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33好奇心
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炎焔・・・盛んに燃え上がる炎。
―――この国の王族は、人使いが荒過ぎる。
大掃除の翌日は酷使した体を丸1日しっかりと休め、2日目の朝に男性が街に出ると空想的な話声が耳に飛び込んできた。
『癒しと施しを与える精霊』
『血肉を貪る妖』
―――物語の話でもしてるんでしょうか・・・?
非現実的な会話に男性の頭に浮かんだのは大掃除の深夜、王城で出会った女性の姿。
けれど詳細を思い起こす前に、耳に届く人外の話がノイズとなる。
「派手な色彩は、陽光を蓄えて煌めく妖精だったりしない?」
「火の鱗を持つと言われる、炎焔の巨蜥の化身に違いない。卵を炎で温め、子が生まれてからも外敵から守り育てる竜―――慈愛の象徴だ」
「異様な眼差しは妖花の力を宿しているのかも」
「霊石を彷彿とさせる目は、人を誘い惑わせる為のものだよ。あの瞳に魅せられ、盗賊達は心を奪われてしまった』
「悪魔が創り出した使い魔が、ヒトに成り代わったものじゃないのか」
「人を喰らい過ぎた妖鳥が人の形を得て、いっそう獲物を求めて人里に紛れ込んだんだ」
「水鏡の妖魔とか。人の姿を映し取ったが色が不完全で、鮮烈な色を帯びちゃったのよ」
「半身が獣の半人半蛇じゃないか?誘惑して、近付いてきた標的を襲い食らったり、血を吸ったり・・・」
「怪我してた脚は、ちゃんと人のもんだったって!」
「だったら夢魔の一種、雌蟷螂とか。なんにでも姿を変えられるっていうぞ?」
夢想家が夢を語るように。
或いは興味本位で面白おかしく騒ぎ立てる。
―――語るに浸り過ぎでしょうに。
男性が会話を拾っていけば、空想の土台にある事実も聞き取れた。
負傷した盗賊団『闇紫水』を助けた、奇特な者の事を噂し合っているようだ。
―――闇紫水が苦戦する相手となると、クラス燐灰石以上の魔獣か。・・・そう言えば、あの女性も怪我をしていた。
男性の思考は再び、大掃除の深夜に遡る。
どこか危なっかしい足取りで、松葉杖を付いていた姿。
―――城に居て怪我を負っていたとなれば・・・国立の病院へ行けば、なにか掴めるかもしれませんね・・・。
思うが早いか、男性は進む足先を国立病院と向けていた。
―――この国の王族は、人使いが荒過ぎる。
大掃除の翌日は酷使した体を丸1日しっかりと休め、2日目の朝に男性が街に出ると空想的な話声が耳に飛び込んできた。
『癒しと施しを与える精霊』
『血肉を貪る妖』
―――物語の話でもしてるんでしょうか・・・?
非現実的な会話に男性の頭に浮かんだのは大掃除の深夜、王城で出会った女性の姿。
けれど詳細を思い起こす前に、耳に届く人外の話がノイズとなる。
「派手な色彩は、陽光を蓄えて煌めく妖精だったりしない?」
「火の鱗を持つと言われる、炎焔の巨蜥の化身に違いない。卵を炎で温め、子が生まれてからも外敵から守り育てる竜―――慈愛の象徴だ」
「異様な眼差しは妖花の力を宿しているのかも」
「霊石を彷彿とさせる目は、人を誘い惑わせる為のものだよ。あの瞳に魅せられ、盗賊達は心を奪われてしまった』
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「人を喰らい過ぎた妖鳥が人の形を得て、いっそう獲物を求めて人里に紛れ込んだんだ」
「水鏡の妖魔とか。人の姿を映し取ったが色が不完全で、鮮烈な色を帯びちゃったのよ」
「半身が獣の半人半蛇じゃないか?誘惑して、近付いてきた標的を襲い食らったり、血を吸ったり・・・」
「怪我してた脚は、ちゃんと人のもんだったって!」
「だったら夢魔の一種、雌蟷螂とか。なんにでも姿を変えられるっていうぞ?」
夢想家が夢を語るように。
或いは興味本位で面白おかしく騒ぎ立てる。
―――語るに浸り過ぎでしょうに。
男性が会話を拾っていけば、空想の土台にある事実も聞き取れた。
負傷した盗賊団『闇紫水』を助けた、奇特な者の事を噂し合っているようだ。
―――闇紫水が苦戦する相手となると、クラス燐灰石以上の魔獣か。・・・そう言えば、あの女性も怪我をしていた。
男性の思考は再び、大掃除の深夜に遡る。
どこか危なっかしい足取りで、松葉杖を付いていた姿。
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