26 / 26
2章 幼女な神様と2人旅
25.今日のところは撒いたんだが……
しおりを挟む
「なに!?取り逃しただと!!何をしてるんだ!」
報告を受けた公爵は護衛達を問い詰める。
「人混みを抜けた瞬間に男が幼女を抱えて走り出したのですが、信じられない速度でした。誰も追いつくことが出来ず、見失いました……」
「護衛の中には、スピードに特化した奴もいたんじゃないのか?例えばハンネスは居なかったのか?」
名前を挙げられたハンネスは一歩前進して進言する。
「俺も全く追いつけませんでした。それに、あの男は身体強化をしていなかったと思われます……」
「「なんだと……!!」」
ハンネスの言葉に公爵だけでなく、護衛達も騒つく。
「つまり、お前たちは身体強化を施していない、生身の人間に追いつけなかったという事なのか?」
「恥ずかしながら……」
「だが、お前たちの能力は近衛隊隊長のお墨付きだ。あの愚民が只者ではなかったと言うことか……この会場にいた事も鑑みるに他国の間者である可能性もなくはない。一応、国中の貴族にその旨を通達して情報を集めろ」
「はっ!」
護衛の一人が命令を受けてその場を後にした。
「あの者が何者であっても、私をコケにした事は許されない……いつか必ず目にモノ見せてやるぞ……!」
そんな公爵の呟きは、近くにいた護衛たちにも届かなかった。
☆
追手を撒いた後、オレ達は『安らぎ荘』に戻ってきた。
抱えていたスヴィエートを地面に降ろして、建物に入る。
「お帰りなさい!」
入るとすぐに、レティシアが出迎えてくれた。
「帰ってくるタイミングバッチリですね!お食事がもうすぐ出来ますよ」
「そうなのか?結構、遅い時間になったつもりだったんだが」
そう言いながら時計を見ると、夕飯時はとっくに過ぎて、寝ている人がいてもおかしくない時間になっていた。
「うちの宿屋を利用する方は夜遅くまで外出してることが多いんですよ。商人さんとか……」
「確かに、宿をとるのはそういう奴が多そうだな」
「それよりも!!」
レティシアは腰に手を当てると、頬を膨らませてスヴィエートに顔を向けた。
「女の子がこんな遅くまで出歩くのは、良くありません!危ないです!」
「うむ、それは実感して来たのだ。さっき、面倒な奴に目を付けられたからな」
「えぇ!!」
レティシアは、まさか既に危ない目に遭っていたとは思わず、驚きの声を上げる。
「大丈夫だったの?」
「ディランがいたから大丈夫だったが、我一人だったら危なかったのだ」
「気をつけないとダメだよ!……あっ!鍋に火をかけてるんだった。ごめん、行くね」
「分かったのだ」
「引き止めて悪かったな」
そう言ってレティシアと別れた後、オレ達は部屋に入った。
報告を受けた公爵は護衛達を問い詰める。
「人混みを抜けた瞬間に男が幼女を抱えて走り出したのですが、信じられない速度でした。誰も追いつくことが出来ず、見失いました……」
「護衛の中には、スピードに特化した奴もいたんじゃないのか?例えばハンネスは居なかったのか?」
名前を挙げられたハンネスは一歩前進して進言する。
「俺も全く追いつけませんでした。それに、あの男は身体強化をしていなかったと思われます……」
「「なんだと……!!」」
ハンネスの言葉に公爵だけでなく、護衛達も騒つく。
「つまり、お前たちは身体強化を施していない、生身の人間に追いつけなかったという事なのか?」
「恥ずかしながら……」
「だが、お前たちの能力は近衛隊隊長のお墨付きだ。あの愚民が只者ではなかったと言うことか……この会場にいた事も鑑みるに他国の間者である可能性もなくはない。一応、国中の貴族にその旨を通達して情報を集めろ」
「はっ!」
護衛の一人が命令を受けてその場を後にした。
「あの者が何者であっても、私をコケにした事は許されない……いつか必ず目にモノ見せてやるぞ……!」
そんな公爵の呟きは、近くにいた護衛たちにも届かなかった。
☆
追手を撒いた後、オレ達は『安らぎ荘』に戻ってきた。
抱えていたスヴィエートを地面に降ろして、建物に入る。
「お帰りなさい!」
入るとすぐに、レティシアが出迎えてくれた。
「帰ってくるタイミングバッチリですね!お食事がもうすぐ出来ますよ」
「そうなのか?結構、遅い時間になったつもりだったんだが」
そう言いながら時計を見ると、夕飯時はとっくに過ぎて、寝ている人がいてもおかしくない時間になっていた。
「うちの宿屋を利用する方は夜遅くまで外出してることが多いんですよ。商人さんとか……」
「確かに、宿をとるのはそういう奴が多そうだな」
「それよりも!!」
レティシアは腰に手を当てると、頬を膨らませてスヴィエートに顔を向けた。
「女の子がこんな遅くまで出歩くのは、良くありません!危ないです!」
「うむ、それは実感して来たのだ。さっき、面倒な奴に目を付けられたからな」
「えぇ!!」
レティシアは、まさか既に危ない目に遭っていたとは思わず、驚きの声を上げる。
「大丈夫だったの?」
「ディランがいたから大丈夫だったが、我一人だったら危なかったのだ」
「気をつけないとダメだよ!……あっ!鍋に火をかけてるんだった。ごめん、行くね」
「分かったのだ」
「引き止めて悪かったな」
そう言ってレティシアと別れた後、オレ達は部屋に入った。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました
朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。
魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。
でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ほのぼのしますねぇ〜。
ディランが良い子なので、幸せになって欲しいです。
神様! ちゃんと見守ってあげて下さいね!
少なくともお世話になった分くらいは!
感想ありがとうございます!
ディランには幸せになって欲しいものです……
HOTランキング掲載おめでとうございます!
最新話まで読みました。
世の中の常識にとらわれずマイペースな二人が良い味を出してますね。
これからの旅も楽しみにしています。
ありがとうございます!
近況ボードを見て読みに来ました。
HOTランキング入りおめでとうございます。
出だしから幼女な神様に萌えました笑
こちらも楽しそうなのでお気に入り登録しますね。
これからどんどん面白くできるように頑張ります!!