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Backstory アレン
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人生は驚きの連続だ。
僕に…いや、俺にとって1番の驚きは『彼女』…ユナを愛したこと。それはまさに奇跡の連続なのかもしれない。
小さい頃から父の女癖の悪さに嫌気が指して『女』という生き物が嫌いだった。派手な見た目に厚化粧…頭が痛くなるほどの香水。猫を撫でたような声に変に高い笑い方。それは、全て母に起因するものだった。俺はそんなだったから、正直家族に名前を呼ばれることさえ苦痛だった。そしてそんな家族につけられたこの『アレン』という名前も…
ある時から不思議な夢を見始めた。その中では俺によく似た風貌をした男が1人の女によっていき愛しそうに話すのだ。けれど一方で、その男はもう1人の女がくると冷たくあしらい、遠ざけた。
その男が…多分俺だと言うことは夢を見ていくうちに分かった。
1人をアナベル。もう1人をユナといった。
アナベルは平民上がりの令嬢で、光の魔力を持つ。
ユナは公爵令嬢で全属性の魔力を持ち、俺が留学する国の王子の婚約者だった。
そこでは誰もがアナベルを愛し、狂ったように取り合った。あんなに女が…嫌いだった俺でさえ…自分でも見たことのない笑みを浮かべていた。
その光景を俺は正直…気持ち悪いとそう思った。
そして…もう1つ。愛されるアナベルをよそに忌み嫌われる令嬢ユナ。
彼女はなぜ、こうも嫌われるのか。俺は不思議でならなかった。美しい容姿、類稀なる才能。
光の力を持つ者は珍しい。けれど全属性を持つ者のほうが…素晴しいのは当然のことではないのか?
全属性…それはつまり、光も闇も全てを保有すると言うこと。彼女に何が…あったというのだろう。
彼女…ユナに夢の中の俺は冷たくあしらった。そしてそれは俺だけでなく…彼女の婚約者の王子も同じ。婚約者としてそれはどうなのかと思ったが、所詮は夢の話。俺は大人しく傍観していた。
王子がアナベルヘ目を向け始めて彼女は、より一層変わってしまった。元々死んでいた目はさらに憔悴し。気性も荒くなった。
けれど俺は思う。それは当然のことではないかと。
やり方は何にせよ、彼女は婚約者としてこれまで数多くの困難を乗り越えて来たはずだ。それは、彼女の目と姿勢を見ればすぐに分かる。ましてや王子の婚約者、未来に皇后にもなりうる存在。彼女の苦労は他の令嬢たちとは比べ物にならない。そうやって彼女は王子に尽くしてきた。
…だが、それをある日どことも知らない女に横取りされたらどうだろう。アナベル…平民上がりの令嬢。彼女も彼女なりに苦労はあっただろう。
しかし彼女を見るに…幸せな家庭で育ったのだとしか思えない。貴族にはふさわしくない言葉、礼儀。
何も知らず無邪気に微笑むその顔。周りの視線など気にしないで話すその姿勢。
ここは貴族が多い。ここに通う令嬢たちは自由を代償にしている。立場があり、体裁がある。プライドがあり、家名を傷つける行いは許されない。そんな彼女たちを前に、何のしがらみにも囚われないアナベルはどれだけ目障りになってしまうのだろう。
彼女たちにはやりたくてもできない行い。
そしてそれは…ユナ…彼女にも。
恋とは盲目。一度好きになれば、その気持ちから逃れるのは難しい。好きになれば後はその沼にはまっていくだけだからだ。
王子はアナベルに恋をした。それは…人としてなくはないこと。許されるかは分からないが…人とはそういうものではないのかと思うこともある。
だが…だからこそ王子はやるべきことがある。それは気持ちに白黒つけけじめをつけること。
ユナを思えないのなら…冷たくあしらうのなら…
王子として、王族として…彼女に正当な償いをするべきではないのか。せめてもの行いを。
冷たくあしらう必要はない。彼女はやるべきことをやっているだけ。王子がいつまでも中途半端でいるから、そうなるのだ。
この世界はおかしい。そして何だか気持ち悪い。
アナベルを中心に回っているこの世界が俺は嫌いだ。その夢にいる俺はもっと嫌いだ。
今の俺なら…彼女、ユナの婚約者が俺だったなら…そんな適当な扱いなんてしないのに…
それは、俺のエゴだろうか…
僕に…いや、俺にとって1番の驚きは『彼女』…ユナを愛したこと。それはまさに奇跡の連続なのかもしれない。
小さい頃から父の女癖の悪さに嫌気が指して『女』という生き物が嫌いだった。派手な見た目に厚化粧…頭が痛くなるほどの香水。猫を撫でたような声に変に高い笑い方。それは、全て母に起因するものだった。俺はそんなだったから、正直家族に名前を呼ばれることさえ苦痛だった。そしてそんな家族につけられたこの『アレン』という名前も…
ある時から不思議な夢を見始めた。その中では俺によく似た風貌をした男が1人の女によっていき愛しそうに話すのだ。けれど一方で、その男はもう1人の女がくると冷たくあしらい、遠ざけた。
その男が…多分俺だと言うことは夢を見ていくうちに分かった。
1人をアナベル。もう1人をユナといった。
アナベルは平民上がりの令嬢で、光の魔力を持つ。
ユナは公爵令嬢で全属性の魔力を持ち、俺が留学する国の王子の婚約者だった。
そこでは誰もがアナベルを愛し、狂ったように取り合った。あんなに女が…嫌いだった俺でさえ…自分でも見たことのない笑みを浮かべていた。
その光景を俺は正直…気持ち悪いとそう思った。
そして…もう1つ。愛されるアナベルをよそに忌み嫌われる令嬢ユナ。
彼女はなぜ、こうも嫌われるのか。俺は不思議でならなかった。美しい容姿、類稀なる才能。
光の力を持つ者は珍しい。けれど全属性を持つ者のほうが…素晴しいのは当然のことではないのか?
全属性…それはつまり、光も闇も全てを保有すると言うこと。彼女に何が…あったというのだろう。
彼女…ユナに夢の中の俺は冷たくあしらった。そしてそれは俺だけでなく…彼女の婚約者の王子も同じ。婚約者としてそれはどうなのかと思ったが、所詮は夢の話。俺は大人しく傍観していた。
王子がアナベルヘ目を向け始めて彼女は、より一層変わってしまった。元々死んでいた目はさらに憔悴し。気性も荒くなった。
けれど俺は思う。それは当然のことではないかと。
やり方は何にせよ、彼女は婚約者としてこれまで数多くの困難を乗り越えて来たはずだ。それは、彼女の目と姿勢を見ればすぐに分かる。ましてや王子の婚約者、未来に皇后にもなりうる存在。彼女の苦労は他の令嬢たちとは比べ物にならない。そうやって彼女は王子に尽くしてきた。
…だが、それをある日どことも知らない女に横取りされたらどうだろう。アナベル…平民上がりの令嬢。彼女も彼女なりに苦労はあっただろう。
しかし彼女を見るに…幸せな家庭で育ったのだとしか思えない。貴族にはふさわしくない言葉、礼儀。
何も知らず無邪気に微笑むその顔。周りの視線など気にしないで話すその姿勢。
ここは貴族が多い。ここに通う令嬢たちは自由を代償にしている。立場があり、体裁がある。プライドがあり、家名を傷つける行いは許されない。そんな彼女たちを前に、何のしがらみにも囚われないアナベルはどれだけ目障りになってしまうのだろう。
彼女たちにはやりたくてもできない行い。
そしてそれは…ユナ…彼女にも。
恋とは盲目。一度好きになれば、その気持ちから逃れるのは難しい。好きになれば後はその沼にはまっていくだけだからだ。
王子はアナベルに恋をした。それは…人としてなくはないこと。許されるかは分からないが…人とはそういうものではないのかと思うこともある。
だが…だからこそ王子はやるべきことがある。それは気持ちに白黒つけけじめをつけること。
ユナを思えないのなら…冷たくあしらうのなら…
王子として、王族として…彼女に正当な償いをするべきではないのか。せめてもの行いを。
冷たくあしらう必要はない。彼女はやるべきことをやっているだけ。王子がいつまでも中途半端でいるから、そうなるのだ。
この世界はおかしい。そして何だか気持ち悪い。
アナベルを中心に回っているこの世界が俺は嫌いだ。その夢にいる俺はもっと嫌いだ。
今の俺なら…彼女、ユナの婚約者が俺だったなら…そんな適当な扱いなんてしないのに…
それは、俺のエゴだろうか…
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