【R18】知らない人と、電話でエッチ

ハリエニシダ・レン

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二回目

二回目の約束

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[今、平気?]

タケルさんからメッセージが入った。
ちょっと迷ったけど返信した。
無視する理由が見つけられなくて。

[平気]

[電話していい?]

………電話って…この前みたいな…

思わず顔が赤くなって手が止まる。
すると次のメッセージがきた。

[今日は話すだけ]

………それなら…

[うん。平気]

すぐに電話が鳴った。



数日振りに聞くタケルさんの声。
ああ、やっぱり落ちついたいい声だなぁ。
思わず聞き惚れる。

「ミキ?」

「え?」

呼ばれて、ぼーっとしていたことに気づいた。

「大丈夫?疲れてるなら、また明日話そうか」

「ううん。大丈夫」

この声に、うっとりしてたなんて言えない。それにもっと聞いていたい。

「ミキは仕事忙しい人?」

もうメッセージでも、ナチュラルにミキと呼ばれてしまっている。一度指摘しようとしたのだけれど、「うん?ミキだよね?」と返されて終了になった。
…弱すぎる私。

「えっと、あんまり忙しくない」

だいたい定時で帰れることが多い。
本格的な残業なんて、月に一、二度あるかどうかだ。

「そうなんだ」

「タケルさんは?」

「お察し」

…エンジニアは忙しいって聞くから、それの典型みたいな感じなのかな?

「お疲れ様」

「うん」

電話の向こうで、笑った気配がした。

「何?」

「うん?ミキに「お疲れ様」って言われるのいいなって思って」

「っ…」

…そんなことを言われたら何だか照れてしまう。

「今、照れてる?」

「~~~!」

何で分かったの!

「ミキは分かりやすくて可愛いね」

ちゅっとキスの音がして、びっくりする。

「なん……」

「好きな子に可愛いことされたら、キスしたくなるでしょ?」

おまけにもう一回、追加でキスされた。
しかも「好きな子」…
…ダメだ。信じちゃいけない。

かぶりを振る。
こんな、電話で一回エッチなことしただけの人の言葉。しかも、凄く慣れてる人の言葉。そう思うのに

「ミキ、好きだよ」

耳元に当てた電話から、低く穏やかな声がして。

「会いたいな」

呟くように言われて、心臓がバクンと跳ねた。
ダ…ダメ…会うのは絶対…ダメ……
自分に言い聞かせる。

何も言わない私をどう思ったのか、タケルさんが話題を変えた。

「今度、いつしよっか」

「こ、今度!?」

思わず声が裏返る。
クスっと笑われた。

「うん、今度。エッチいつしよっか」

「っ………」

「あれ?ミキはしたくない?この前、あんなに気持ちよさそうだったのに」

「っ…」

気…持ち…よかったけど…でもあれは…気の迷いだったというか…
ゴニョゴニョと、胸の内で言い訳していると

「俺は今度の日曜、朝から空いてるんだけどミキは?何か予定はある?」

「ない…けど…」

「じゃあ決まりね!」

「え?え??」

「楽しみだなぁ。これで週末まで頑張れる」

「え…あの…」

私まだオッケーしてなーー

「それとも」

不意にタケルさんの声が鋭くなった。

「他の男でも漁るつもり?」

「あ、漁るって…」

そんな予定はないけど…

「どうなの?」

「それは…ないけど…」

「本当に?」

「うん…」

だって、そもそも前回がイレギュラーで……

「ねえ、ミキ」

渋っていたら、タケルさんが少し声の調子を変えた。

「何?」

「他の男にとられるくらいなら、いつでも俺が相手するから」

「え…」

「だから、したくなったら俺に連絡して」

「…何で…?」

さっき仕事忙しいって…

「好きだって言ったでしょ?好きな子のあんなエッチで可愛い声、他の奴に聞かせて平気でいるような男じゃないよ?俺は」

「…っ…」

「だから、どれだけ忙しくてもミキの相手ならするから」

どうしよう…ちょっと嬉しい…こういう独占欲みたいなの…

「でもミキは、まだ俺のこと好きじゃないんだよね?」

「………」

それは…だって…そもそもこんな出会い方をした人の「好き」なんて信じちゃいけない気がするし…

「でも嫌いじゃないでしょ?」

「…うん」

嫌い…ではない…

「俺とのエッチも気持ちよかったよね?」

「っ……!」

そうだけど!確かにそうだけど!!
自分で言うかな!?

「だからさ、しばらくは俺だけにしときなよ」

「え……?」

「俺がミキが満足するまでエッチなことしてあげるし、話だって全部聞くから。だからしばらくは俺だけにしときなよ」

「タケルさん…」

うっかりキュンときてしまった。

「俺ならミキの嫌がることはしないし」

「…」

「無理に会いたがったりもしないし」

「…」

「ミキのいいところも、もういっぱい知ってるし」

「~~~っ…!」

「だから俺にしときなよ。ね?」

優しい、包み込むようなタケルさんの声。どうしよう。ドキドキ…する……

「あ…の……」

けど…少し気になることが…

「何?」

「タケルさんは…他に…声かけてる人…とか…彼女…とか……」

そういう人、いたら嫌だなって。タケルさんの遊び相手の一人にされるのは、嫌だなって。だから確認をーー

「え……」

何故かタケルさんが絶句した。
あ、あれ?何か変なこと…

「………ミキ。それってヤキモチ?」

嬉しそうな、少しニヤついているような声。

「っ…!?違っ!」

そんなんじゃないし!
単に遊ばれるのは嫌っていうか……でも、お互い遊びのつもりならこんなこと気にしない筈で……あれ…?
…で、でも…

「本当にそんなのじゃないしっ…!」

重ねて言ったら、逆に嘘っぽく聞こえて悶える。

何これ………

そしたら、クスリという笑い声と

「今はミキだけだよ」

優しい声がした。


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