【完結】意地っ張りで口の悪い受けと、拗らせて執着する攻めの日常

ハリエニシダ・レン

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進路〜春休み

獣人プレイ0

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しつこく再戦を要求した対戦ゲームで、結局負けた俺に東雲が要求したのは、外で10分間手を繋ぐこと、だった。

…それでまさか、こんなことになるとは思わなかった。


その日は、3月にしては珍しく暖かい日だった。
広い公園の芝生に東雲と並んで座るのは、暖かい日差しと少しひんやりとした空気が相まって気持ちよかった。

地面についた俺の手に東雲が手を重ねてきた。
これなら周りからはほとんど見えない。そう、ほっとした。
そう。ほっとしていたのに…。

東雲はただ手を重ねるだけじゃなくて、指で手の甲や指や手のひらなんかを撫で回し始めた。

「ちょっ、やめっ」

「まだ1分も経ってないよ?」

引き抜こうとした手を押さえつけ、東雲はひたすらに俺の手を撫で回し続ける。
甲側を指の付け根から爪の先へ、今度は指の腹側に回り込んで指の根元まで。

ベッドの中での行為を思い出させる、ゆっくりとしたその手つきが、東雲の目の奥に灯る熱が、俺を追いつめる。
真昼間の人も多くいる公園で、俺は感じてしまっていた。

「ダメ…だ……東雲…マジ、で…お願…い……」

俺の途切れ途切れの懇願に、東雲は指の動きを一旦止めた。

「まだ後7分、あるんだけど?」

耳元で囁かれて体から力が抜け、たまらず肩に寄りかかった。
もう、これ以上は無理だ。

「お願い…外では、嫌、だ…」

東雲の肩に頬を当て、涙混じりに懇願する。

「ふーーーーん?」

意味ありげな流し目が、壮絶に色っぽかった。

「なぁ…」

掠れる声で訴える。

「んーーー…じゃあ、代わりに…」

わざと言葉を切って笑みを描いた口元に、ぞくりとした。

「凄く恥ずかしいお願い、聞いてくれる?」

「……………………」

こいつが『凄く恥ずかしい』って言うようなお願いっていったい何だ…?

思わず怯んで黙る俺の手を、再度東雲が撫で始めた。

「どうする?後7分、これを続けるのでも、俺は全然構わないけど…?」

そっと優しく、東雲の指が俺の手首を上へと辿る。

「…だ…っ!わ…かった…っ!わかった、から…!」

後ちょっとでも続けられたら喘いでしまいそうだった。
その焦りで、反射的に提案を受け入れてしまっていた。

「本当に?わかってる?もの凄く恥ずかしいこと、してもらうつもりなんだけど…?」

動きは止めたものの、手をしっかり握ったまま東雲が笑いながら念を押す。

「…いい、から。おまえ以外に見られなきゃ、それで、いいから…」

これ以上は本当にヤバい。

恥ずかしさと快感に潤む瞳で、東雲を見上げた。

「…っ!」

東雲が、息を飲んだ。
ごくりと動いた喉仏の形が綺麗で、視線を奪われる。

「…わかった。覚悟しといて」

艶やかに笑ったその顔から、しばらく目が離せなかった。

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