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中編 地下牢の居心地は最低です。
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地下牢か。床も壁も石だし、あぁ、座布団ほしいな。
まったく勝手に召喚しておいて地下牢ってひどくない?
まぁ、次期国王に逆らっちゃったってのはあるけどさ。でも流石にあの人の妻にはなりたくないし。
せっかく異世界に来たんだし、こんなところさっさと抜け出して世界中を旅したいなー。
「なぜあなたがここに?」
ん?あぁ、隣の牢に閉じ込められてる次男さんか。
「妻になるくらいなら地下牢の方がましだと思ったので。」
「確かにその通りかもしれません。ここもなかなか居心地が良いとは言えませんが……。」
「確かに居心地は悪いですね。」
「あの、先ほどは兄が…申し訳ございませんでした。」
顔が見えないからなんとも言えないけど、ずいぶん申し訳なさそうな声色だな。
「別に貴方が謝ることではないですよ。それに、私のせいで貴方まで捕まってしまいましたし。」
「いえ、そのことは気にしないでください。あ、あの申し遅れました。私、リアンと申します。貴方のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」
「マヤです。」
「マヤさん。美しい名前ですね。」
「ありがとうございます。あの、知ってたらでいいのですが、いつまでここに閉じ込められるのでしょうか。」
「そうですね。おそらく兄の気分次第かと。」
「なるほど。よく地下牢に閉じ込められるんですか?」
「い、いえ。初めてです。お恥ずかしい話ですが、今まで父や兄の理不尽な行動や言動には目をつむってきましたから。」
「そうですか。」
「ですが、今回ばかりはもう我慢できませんでした。マヤさんからすれば、訳も分からないところに召喚されて、聖女だって言われて、でも聖女じゃなくて、兄の第5婦人になれなんて、で結局今は地下牢。本当に申し訳ないです。私がもう少ししっかりしていれば。」
「一様私、聖女なんですけどね…。」
「私はマヤさんを信じてます。」
「あ、ありがとうございます。でもなんで聖女を召喚しようとしたのですか?」
「実は最近、魔物が多く現れ始めていて、魔王が人間を滅ぼそうとしているのです。」
「なぜ魔王が人間を滅ぼそうとしているのです?」
「それは分かりません。人間が魔物を狩るからでしょうか。」
「なるほど。それで、聖女がいれば魔王を倒せると?」
「はい。”魔”は”聖”には弱いですからね。」
なるほど。じゃこのステータスに書いてある聖魔法で魔王を倒すって事ね。
「国王たちはまた聖女を召喚するつもりですか?」
「本人達はやる気でしょうが、召喚の儀式には時間がかかるので、魔王が現れる前までに出来るかどうか…」
魔王次第ってことか。
「ところでリアンさんはこの国を救いたいと思ってますか?」
「もちろんです。」
「あんな国王のもとで、国民は幸せなんですか?」
「それは…」
想像するだけ無駄な気がする。目に見えてる。幸せなわけがないと。
「それでも、魔王から守りたいですか?」
「はい。王族に産まれた以上、私には国民を守る義務があると思っています。」
それはとてもいい考えだと思うけど……今の現状だと、魔王を倒しても国民は幸せにはならないんだろうな。
「現国王や、次期国王からは守らないのですか?」
「え?……確かにそうですよね。父や兄は好き勝手贅沢し放題で、国民は高すぎる税金に苦しんでいます。決めました。もう逃げません。私が国王になって、国民を幸せにします。」
彼の発言から本気度がうかがえる。リアンさんなら国民を想ういい国王になりそうだな。
「では、まずはここから抜け出さないと始まらないですね。」
「そうでした。ですが、不甲斐ないばかりに私の力ではこの牢はびくともしません…。」
確かに鍵がないと開けるのは大変そうだけど、……どんなもんか聖魔法でも使ってみようかな。
「あ、開いた。」
南京錠余裕だな。
「マヤさん、今の光って…。」
「さぁ、行きますか。」
まったく勝手に召喚しておいて地下牢ってひどくない?
まぁ、次期国王に逆らっちゃったってのはあるけどさ。でも流石にあの人の妻にはなりたくないし。
せっかく異世界に来たんだし、こんなところさっさと抜け出して世界中を旅したいなー。
「なぜあなたがここに?」
ん?あぁ、隣の牢に閉じ込められてる次男さんか。
「妻になるくらいなら地下牢の方がましだと思ったので。」
「確かにその通りかもしれません。ここもなかなか居心地が良いとは言えませんが……。」
「確かに居心地は悪いですね。」
「あの、先ほどは兄が…申し訳ございませんでした。」
顔が見えないからなんとも言えないけど、ずいぶん申し訳なさそうな声色だな。
「別に貴方が謝ることではないですよ。それに、私のせいで貴方まで捕まってしまいましたし。」
「いえ、そのことは気にしないでください。あ、あの申し遅れました。私、リアンと申します。貴方のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」
「マヤです。」
「マヤさん。美しい名前ですね。」
「ありがとうございます。あの、知ってたらでいいのですが、いつまでここに閉じ込められるのでしょうか。」
「そうですね。おそらく兄の気分次第かと。」
「なるほど。よく地下牢に閉じ込められるんですか?」
「い、いえ。初めてです。お恥ずかしい話ですが、今まで父や兄の理不尽な行動や言動には目をつむってきましたから。」
「そうですか。」
「ですが、今回ばかりはもう我慢できませんでした。マヤさんからすれば、訳も分からないところに召喚されて、聖女だって言われて、でも聖女じゃなくて、兄の第5婦人になれなんて、で結局今は地下牢。本当に申し訳ないです。私がもう少ししっかりしていれば。」
「一様私、聖女なんですけどね…。」
「私はマヤさんを信じてます。」
「あ、ありがとうございます。でもなんで聖女を召喚しようとしたのですか?」
「実は最近、魔物が多く現れ始めていて、魔王が人間を滅ぼそうとしているのです。」
「なぜ魔王が人間を滅ぼそうとしているのです?」
「それは分かりません。人間が魔物を狩るからでしょうか。」
「なるほど。それで、聖女がいれば魔王を倒せると?」
「はい。”魔”は”聖”には弱いですからね。」
なるほど。じゃこのステータスに書いてある聖魔法で魔王を倒すって事ね。
「国王たちはまた聖女を召喚するつもりですか?」
「本人達はやる気でしょうが、召喚の儀式には時間がかかるので、魔王が現れる前までに出来るかどうか…」
魔王次第ってことか。
「ところでリアンさんはこの国を救いたいと思ってますか?」
「もちろんです。」
「あんな国王のもとで、国民は幸せなんですか?」
「それは…」
想像するだけ無駄な気がする。目に見えてる。幸せなわけがないと。
「それでも、魔王から守りたいですか?」
「はい。王族に産まれた以上、私には国民を守る義務があると思っています。」
それはとてもいい考えだと思うけど……今の現状だと、魔王を倒しても国民は幸せにはならないんだろうな。
「現国王や、次期国王からは守らないのですか?」
「え?……確かにそうですよね。父や兄は好き勝手贅沢し放題で、国民は高すぎる税金に苦しんでいます。決めました。もう逃げません。私が国王になって、国民を幸せにします。」
彼の発言から本気度がうかがえる。リアンさんなら国民を想ういい国王になりそうだな。
「では、まずはここから抜け出さないと始まらないですね。」
「そうでした。ですが、不甲斐ないばかりに私の力ではこの牢はびくともしません…。」
確かに鍵がないと開けるのは大変そうだけど、……どんなもんか聖魔法でも使ってみようかな。
「あ、開いた。」
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「マヤさん、今の光って…。」
「さぁ、行きますか。」
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