっているのが見えた。
近づいて確認してみるとやはり人であった。
しかも、ベロベロに酔い潰れて、顔を真っ赤にしたおっさんだ。
「何故こんな所におっさんが……?」
何があったかは知らないが、関わりたくない。
確実に生きているだろうが、オレは死んでいると思い込んで通り過ぎようとする。
しかし、おっさんはオレに気づいて声を掛けてきた。
「人がいる……」
無視して立ち去るのは簡単だが、放置して見殺しにするのは、流石に気が引ける。
仕方なく、事情を聞くことにした。
「大丈夫か?何があった?」
「なんでこんな所に人がいるのだッ!」
酔い潰れたおっさんは悲痛そうな顔で嘆く。
「せっかく、おれがしとといないほりで、しほうとひてたのに」
呂律が回っておらず、半分以上は聞き取れなかったが、「死のうとしてたのに」と言ったと思う。
「死にたいのか?」
「そぉだぁ!あんでもかんでも神様のおれに押し付けやがってぇ……もう、うんざりだぁ!」
「神様?」
酔いと混乱でおかしな事を口走っているので、まともに聞いても時間の無駄だろう。
「近くの街まで運ぶか……?」
ここに置いて行くことは出来ない。
とは言え、背負っていくのは死んでも嫌である。
背中で吐かれでもしたら、ショートソードでひと刺しにする自信がある。
しょうがないので、腕を持って引きずることにした。
ズルズルと音をたてながら森を進んでいく。
その間もおっさんは、ずっとゴチャゴチャ言っていたので、それを聞き流しながら歩いた。
森を抜けると、街が見えて来た。
「止まれ!」
街の入り口に立っていた門番が人影を見つけて声を張る。
しかし、オレだと分かると警戒を解いた。
「……って、あんたかよ。また何か買いに来たのか?」
「ああ、塩がなくなってな」
「ッ!?おい、あんた殺したのか?」
何を勘違いしたのか、門番は引きずって来たおっさんを見るなり明らかに動揺する。
「ちげぇよ!拾いもんだ。死んでない」
本当に物のように扱っているので、『拾いもん』という表現は、なんら間違いではない。
門番はオレの言葉に納得する。
「あんたは人殺しには見えねぇもんな」
若干、胸に突き刺さるが、その言葉はスルーした。
「森で倒れてたんだ。保護してやってくれ」
「分かった」
オレはおっさんの処理を門番に任せて街に入っていった。
「さて、塩を買うか……」
オレは塩だけ買うとまた森に帰っていく。
ーーまた何も変わらない毎日が始まる予感がした。
※この閑話はこれで完結です。次の話は7話『思ってた反応と違うんだが』の続きなので、よろしくお願いします。
☆
オレは森の中に住む、ただの人間だ。
人々はオレが住むこの森を『深淵の森』やら『帰らずの森』なんて呼ぶ。
非常に強い魔物が跋扈し、濃い魔力の瘴気で方向感覚が狂うだけの普通の森なのだが。
「ん?塩がもうないのか……」
森で仕留めてきた動物の肉に味付けをしようとして塩がない事に気づく。
「久しぶりに街に行かないとダメだな」
オレは近くの木に立て掛けておいた黒く透き通ったショートソードを手に、おもむろに街のある方向へ歩き出す。
最寄りの街までは10キロくらい離れている。
歩いて行けば半日くらいかかるが、森のお散歩だ。
時々、魔物が襲ってくるだけのな。
いくらか歩いてもうすぐ森を抜けようとしていたある時、オレは目を疑うものを見た。
「……人……か?」
遠くて確証はないが、地面に人らしき物体が転がっているのが見えた。
近づいて確認してみるとやはり人であった。
しかも、ベロベロに酔い潰れて、顔を真っ赤にしたおっさんだ。
「何故こんな所におっさんが……?」
何があったかは知らないが、関わりたくない。
確実に生きているだろうが、オレは死んでいると思い込んで通り過ぎようとする。
しかし、おっさんはオレに気づいて声を掛けてきた。
「人がいる……」
無視して立ち去るのは簡単だが、放置して見殺しにするのは、流石に気が引ける。
仕方なく、事情を聞くことにした。
「大丈夫か?何があった?」
「なんでこんな所に人がいるのだッ!」
酔い潰れたおっさんは悲痛そうな顔で嘆く。
「せっかく、おれがしとといないほりで、しほうとひてたのに」
呂律が回っておらず、半分以上は聞き取れなかったが、「死のうとしてたのに」と言ったと思う。
「死にたいのか?」
「そぉだぁ!あんでもかんでも神様のおれに押し付けやがってぇ……もう、うんざりだぁ!」
「神様?」
酔いと混乱でおかしな事を口走っているので、まともに聞いても時間の無駄だろう。
「近くの街まで運ぶか……?」
ここに置いて行くことは出来ない。
とは言え、背負っていくのは死んでも嫌である。
背中で吐かれでもしたら、ショートソードでひと刺しにする自信がある。
しょうがないので、腕を持って引きずることにした。
ズルズルと音をたてながら森を進んでいく。
その間もおっさんは、ずっとゴチャゴチャ言っていたので、それを聞き流しながら歩いた。
森を抜けると、街が見えて来た。
「止まれ!」
街の入り口に立っていた門番が人影を見つけて声を張る。
しかし、オレだと分かると警戒を解いた。
「……って、あんたかよ。また何か買いに来たのか?」
「ああ、塩がなくなってな」
「ッ!?おい、あんた殺したのか?」
何を勘違いしたのか、門番は引きずって来たおっさんを見るなり明らかに動揺する。
「ちげぇよ!拾いもんだ。死んでない」
本当に物のように扱っているので、『拾いもん』という表現は、なんら間違いではない。
門番はオレの言葉に納得する。
「あんたは人殺しには見えねぇもんな」
若干、胸に突き刺さるが、その言葉はスルーした。
「森で倒れてたんだ。保護してやってくれ」
「分かった」
オレはおっさんの処理を門番に任せて街に入っていった。
「さて、塩を買うか……」
オレは塩だけ買うとまた森に帰っていく。
ーーまた何も変わらない毎日が始まる予感がした。
※この閑話はこれで完結です。次の話は7話『思ってた反応と違うんだが』の続きなので、よろしくお願いします。
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