幼女な神様には旅をさせよ

ぶちこめダノ

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2章 幼女な神様と2人旅

15.街を出たんだが

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「では、出発なのだッ!」


日の出前だと言うのに、スヴィエートは上機嫌に言う。


「ああ、そうだな」


宿屋で旅の準備を済ませたオレ達は出発しようとしていた。

旅に必要な道具は全てオレが持つことになったため、背中には人が入りそうな程の大きさのリュックを背負っている。

スヴィエートの背丈では持てるものがなかったので仕方ない。

まだ宿屋の女も起きていない内に宿屋を出る。
料金は先払いなので、問題はない。

日が昇る前で、外はまだ暗い。
別に急ぐ旅ではないが、明るいうちに出来るだけ進みたいので、早くに出発したのだ。

街の出口に行くと、この時間でも門番は既に起きていた。
いつ寝ているのか疑問である。

その門番にオレは声をかけた。


「門番は大変そうだな」


「おう、あんたか。大変だが、意外と楽しいもんだぜ。ここに来たってことは、もう街を出るのか?」


「ああ」


「そうか……ん?そっちの嬢ちゃんは前に背負ってた子か……?起きてるのを見るのは初めてだな。随分と可愛い顔してんな」


門番はスヴィエートを見るとそう言う。
まあ確かに、門番の言う通りスヴィエートの容姿は整っている。
でも、中身は残念なタイプだからな。


「まあ、顔だけはな……」


「どういう意味なのだッ!」


オレの含みのある言い方にスヴィエートは抗議する。
そのやり取りを面白そうに見ていた門番が口を開く。


「仲が良いんだな。ともかく気をつけろよ……って、ダイアウルフを倒せる奴には要らぬ心配か」


言葉の途中で門番は、オレに対しての心配など必要がない事に気づく。
確かに、大抵の魔物なら一瞬で倒せる自信がある。


「あんたらの旅が楽しくなるように祈っておくぜ」


「ありがとな。そっちも体には気をつけろよ」


「分かった。じゃあな」


こうしてオレ達は、門番と別れて街を出た。


街から出てしばらくは、道の左右に見晴らしの良い草原が続く。
爽やかな風がサラサラと頬を撫でる。

心地のよい朝の空気の中、歩みを進めながらオレは口を開いた。


「ひとつ確認するぞ。旅の最中、オレの指示は絶対だ。特に魔物がいる場所では、言うことを聞かなければ守ってやらないからな」


「分かったのだ!」


スヴィエートはオレの言葉をすんなりと受け入れる。
てっきり文句を言うかと思っていたので、意外だった。

それからもう一つ、確認すべきことがあったので言葉を続ける。


「あと疲れたら、すぐに報告してくれ。疲れた状態で歩き続けるのは危険だからな」


「うむ、了解なのだ」


やはりスヴィエートは素直にオレの言葉を聞き入れる。
何か違和感を感じていると、スヴィエートがオレの方に体重を預けてきた。
そして目を擦りながらオレを見上げる。


「……ところでディラン、我は眠いのだ」


「は?」


「昨日、楽しみで眠れなかったのだ……」


さっき感じた違和感の原因はそれかと納得する。
あまり頭が働いていないのだろう。


「なら、どうするんだ?街に戻るか?」


「それは嫌なのだ……抱っこ……」


「はぁ?」


両手を広げて待つスヴィエートにオレは呆れる。

どうしたものかと悩んだが、最終的には抱っこしてあげる事にした。
それなりの距離は進んだので戻るのも嫌だった。

スヤスヤと寝息をたてるスヴィエートを抱えながらため息を吐く。

まあ、スヴィエートのペースを考えなくて良くなった。
それはそれでメリットがあるか。

そう思うことで自分を納得させた。
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