【完結】なにぶん、貴族の夫婦ですので

ハリエニシダ・レン

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護衛

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私の夫は立派な人だ。
王宮で騎士として勤めている。
正しく清廉と評判が高くおまけに見目までいいと、婚約をまとめた父は上機嫌だった。

私も、まともそうな人でよかったとほっとした。嫁いで実際に顔を合わせたけれど、やはりしっかりした人だった。
多分、政略結婚の夫としては申し分ないのだろう。

だからそのうち好きになれると思っていた。少なくとも、人としての好意は早いうちから抱いていた。

けれど…嫁いだ後で、他に好きな人ができてしまった。

私の護衛。
結婚先にもついてきてくれた、護衛のダン。
彼は10歳年上で、私が6歳の頃からずっと護衛として私を守ってくれている。まぁ、襲われることなど早々ないので、どちらかと言うと従者の性質が強いのだけれど。


出会った頃の彼は、あまり愛想のない少年だった。
初めて彼と会った時、私は彼のニコリともしない表情に泣きだしてしまったらしい。あまりよく覚えていないけれど、その時彼が見せたとても困った表情だけは覚えている。

その後彼は、「何の為に年の近いおまえを護衛につけたと思っているんだ!」と年嵩の護衛仲間たちや父から散々怒られたらしく、次に会った時は何とか表情を動かそうと必死になっていた。

子どもゆえの柔軟さか、私はそんな彼にすぐに懐いた。
護衛と言っても家からほとんど出ない私に危険などある訳もなく、彼は私の遊び相手のような、兄のような存在になっていった。


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