幼女な神様には旅をさせよ

ぶちこめダノ

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2章 幼女な神様と2人旅

24.選択肢が酷いんだが

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「これだから下民と会話するのは嫌いなんだ……」


公爵の男は怒りとも呆れとも取れる息を吐き出して、自身の背後に視線を向ける。
視線の先に何があるのかと注目していると、人混みに紛れていた護衛が現れた。

それを確認して、公爵は再びオレ達に視線を戻す。


「無知な貴様らにも分かるように、簡単な二択を与えてやろう。今すぐそのウルフを渡して許しを乞うか、不敬罪で投獄された挙句に奪われるか。選ぶが良い」


公爵は明確な脅しを掛けてくる。
尊大に構え、オレ達を見下していることを隠そうともしない。

実際、この世界で貴族はかなりの権力を持つ。
公爵ともなれば、それこそ庶民など搾取の対象でしかない。
見下して当たり前の存在なのだ。

だが、残念なことにオレ達は庶民とは違う。
家も財産も持たない旅人。搾取されて困るものは持ち合わせていない。

投獄されるのは困るが、捕まらなければ良いだけの話だ。
オレとスヴィエートは目を見合わせて頷くと、公爵に向けて言葉を発した。


「投獄されるのは流石に嫌だな」


まずオレがそう言うと、公爵はやっと理解したかと表情を緩める。


「そうか。ならば、そのウルフを渡して詫びの言葉を聞か……」


「だが、ウルフを渡すのはもっと嫌なのだッ!」


公爵の言葉を遮ってスヴィエートはそう言い放った。

その言葉を言い終わると同時に、オレ達は全力で人混みに駆け込む。

この人混みだ、逃げるのは容易い。
オレ達は脇目も振らずに出口を目指した。

そんなオレ達の考えを最初に察したのは、公爵ではなく護衛の一人だった。

オレ達が走り出すのとほぼ同時に動き始めて追ってきた。


「逃げただと!?この私を無視して……。あの愚民を追えぇ!!!殺しても構わん!!」


事態を飲み込むのに少し時間が掛かった公爵は、遅れて指示を出す。
周りにいた護衛は一人を残して全員がオレ達を追ってきた。

人混みでは追手を撒くほど速く逃げる事は困難で、しばらく一定の距離を保ったまま出口に向かって移動していた。

少しステージから離れて、人混みの終わりが見える。


「スヴィエート、人混みを出た瞬間にオレがお前を抱えて逃げる。しっかり掴まれよ!」


「分かったのだ!」


そう確認し合った直後、オレ達は人混みを抜ける。

そして宣言した通りオレはスヴィエートを抱きかかえると、一気に加速した。


「ッ!」


追ってきていた護衛の男達がオレの加速を目の当たりにして息を飲む。
護衛達も人混みを抜けて加速するが、全く追いつかない。
たった数メートルの差だったはずが、どんどん引き離される。

数十秒もすると姿が見えなくなってしまった。


「何だあれは……本当に人間なのか……?」


そんな護衛の呟きが真夜中の空に消えていった。
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