王子様⁉️いや、それよりスローライフ‼️

蝶々

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第10段階 part3

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「ほいよ。これが頼まれてた品だ」
目の前に差し出された小さな木箱の中にはいくつかの『魔法石』が並べられている。透明に輝く美しい宝石たちは黒布の上で輝きを放っていた
「ありがと。クレイス」
私は目の前に並べられた『魔法石』を1つ1つ自らの身体へと吸収させていく。もちろん『爆弾』なのだが、身体に入れても害はないと確認済みである
「嬢ちゃんも変わってるねぇ。普通、こんなもの身体に入れようなんざ思いつかねぇよ。俺はごめんだ。考えるだけでも恐ろしいもんだ」
「ユナでいいわよ。クレイス。私だってこんな綺麗な宝石なのに、身体に吸収させるしかないなんて嫌なのよ。ほんとだったら…イヤリングにして、ネックレスにして、ブレスレットに指輪に。はぁ…つけたいのになぁ」
私は少し前までを思い出しため息をつく。私の『オシャレ』は魔王に見つかった瞬間から終わったのだ
「そうじゃねぇ。俺は装飾品でもごめんだっての。爆弾なんぞつけてたまるかよ…それとな、名前なんて呼べるわけないだろ?俺は命が大事なんだ」
「そりゃあ、命は誰だって大事でしょ?それが何で名前から繋がるのよ」
「…おたくの『魔王』様は、嬢ちゃんのこととなるとな偉く耳がいい。気づいてるか?嬢ちゃんの『連れ』以外にもう数人店囲んでるぞ。手を出してこないところを見ると…『外出』には目をつむるようだな。帰ったら絞られそうだが」
私は思った。あ、これ終わったわ
「…いいわ。いいわよ!目的は達成したし!大収穫だわ。この際、思う存分遊んで地獄をみれば良いのよ!何とかなるわ!」
私は、吹っ切れました
「あ、地獄を見ることは確定なのか」
「うん!そこは諦めたわ。でも、ここまでたどり着いたし。もう吸収したし。こっちのもんよね!ちゃぁんと盗聴防止魔法もかけたし会話は聞こえてないわ」
「勝手に魔法かけるなよ。まぁ、せいざい楽しみな。今日逃したら暫く降りてこられないだろ。思う存分やりたいことやるんだな。さてと、もういいな。はよ帰れ!」
クレイスは私を扉まで押していき、外へ弾き出した
「ちょっと何よ!このバカ店主」
「けっこう、けっこう。俺はまだ商売してたいんでね。またな」
扉から気配が離れる。私は手のひらに魔法でカエルを数匹出すとテレポートで店内に放った
バタバタバタン!
「ひぃぃぃ!カエルか!気持ちわりぃ!おい!お前やりやがったな!覚えとけよ!」
やられたらやり返すのが鉄則である
「ふぅ。よし!黒ちゃーん」
私は空中に向かって話しかけた。その声に合わせ数人の『影の部隊』が姿を見せる
「ねぇさん、用事すみました?」
「うん!ばっちり」
「それはなによりです。バレちゃったみたいですけどどうします?」
視線を周囲に送りながら話す
「まぁ…そうなるよね。よし、遊び回ろっか!」
「さすが!」
黒ちゃんたちを連れて遊び回りました。それはもう思い切り。焼き鳥に、揚げまんじゅうに、串カツ。後々、お土産も。『魔王』様のご機嫌取りグッズも忘れずに。満喫しましたとさ、

……


「ただいまぁ」
私は暗い部屋に向かってこっそりと呟いた
「おかえり、ユナ」
暗がりから鋭い眼光をもつ『魔王』が出迎えてくれたのは言うまでもない
「ただいま!帰るの早かったのね、戻るの明日の夕方のはずなのに。出迎えなんて嬉しいわ。はい、これお土産よ」
アレン様は用事があり明日の夕方まで外出するはずでした。もういるけど
「ありがとう、ユナ。いやね、そのつもりだったんだよ。そしたら、数刻しないうちに知らせが入るじゃないか。何処かのおバカさんが、脱走しましたよってねぇ。それも窓から出るなんて手段を取ってくれたもんだから。下の階にいた使用人はびっくりして気絶してしまったよ。空中を滑り落ちる人間がいたら当たり前だよね?おかげで連絡は遅れて、その間に君はさっさと下りて行ったみたいだから。もういっそ泳がせて帰るのを待ち伏せした方がマシだってね」
私を見下ろす彼は笑っている。顔は完ぺきだけど…ここを流れる空気は尋常じゃなく重い
「外出を楽しんでくれたようで何よりだよ。随分と満喫したそうじゃないか。僕にまでお土産をくれるなんて。君も随分と『持ってる』みたいだけど…それをどうしてくれようね。またやってくれたようだけど…まさかそこまで執着してるとは。いっそ持つのを許してた方が良かったかな」
彼は私の体を撫でると困ったように、そして面白い獲物でも見るように笑った
「取り出すのは、随分と苦労しそうだね。君は耐えられるかな?」
早まったと思ったがそれはもう後の話である

この『吸収』という方法。これは体に取り込んでしまえばもちろんこっちのもんなのだか、何にでも方法はある。簡単な話、取り込んだものが外に出そうと思えば出る。留めておこうと思えばそうできる。
そう…私がアレン様の手に落ちなければ守られるはずのことだが。私がアレンに勝てるはずもないことを思い知るのはこの後の話である
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